Apple vs FBIの激しい争いは、特に実質的に闘争に発展することなく、また双方傷を負うことなく、FBIが訴えや要求を取り下げる形で終了した。しかしそれは2国間の戦争と同じで、今後未来永劫AppleとFBIが戦火を交えないという保障にはならない。
方や億を超えるユーザを抱えるテック業界の巨頭、方やいつでもどこでも現れては人に迷惑をかける政府機関。役者が揃いすぎて、この両者が再度激突するのは避けられない運命だったといえよう。
そして、とうとうその日が訪れた。FBIが去る7月8日、裁判所にとある捜査令状を申請した。その目的は、AppleのiCloudサーバ内部を調査するためだという。
正確にいえば、FBIが申請した捜査令状が及ぶのはたった1人のiCloudユーザのデータだ。つまり、FBIはAppleの助けを借りて、そのユーザのiCloudアカウントに進入したいと考えているということになる。
FBIの発言によれば、そのiCloudアカウントがある児童ポルノと性暴力事件と関係があるという。FBIは2016年7月8日にアメリカのペンシルバニア州地方裁判所に捜査令状の申請を提出したが、記事更新現在、まだ裁判所の回答が得られていないという。
これまでのAppleのやり方から見れば、もし裁判所がFBIの申請を通したとしても、Appleは恐らくその執行命令を拒絶してiCloudサーバへのアクセスを拒否するだろう。なぜならAppleはかつて、FBIが1台のiPhone 5c(昨年12月にアメリカで起こった銃乱射テロ事件の犯人が所有していたとされる)の情報を調査するために、裁判所の執行命令をもってAppleへの協力要請をしていたのだが、それをはねつけていたからだ(理由はユーザのプライバシーの保護のため)。
そのAppleの拒絶があったからこそ、FBIはAppleと、セキュリティとプライバシーの関係について、世界中の世論を巻き込む舌戦を繰り広げた。しかし双方が裁判所で対峙する一日前に、FBIは突然Appleにロック解除を頼まないとして手を引いたのだった。
画蛇添足 One more thing…
もちろんかつてFBIが手を引いた理由は、FBIがサードパーティの会社の力を借りてロック解除に成功したからなのだが。
今回のFBIによるiCloudサーバへのアクセス要求(捜査令状)について、裁判所の判断とAppleの反応が気になるところだ。もし裁判所がFBIの捜査令状申請を通してしまった場合は、Apple vs FBIの第2ラウンドになる可能性もある。
かつてのメイウェザーvsパッキャオくらい、みものではないだろうか。
記事は以上。
(記事情報元:Patently Apple)