iPhone6のバッテリーは2,100mAhに?という報道が今出回っているが。。
次世代iPhoneの噂を流しているサイトで駆け巡っている「iPhone6のバッテリーは2,100mAhに?」という報道。
海外:G4Games、cnBeta、MacRumors、Cult of Mac、9to5Mac、CNET
日本:気になる、記になる。。、CNET Japan
主要な噂系海外メディアは殆ど扱ってしまっているため、日本のtaisy0さん(気になる、記になる。。)のところにも載っかってしまったきらいがあるが。。
これらの報道では、全て情報ソースは中国版Twitter「Weibo」のユーザ@孙昌旭(孫昌旭 Sun Chang Xu、海外メディアだとSungになっているが、孙はsunでgはつかない。どうやら最初に出したソースは上記のG4Gamesで、そこの間違いがコピペされているだけかと)によるものとされている。
■孙昌旭
ソースの検証
しかしどこも情報源の原文(ソース)に触れていない。ということで私が触れてみようと思う。
元の投稿はこれだ。
“听说iPhone6的电池2100毫安,因为要做得薄没办法。还得继续挂吊瓶[嘻嘻],移动电源市场继续火。。。”
翻訳すれば、「iPhone6のバッテリーは2,100mAhだと聞いた、薄くしなければならずどうしようもないからとのこと。これだとやはりずっと点滴を打っていなければならないね(=モバイルバッテリーをずっと繋いでおくことの中国語的表記)。モバイルバッテリー市場は引き続き盛り上がりそうね。。。」
情報の信憑性はかなり低い、ソース元の本人自ら無知であることを暴露
この情報は誤りの可能性が高い。まず、冒頭が”听说”という伝聞系で始まるのだが、中国お得意の「どこから聞いたのか」がはっきりと示されていない。
更に本人がその後、自分の上記のTweet上に正直かなりマヌケなコメントを残している。
“前两天采访一家做移动电源ic的本土公司,非常期望iPhone6,快点出来,再次推动移动电源市场放量上扬。刚才评论里有说正在测试中的4.7寸的才1810毫安时”
「1〜2日前にモバイルバッテリーのicの中国の会社を訪問したときに、iPhone6をが早くリリースされて、モバイルバッテリー市場をまた更に盛り上げてくれないかと非常に期待していました。先ほどコメントで現在テストしている4.7インチのは1,810mAhというものがありました[赤面]」
つまり、この人は以前世界中を駆け巡ったiPhone6のバッテリーとされる1,810mAhと表記のあるリーク画像や、既にサプライヤーの中で回っている情報さえ自分は知らなかった、ということを自ら暴露してしまっているのである。
■iPhone6のものとされる、1,810mAhと刻印されているリークされたバッテリー画像
アナリストでも何でもない私が知っている情報を知らないとは、全く素人同然だ。
そもそもソース元の孫昌旭ってどんな人?
今回のニュースの情報源とされている孫昌旭のWeiboの肩書きでは《国際電子商報=国际电子商报》《電子工程專輯=电子工程专辑》《電子系統設計=电子系统设计》の首席アナリストということになっていて、15万人もフォロワーがいる公式アカウントになっている。更にこの業界に18年もいるという。。
一見なんだかすごそうなプロフィールだ。
いや、確かにこのすごいプロフィールは本当かもしれない(Sina Weiboの認証も受けているし)。
しかし中国でメディアで偉い地位にいる人の殆どは「載せる権利を持っているだけの人」。中国のメディアは検閲もあるが非常に商業的で、そこに情報を載せるか載せないかだけで大きなお金が動く。首席なんたらでもその業界の情報に関しては素人に近い人もいたりする(コネだけでその地位にいたり)。
更にWeiboのフォロワーはお金で買えたり、Weiboを運営するSinaとコネがある人は簡単に増やしてもらえたりするので数が多いからといってどうということはない。それが証拠に、孫昌旭は15万人もフォロワーがいるくせに、いいねが20〜30くらいしかついていない(上記の書き込みのスクリーンショットを見れば一目瞭然)。フォロワーの中にアクティブユーザがどのくらいいるのか、誰が見ても明らかなのだ。中国ではSNSとしてWeChat(微信)への移行が進んでいてWeibo離れが進んでいるが、それを差し引いてもあまりにも反応が少なすぎる。
※ちなみにこのいいねが20〜30くらいなのは記事投稿時点のもの。海外のメディアからリンクされたため、もしかしたらいいねやコメント(恐らく批判的なもの)がこれから増える可能性もある。
つまり、この人の情報の信憑性を、表向きのプロフィールで判断してはいけないということだ。その表向きのプロフィールそのものが信用できないのだから(例えば中国と取引する場合はその会社の信用度や取引状況、資金情報を別途に調査する必要があるように。。)。
もしかしたらこの人はモバイルバッテリー業界からお金をもらってこんなことを書いているのかもしれない。中国の業界誌のアナリストなら、やりかねないだろうなあ。。しかしそれにしてはかなりマヌケなやり方だったけど。
まとめ:iPhone6のバッテリーは2,100mAhという情報の信憑性はかなり低い
ということで、恐らくこの孫昌旭という人はとんだくわせもので、情報はあまり頼りにならないと思った方が良さそうだ。
私ももともと中国の音楽業界に身を置いていたので、中国のメディアに限らず”業界”と呼ばれるところは実際はとんでもないズブの素人の集まりで、恐ろしいところであることを垣間見ている(良し悪しを語っているわけではない、単純にともかくそういうところなのだ)。もちろん全員が全員そうというわけではないが、業界内で本当の意味でのプロフェッショナルはごく少ない。
正直彼女はくわせものと言ってもいいのではないかと思う。
ただ、もちろんiPhone6に関する全ての情報は確定したものではないので、100%断言はできない。
個人的には仮にもしiPhone6のバッテリーが2,100mAhになったとしても、画面が4.7インチと大きくなるiPhone6のバッテリー消費は現行の4インチのiPhone5sよりも増えるはずで、結局ヘビーユーザが使えば絶対1日持たないと思う。
というわけで、ヘビーユーザにとって、iPhoneに限らず現代のスマートフォンには常に「点滴」が必要な状況は暫く変わることはないだろう。
記事は以上。