iFixitが4月24日の発売当日にApple Watchを分解したことは大きなニュースになったが、ABI ResearchはApple WatchのCPU、S1チップまで分解し、回路設計やチップ部品などの内部構造について明かしている。
以下の分解後の写真を見れば、内容は一目瞭然だ。
そして、プロセッサと一体となっているメモリはエルピーダ製で、512MBであることもわかった。
- Apple S1 CPU(APL0778)
- Broadcomm Wi-Fi/Bluetooth/NFC/FM 4機能統合ワイヤレス通信チップ(BCM43342)
- Sandisk/TOSHIBA 8GB フラッシュメモリ
- AMS NFC 電波増強チップ(AS3923)
- NXP NFC コントローラ
- エルピーダ 4GB(512MB) SRAM メモリチップ(F440AAC)
- NXP チップ(型番不明)
- IDT ワイヤレス充電チップ(P9022)
- ADI タッチパネルコントローラ(AD7149)
- Dialog 電源コントローラ(D2238A 338S00046)
- STマイクロエレクトロニクス 半導体センサー/加速度センサー/コンパス
Apple WatchのS1チップは、Appleが自主設計・開発したプロセッサユニット
Appleは早くから自身でプロセッサを自主設計しており、iPhone4の発表から今まで、毎年更新されるiOS製品によって、Appleのチップのデザインの進歩を見ることができる。Apple Watchでは、AppleはこれまでのiOSデバイス用プロセッサと同様メモリとプロセッサを1つにするやり方をとっている。Apple Watchの内部回路設計も基本的にはiPhoneのものを踏襲しているが、製造プロセスは複雑だ。なぜなら、Apple Watchは内部空間が非常に小さいからだ。
ABIの分解レポートによれば、今回の分解で我々はS1チップの内部構造を見ることができただけではなく、AppleのApple Watchの部品サプライヤーの選択もiPhoneとは違っていることがわかる。例えばSRAM(メモリ)のサプライヤーにエルピーダを選んでいたり、半導体センサー/加速度センサー/コンパスなどのセンサーチップにSTマイクロエレクトロニクス、そしてタッチパネルコントローラにADI、ワイヤレス充電チップにIDTなど、これまでのAppleのサプライチェーンリストの中にはあまり現れてこないメーカーを使っているのだ(当然、それはこれまでのiPhoneなどのデバイスとは違う機能を実現するためであるのは間違いないのだが)。
1つ1つのチップを取ってみてもそれぞれが1つのコンピュータクラスの性能と仕組み
“1つ1つの小さなチップが、まるでそれぞれが1つのPCクラスの仕組みを持っている”
これが、AppleのS1チップに対する最も簡単で最も荒々しい描写の仕方でもある。これまでの情報によれば、S1チップはAppleのA5チップ並の実力がある。つまり、Apple WatchはiPhone4s相当の処理スピード能力があるということだ。しかも面白いことに、当初iPhone4sに使われていたメモリのサプライヤーもエルピーダだった。ある意味、S1チップはA5チップの変種バージョンと言っても過言ではないかもしれない。
“制限が過酷になればなるほど、豊富なイマジネーションが湧いてくる。私たちがApple Watchのために特別に創り出したチップは、その典型的な例だ”
Apple Watchの小さい寸法は、Appleの開発プロセスで最大の困難となったに違いない。しかしS1チップの出現で、”腕の上のデスクトップコンピュータ”が現実のものとなった。この目標を実現するために、Appleは更に他のアイデアを思いついたようだ。
“多くの子プロセスを1つの非常に小さいモジュールに集め、それを樹脂で完全に密封し、電子部品が衝撃や摩耗、そして他のユニットと干渉しないようにした。完全なコンピュータシステムを1つ1つのチップに載せたことは、業界の先鋒を行き、また我々がプロセス設計とミクロ化領域で非凡な成績を残したことを表している”
画蛇添足 one more thing
色々と素晴らしいチップを搭載していたとしても、問題はそれで何ができるか、何をするかということなのだが。。
メモリがたった512MBということで、それでApple Watchのアプリの動きが遅かったりするのだろうか。
記事は以上。
(記事情報元:ABI Research、WeiPhone)