モバイル用チップとして最強のApple A9Xチップ、製造コストはA9よりもだいぶ高いかも

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

iPad Proに搭載されているA9Xチップは総面積が147mm2もある。このような大きなチップを作るためには、Appleはさぞ多くのお金を払ったのではないだろうか、と考えるのが普通だ。そして大方の予想通り、A9XチップにはiPhone 6s/6s Plusに搭載されているA9チップよりもだいぶ高いお金が支払われているようだ。中国のメディアWeiPhoneが以下のように見積もっている。

A9X_iPad-Pro_A9Xチップ

A9チップのコストは22〜24米ドル、ではA9Xは?

以前のA9チップの詳細分析で、その製造コストは22〜24米ドルの間であろうと見積もられていた。では12インチMacBookよりも優れているとされる、iPad Proに搭載されたA9Xチップはいったいどれほどの製造コストがかかったのだろう?

 

チップ製造のコストに関わる3大要素

A9Xチップのサイズは147mm2だが、チップの製造コストには、面積サイズを含め3つのコスト変動要素がある。それはシリコンウェハーのコスト、チップのサイズ、そして生産数量だ。

シリコンウェハーのコストは、チップのコストへの影響が非常に大きい要素だ。そしてチップのサイズも、既定サイズのウェハーに載るチップの総数とチップの生産量に影響する。当然生産数量もコストに影響する。なぜなら1つ1つのシリコンウェハーで加工できるチップの数が多ければ多いほど、1つのチップのコストは下がるからだ。

 

A9Xのチップコストの三大要素分析

TSMCの16nmプロセスでいえば、A9Xのシリコンウェハーのコストは8,400米ドルで、チップのサイズが147mm2だ。生産数量については、これはAppleが公表していないためなかなか推測が難しい。歩留まりでいえば、A9チップは約80%だったが、A9Xチップはサイズが大きいためそれよりも低くなると推測される。またA9Xはコア動作クロックが高く、このことも歩留まりを悪くする原因だ(同じCPUでも、1.85GHzの方が2.26GHzモデルより難度が低く、歩留まりがいい)。偏差があるとして、歩留まりは65%と仮定する。

そしてSilicon Edgeの推測によれば、1つのウェハーに対して401個の金型が用いられるとされるため、上記の通り歩留まりが65%と仮定すると、最終的には1つのウェハーから261個のチップが完成品としてできあがるととれる。そして8400ドルのコストをこの261個に平均して分担させると、1つのチップのコストは約32.2米ドルとなる。

 

A9Xの全体コストはA9チップより62%高い

そしてその上に載るのがチップのパッケージコストだ。以前、A9チップのパッケージコストは3〜5ドルと見積もられていたので、A9Xチップも保守的に見て5ドルとしよう。つまりA9Xチップのコストはウェハーのコストとパッケージコストで37.2米ドルということになる。A9チップのコストを23ドルと仮定すると、A9XチップはA9チップより62%も高いということになる。A9XはA9チップよりも面積サイズが40%大きいことを考えれば、これは理にかなっている数字といえるだろう。

 

A9Xチップは現状市場で売られているモバイル用チップとして最強

A9Xは現在市場に出ている中で最も進んでいるモバイル用チップシステム(SoC)だ。一流のCPUとGPUを持ち、最先端の技術を採用し、また面積サイズも大きいこのチップは、あらゆるベンチマークテストでその抜きんでた性能を発揮している。

以前GeekBenchによるiPad Proのベンチマークスコアを見ると、A9Xのシングルコアは3242で、マルチコアが5521となっている。最新のSnapdragon 820チップは、最近のベンチマークスコアはシングルコアが2032で、マルチコアが5910だった。コア数の違いでマルチコアに関しては劣るものの、シングルコアの性能でA9Xに勝るモバイル用チップは存在しないのが現状だ。

 

画蛇添足 One more thing…

もちろん上記はWeiPhoneの推測に過ぎないため、確実に合っているかどうかは不明だ。しかしA9Xチップのコストはたったの4,500円ほどということで、もちろん他にもディスプレイやその他の部品で色々コストはかかっているだろうが、それを1台10万円近い或いはそれを超える価格で売るAppleはやはり相当儲かる商売をしているのだろう。。

ただし、A9Xを搭載するiPad Proは用途が限られるため、初期ロットの生産台数は恐らく数百万台に抑えられているとみられる。数千万台或いは億を超える単位になるiPhone 6s/6s Plus用のA9チップとは発注数量が違うことも頭に入れる必要はあると思われる。

なお、当ブログでは別記事でもA9Xの神秘的な性能について紹介している。

しかし12.9インチというあれだけの大きいデバイスを動かすためには、やはり普通のコンピュータ以上の性能のチップが必要となるのは間違いないようだ。ちなみにチップのコストはIntelが最も高いとされ、特にIntel Coreシリーズは高いようだ。そしてAtom系のチップはぐっと安くなっているらしい。

記事は以上。

(記事情報元:WeiPhone

Visited 79 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人