米Apple(アップル)社がスマートウォッチの”iWatch(仮称)”が開発されているのは、
既に市場の噂やメディアの報道でどうやら殆ど確定といってもよさそうだ。
現にAppleのCEO、ティム・クック(Tim Cook)も2011年のD Conferenceで、
「私は腕時計がとても面白いと思う。もし腕につけられるデバイスを成功させたいなら、
みんながこの製品を素晴らしいと感じる説得力がなくてはならないし、
みんなの購買意欲をかき立てるものでなくてはならない」と語っているくらいだから。
しかしそれ以来この腕時計デバイスについてはAppleの超厳格な秘密主義のおかげで、
次世代iPhoneと違って部品流出から仕様の情報まで、
殆ど全くといっていいほど確かなリーク情報が出てこない。
そんな中、海外のサイトthe vergeに面白い記事が出ていたので紹介したい。
スマートウォッチの市場を狙っているのはApple1社だけではない。
他にもSamsung、Google、Pebble、Cookooなど多くの企業がその市場を狙っている。
もしAppleがこの市場で成功したいなら、
これまで既に先行している他の企業の教訓から学び、
iWatchを独自の特徴あふれるものにしなくてはならない。
AppleがiWatchで成功するためには、以下の7つの条件を満たす必要がある。
■1. iWatchは”腕時計”でなくてはならない
iWatchはまず必ず「時間、時刻」を表示しなければならない、
なぜならこれは腕時計としての基本機能だからだ。
これについてはPebble Steelが機能はさほど豊富でないものの、
市場では今のところ最も受け入れられているスマートウォッチである最大の理由だ。
もちろんこれはiWatchの外観を必ず腕時計っぽくするべきだということではなく、
使うのに便利で、素早く時刻を確認できるようにするべきだということだ。
更に言えばiWatchは屋外環境に適応し、最低限一定の防水機能を備えているべきだ。
人々がMotorola(モトローラ)のMoto360を気に入っている理由は、
それが単に見た目がかっこいい腕時計だからだともいえよう。
Appleは当然その見た目がかっこいい腕時計に求められるデザインのためのソースやチームを持っているはずだ。
■2. iWatchには高度なカスタマイズ性が備っている必要がある
時間が経つにつれ、Android Wearがデベロッパーに時計の盤面表示のカスタマイズをさせないことに、
ますます失望の声が高まっている。
ディスプレイが大部分の外観面積を占める腕時計は、そこに無限のカスタマイズ性を持っていることをAppleは忘れてはならない。
もしユーザが自分の好きな盤面を適用することができるようになれば、iWatchは成功に近づくだろう。
また、カスタマイズ性はソフトウェアだけに留まってはならない。
Appleは腕時計業界の伝統の「決まり」を守った方がいい。
そう、少なくともベルトが交換できるようにするべきだ。
また、Appleは1種類だけではなく多様なiWatchを用意する必要がある。
もともと腕時計はサイズの大小、形状(円、四角)、材質(革製、金属製)等多種多様なバリエーションがあるものだ。
そして腕時計というものは高度にカスタマイズ性が求められ、ファッションが重視されるデバイスだ。
これはいくらAppleが出したとしても例外とはならない。
ケースやカバー、または多くのメーカーとコラボするなどの方法で、
多種多様でカラーバリエーションの豊富な製品を出すなど、
iWatchの成功の鍵は、ユーザに多くの選択肢を与えることだ。
■3. iWatchはAppleエコシステムの一部でなくてはならない
Appleはデバイスが変わっても共通の操作性を持つなど、
互換性とユーザビリティが優れた製品を開発するのが得意な会社だ。
iWatchの開発にもその優位性を極限まで発揮されなければならない。
当然、iWatchはAndroid携帯やWindows PCとの互換性を持つ必要はなく、
その他のApple製品との互換性を持つようにすればよい。
iWatchは特にフィットネスのエコシステムの鍵となるデバイスにならなければならない。
そしてスマートホームシステムの中心的デバイスとして、
携帯電話を取り出さなくても照明や室内温度を調節したり、
音楽を流したりApple TVをコントロールしたり、
買い物の支払いができたりMacBookのロック解除ができるなど多機能性が必要だ。
ユーザは更にEvernoteでメモをとったり、
Lyftでタクシーを呼んだり、Spotifyで音楽を聴いたり、
Google Mapsのサービスを使えるなど、外部サービスとの連携も欠かせない。
腕時計は高度なカスタマイズを求められるデバイスなので、
カスタマーの要求を1つでも満足できないとなればそれだけでマイナスポイントと捉えられかねない。
■4. iWatchには代表・定番となるアプリと、その他大量のアプリが必要となる
1人1人のユーザによって、iWatchの使い方は異なるはずだ。
App StoreがiPhoneの快進撃に拍車をかけたように、
iWatchにも多種多様なアプリが必要となろう。
しかしiWatchにはまずiWatchの存在理由を体現するような定番アプリが必要となるだろう。
それは恐らく健康管理系のものになる可能性がある。
またフィットネスに興味があるユーザには万歩計や睡眠時間管理機能を備える必要もあるし、
オンラインペイメントやホームセキュリティなどのアプリも定番になる可能性がある。
何はともあれ、iWatchにはとてつもなく素晴らしいアプリが必要だ。
Appleはそれをもってスマートウォッチが存在する理由に説得力を持たせることができるだろう。
なぜスマートウォッチを売り出すのか、
ユーザがなぜスマートウォッチが必要なのか、
それらをユーザに説得力をもって説明できているメーカーはこれまで1つも存在していない。
Appleがその難題を解決しなくては、iWatchの成功はないだろう。
5. iWatchはユーザの作業を簡略化する必要がある
iWatchは簡単に、素早く動作しなくてはならない。
そしてユーザが操作をしなければ終わらないプロセス以外は、
ユーザは常にiWatchを見る必要がないようにしなくてはならない。
ユーザがiWatchを見た時に、
まさかiWatchに「iPhoneを見てね」という表示をさせるわけにはいかないからだ。
6. iWatchはバッテリー持続時間が長くなければならない
iWatchの普及にブレーキをかける唯一の原因はバッテリー持続時間といえるかもしれない。
バッテリー持続時間が一日以内というスマートウォッチなど絶対誰も欲しがらないからだ。
iWatchが成功を収めるためには、
AppleはiWatchをユーザが肌身離すことができない「仲間」のような存在にしなくてはならない。
もしiWatchがしょっちゅう充電しなくてはならないデバイスになってしまったら、
Appleはそれを成し遂げることができなくなる。
もちろん、iWatchのバッテリー持続時間を何も数週間や数ヶ月ほどにする必要はない。
しかしもし数日にも満たないような代物だったら、
きっとユーザに気に入られることはないだろう。
7. 普段iWatchは空気のような存在でなくてはならない
iWatchはひっそりとユーザの腕の上に存在し、
何かユーザが必要な時にユーザにお知らせするというような存在にならなければならない。
iWatchは賢くユーザがすぐに処理しなければならない情報のみをより分けて通知しなければならない。
それ以外の大部分の時間は、
iWatchの機能はただただ時間を表示するだけでよく、その他の機能は二の次となるだろう。
■まとめ:iWatchにはバランスが求められる
これまで発売されたスマートウォッチが1つも成功していない原因は全く秘密でも何でもない。
実際スマートウォッチを開発するというのは本当に全く容易なことではないのだ。
消費者に気に入られるスマートウォッチには、
外観と機能、処理能力と簡潔性、イノベーションと伝統のそれぞれの間で、
絶妙なバランスをとることが求められるからだ。
記事は以上。