iPhoneは秋にリリースされるようになってから私たちはそれに慣れてしまったが、実はiPhoneのアップデートはいつも9月に行われていたわけではなかった。
専門家からも、これまでiPhoneにとって非常に重要な発表は2007年と2010年に行われたといわれている。つまりそれは、初代iPhoneとそしてiPhone 4の発表のことだ。
iPhone 4のリリース発表はちょうど6年前の6月7日、WWDCにて
あまり多くの人が覚えていないことかもしれないが、iPhone 4のリリース発表は2010年6月7日に行われた。まさにちょうど6年前のことだ。現在となってはiPhone 4は最新のiOSが搭載できず(搭載可能な最新版はiOS 7.1.2)、また3.5インチディスプレイは今の時代の人にとっては既に小さすぎて使いにくく感じるだろう。しかし2010年には、iPhone 4は世界中の消費者を熱狂させる存在だったのだ。
iPhone 4は苦々しいデビューに関わらず、時代を先取りしたスペックと優れたデザインで喝采を浴びた
iPhone 4はリリース前に”バーゲート”事件に見舞われ、当時開発中だったiPhone 4のプロトタイプ(デモ機)がAppleの従業員がうっかりバーに忘れてしまったことで流出し、予め外観の情報は漏れてしまっていたものの、WWDCであのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)がiPhone 4を取り出した時、やはりデベロッパもメディアもその新しいデザインに驚かされたものだった。
それは、iPhone 4がスティーブ・ジョブズの巧妙な口上によって彩られていたからというのもあるかもしれない。
-2007年、Appleは携帯電話を再発明。
-2008年、AppleはiPhoneに3Gネットワークの接続機能を追加。
-2009年、iPhoneの速度は2倍に。
-2010年、そして私たちはiPhoneのこれまで最大の飛躍を迎える。
そして登場したiPhone 4には、500万画素のiSightカメラ、Retinaディスプレイ、Facetimeによるビデオチャット(フロントカメラの追加)、そして業界では唯一無二だったガラスボディが搭載されていた。機能的には同時にリリースされたiOS 4の機能としてマルチタスクを実現したのも大きく、まさに時代を先取りしたスマートフォンデバイスだった。iPhone 4は発売後1週間で170万台の売上を記録した。
iPhoneが飛躍的に売れたのはiPhone 4から
本当の意味で世界にiPhoneが羽ばたき、大ヒット・大成功したのはiPhone 4からといわれている。日本でも発売当初はまだSoftbankでしか扱われておらず、独占状態だった。現在ではAppleにとって2番目の市場になっている中国でも、iPhoneの中で正式に発売されたのはiPhone 4からだった。多くの中国人がiPhoneのことを知ったのはiPhone 4からだといわれている(もちろん初代から密輸はされていたが)。
ホワイトモデルの販売の遅れやアンテナゲート問題など、問題が多かったデバイスでもある
iPhone 4といえば、ホワイトモデルの販売が遅れに遅れたことも話題となったし、なんと言っても“アンテナゲート”で話題になった端末だ。左下のプラスチックのつなぎ目の部分に指が触れるとアンテナが弱くなってしまうという弱点があったことで、当時のスティーブ・ジョブズCEOもティム・クック(Tim Cook)COOもフィル・シラー(Phillip Schiller)SVPやボブ・マンスフィールド(Bob Mansfield)VPもさんざん飛び回って火消しに回ったが、集団訴訟も招くなど大問題になった。
最終的にはジョブズ本人がメディアに出てきて、「他社製品にも同じような問題がある」「業界全体の問題」という問題のすり替えをし、Appleからはバンパー無償配布及び発売1ヶ月以内の無傷の製品の返品措置をとることで何とか火消しに成功した。その後Appleのハードウェア設計の責任者、デバイス・ハードウェア・エンジニアリング担当SVPの職にあったマイク・ペーパーマスター(Mark Papermaster)氏が詰め腹を切らされたといわれている。
結局次世代のiPhone 4s(発売当初はiPhone 4S)では、そのアンテナ部分に修正が施されたため、やはりAppleもこのアンテナゲート問題を深刻に受け止めていたのは間違いない。
iPhone 4ではSIMロック解除アダプタのSIM下駄が充実、修理は難しかったり。。
色々な意味でも話題を呼んだiPhone 4は今でも記憶に残っている人は多いのではないだろうか。個人的にはSIMロック解除用のSIM下駄(SIMロック解除アダプタ)が充実し始めたのがiPhone 4で、その次の世代のiPhone 4sでSIM下駄が花開いたことをよく覚えている。もちろんiPhone 4はぼろぼろになるまで使った。ガラス筐体だっただけに、割れると背面もばっきばきに亀裂が入るのも、また一種の芸術だった。
分解の難易度も現在のフロントパネルを開けると修理ができてしまうiPhone 5以降のものと違い、リアパネルからのエントリーとなるので、なかなか難しかったのだ。逆にギークにとっては挑戦しがいのある端末だったに違いない。
来年のiPhoneはiPhone 4のデザインを踏襲?
来年のiPhone(iPhone 7sまたはiPhone 8?)はiPhone 4のデザインを踏襲するという噂もある。つまり、ガラス筐体に戻るということだ。そして来年のモデルのガラスには、サファイアガラスがいよいよ用いられるのではないかとされている。
来年2017年は、iPhoneがリリースされて10周年。その記念すべき年に、私たちは再び奇跡を目にすることができるだろうか?
記事は以上。