2023年のiPhone(iPhone 15?)にはApple自社開発5Gモデムチップが搭載か

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著名なApple関連アナリスト、Ming-Chi Kuo(郭明錤)氏によると、再来年の2023年に発売のiPhone(iPhone 15?)に、Apple自社開発による5Gモデムチップが搭載されると予測されています。

Qualcomm_Snapdragon_X65_5G_Modem

Appleがモデムチップを自社開発しているというのは公然の事実

Appleは現行のiPhone 12モデルにはQualcomm(クアルコム)社の5Gチップを採用していますが、既に同時に自社で5G対応モデムを開発しているのは公然の事実です。

というのも、AppleはiPhoneに長い間Qualcommのベースバンドモデムチップを使用していましたが、2017年にAppleがQualcommがAppleの委託生産先に対して特許使用料を過大に請求していたとして、反トラスト法に基づいて“被害額”の3倍となる90億ドル(約1兆円)を支払うよう求めたのです。

そしてQualcommと係争関係になったことから、2017年発売のiPhone 7モデルからモデムチップをIntel(インテル)製に切り替えたのでした。

その後モデムチップに関してはIntelからの購買が続いたのですが、Intelが昨年初めに5Gモデムの開発の失敗による開発終了を宣言したことから、Appleは急遽Qualcommとの和解に踏みきることになり、逆にQualcommの条件を呑んで更に数千億円という費用を支払い、また6年という長期間の購買契約を結んだのでした(というわけでその当時Qualcommの株価は急上昇、Appleはそれほど変わらなかったのでした)。

しかしAppleはその後Intelの5Gモデム開発部門をそのまま買収したことから、Qualcommから5Gチップを購入しつつ自社で開発しているというのはほぼ間違いないとみられています。

AppleがQualcommのやり方を問題視した理由とは

そもそも、Appleはなぜ2017年にQualcommを相手取って訴訟を起こしたのでしょうか?それはQualcommが自社技術を他社に提供する際のライセンスの仕組みに端を発しています。

AppleとQualcommの裁判の中で提出されたQualcomm側の弁論趣意書によると、同社はAppleやHUAWEIなどの携帯電話メーカーに対するライセンス料として、端末価格の5パーセント程度、つまり最大で1台につき20ドル程度の金額を求めることが多いということです。例えば、Qualcommの技術を搭載したスマートフォンを300ドルで購入すれば、そのうち15ドルが同社の懐に入ることになります。しかもその端末にQualcommが製造したチップが入っていなかったとしてもそうなるのです。もしiPhoneのように単価1,000ドルの端末が売れれば、Qualcommの手元には20ドルが入ることになります。

このライセンス料は、更にメーカー側がQualcommのチップに対して支払うコストの大半を占めています。Appleはこれを二重取りだとして問題視しました。更にAppleは、先ほど書いたとおり反トラスト法(独占禁止法)違反の根拠として、Qualcommがハイエンドなワイヤレスチップ技術において独占状態となっていることから、このようなライセンス契約が可能になっているのだと主張していたのです。

Appleとの訴訟が終わっても、Qualcommの反トラスト法違反の可能性の問題は残っている

Appleは最終的に、Intelが5Gモデムチップの開発を断念したことからやむなくQualcommとの係争に数千億円というお金で決着を付け、再度Qualcommから5G対応チップを購入することを決定したわけですが、実際にQualcommは無線チップの市場における独占的な立場を利用して消費者に過剰請求していたとして、米国連邦取引委員会(FTC)による反トラスト法訴訟の判決を待っている状態にあるのです。

このFTCによる訴訟においてQualcommは「チップの価格に占める知的財産の価値は切り分けて算出できない」と主張しています。言い換えれば、Qualcommはチップを割安に販売していて、ライセンス料で埋め合わせているというわけです(プリンター本体を安くしてインクを売って補填するようなやり方)。このやり方はチップの業界では風変わりに見えますが、実はQualcommが半導体業界の中でも独占的な地位を築くずっと前からその方法を続けていることから、独占状態になってから導入したわけではないということもあり、反トラスト法違反とならない可能性もあります。

Appleは自社でのモデムチップ開発は続ける、問題は採用時期

Appleは上記のリスクも見越した上で、自社でのモデムチップ開発を続けるものとみられています。もちろん、Appleとしてはできるだけ自社製品の中に入っている部品を自社開発する方針で動いているのは間違いなく、最近はMac用のメインプロセッサのIntelチップを自社開発でARMベースのM1チップに切り替えたのは、まさにその動きの一つです。AppleはCPUだけではなく、GPUやニューロンエンジンも自社開発しています。

5G対応モデムチップについてはQualcommには劣るIntelの開発部隊を買収したことから数年かかるといわれていましたが、それが今回のMing-Chi Kuo氏の予測によって、サプライチェーンでの導入予測は少し早まっているとみることができそうです。ただ、この予測が100%当たるかどうかについてはもちろん保証できません。

なお、Apple Trackによれば、Ming-Chi Kuo氏のApple未発表製品に関する予測制度は76.6%です。特にこの数字がなくても、これまでMing-Chi Kuo氏が多くの予測を的中してきたことは世界のテック業界でも有名で、またこのブログの読者であればご存じですね。当ブログでMing-Chi Kuoと検索すると非常に沢山の記事が出てくることからもおわかりになるかと思います。

記事は以上です。

(記事情報元:Apple Track

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