誕生して1年、中国ネット企業最大手テンセントの【QQ IoT】は何をしてきたか?

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IoT-starter-kit

1年前、中国のIT最大手の1つテンセント(Tencent、腾讯)がスマートデバイスの流行をうけ、テンセントソーシャルデバイスオープンプラットフォームの”QQ IoT”をリリース、正式にIoTの世界に足を踏み入れた。先日、QQ IoTが2015年のTencent世界提携パートナーカンファレンスの分会で、その1年の成果を提出した。日本ではあまり報道されないが、中国のIT業界はある意味独自の発展を遂げ、その多くの品質が世界で広く使われているサービスを凌駕している。この記事は中国のメディアiFanrによるものだ。

さてQQ IoTの王涛社長によれば、QQ IoTの事業はデバイス・クラウド・ユーザの3つの角度から理解できるという。

QQ IoTの役割

まずデバイス面では、QQ IoTは自らは最終的なハードウェアの完成品までは作らないが、ハードウェアのSDK(ソフトウェア開発ツール)は提供するという。サードパーティのデベロッパがハードウェアを作った時に、QQ IoTはそこに開発ユニットとモジュールを提供するというわけだ。例えば、QQ IoTとインテルやクアルコム等の世界でもトップ15に入るチップメーカーと共同で専用のチップを開発するなど。

 

 

QQ-IoT_eco_system

クラウド面では、QQ IoTでは7+6のサービスを提供するという。例えば音声・動画、Tencent Pay、Tencentサービスシステム等々だ。ユーザ面でいえば、QQの8.43億人にも及ぶアクティブユーザのことを指す。同時に更に優れたUXのために、QQはIoTデバイスのサポートを備えているという。

QQ IoT誕生から1年間の軌跡

テンセントの邱躍鵬副総裁によれば、2014年10月にリリースされて以来、QQ IoTは3000以上もの企業からの提携申請を受けたといい、関連製品は100種類以上に及び、その中にはスマートホーム、車載デバイス、医療機器、セキュリティ関係など12の領域に及ぶ。

更にQQ IoTの王涛社長によれば、QQ IoTプラットフォームに接続可能なのはウェアラブルデバイス、スモール家電、家具などのブランドが多いという。地域に関しては基本的に北京・上海・広州・深圳等一線級都市がほとんどのようだ。

具合的な提携パートナーとして、QQ IoTは家庭エンタメ領域ではCHANGHONGやLeTVやKONKA、ソーシャル関係では糖猫、車載デバイスでは盯盯拍行ドライブレコーダー等を挙げている。

QQ IoTによって実現した具体的な製品

Googleの数十億円の投資を受けた出门问问(出門問問)もQQ IoTの提携パートナーの1つだ。スマートウォッチ用OS、Ticwear 3.0.6 OSを搭載したTicwatchに内蔵されているQQ親友機能を使って、ユーザはソーシャルネットワークのQQアカウントを紐つけることができ、スマートウォッチから直接QQで友人とボイスチャットをすることが可能となる。

製品に関しては、卓旗科技と共に共同開発で、子供用の靴にとりつけるチップがQQ IoTの重要プロジェクトとして紹介された。

QQ-IoT_kids_shoes

QQ IoTの毛華副社長によれば、このチップモジュールはこれまでのBluetoothテクノロジーの距離の限界を突破し、スマート子供靴のコストを大きく下げることができるという。初めてこの”敏狐”チップを搭載した製品は、QQ IoTと子供靴メーカーと共同でリリースしたQ Findというブランドからリリースされる。

テンセントのCEO、ポニー・マー(馬化騰)によって提唱された「全てを繋げる」というスローガンによって、QQ IoTは更にデジタルアース計画を発表し、多くの異なるスマートデバイスを繋げ、消費者に多様な機能を提供することを目標としているようだ。

画蛇添足 One more thing…

中国のIT大手、テンセント・アリババ・バイドゥなどは、彼らが成功してきた根幹のサービスの全てが海外にもともとあったサービスの模倣から始まり(テンセントはICQのコピー、アリババは海外CtoCサイトのコピー、バイドゥはグーグルやインフォシークのコピー)、その後独自の進化を遂げてきたが、ほぼ中国国内或いは中国人・華人に限定したサービスであることが特徴だ。

それは海外からのサービスや競争相手の流入を、中国の特殊な「グレートファイアウォール(GFW)」によって国から守られているという環境があったからこそできてきたサービスでもある。ある意味中国のネット環境という超巨大なイントラネット、ガラパゴスの中で育ってきて、それがいつの間にか莫大な資金力をつけた上に中国の市場成長への期待を受けて海外の株式市場に上場にするようになったのだろう。

もちろん中国独特の圧倒的な人数と未だに成長している経済力を背景に、圧倒的な資金力と開発力をもって発展しているわけで、日本のもともと規模が小さくしかもこれから縮小する運命の市場のパイを奪い合うガラパゴスとは全く違う様相なのは間違いないが、もちろんこのままでは中国の企業が全世界向けのサービスで海外の企業にリードできるかどうかは未知数だ。

今回のテンセントのように、Googleが投資した企業と提携するなどは世界に出て行くためのいい方法だと思う。本来の独自のサービスが提供しにくければ、買収したり提携したりすればいいわけだ。IoTのような新しい分野においてはなおさらだ。ただ、テンセントだけに限らず、アリババもバイドゥも本来の事業ではない新事業に関してはそれほど成功しているとはいいがたい状態で、今後の成長が不透明だ。そして今回の記事の主旨のIoT業界も、まだ世界的に見ても決定的な製品が出てきていないのが現状だ。

中国の企業から世界的なIoT企業が出てくるのか、それが現在の大手のテンセント・アリババ・バイドゥなのか、はたまたシャオミなのか、それとも全く別の企業なのか。。今後も目が離せないところだ。

個人的にはシャオミのスマートフォンを中心としたスマートホームが廉価でかなり発展してきており、これが新しい何かを生み出しそうな気がするのだが。。

記事は以上。

(記事情報元:iFanr

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