米国連邦捜査局(FBI)のJames Comey局長が先週の公聴会で、会計年度2017年の前半で、FBIは3000台ものモバイルデバイスのロックを解除し、中の情報を取り出そうとしたが、そのうち約半分ほどの解除に失敗したと発表している。
James Comey局長は書面での声明においても、法律による権限の承認が与えられていても、FBIは現在の技術ではこれらのモバイルデバイスの内部にアクセスすることができなかったという。ただ、Comey局長はそれらのデバイスのうちどれだけの台数がテロ事件に関わっていたのか、またFBIがデバイスにアクセスしようとした時に具体的にどんな困難があったのかについては説明されていない。
Comey局長は過去18ヶ月、既にプライバシーに関してメーカーと非常にオープンに友好的な、かつ効果的な対話を行ってきたとしている。Comey局長自身も他の人と同様自らのプライバシーを重視しており、誰もがバックドアを望んでいないというが、FBIがデバイスにアクセスできるようにメーカーと交渉する道のりも非常に重要であるともしている。恐らくComey局長のいう、解除に失敗した半分のモバイルデバイスの大多数がAppleのiPhoneなのではないかと思われる。
去年年初、AppleとFBIは、一昨年年末に発生したカリフォルニア州サンバーナーディーノで発生した銃乱射テロの犯人で現場で射殺されたサイード・ファルクが持っていたとされるiPhone 5cのロック解除を巡って激しく対立した。FBIはテロ事件の犯人とテロ組織との関連性や動機などの調査のために解除が必要と主張して、バックドアを持つ特殊なOSを開発するように要求し、Appleはユーザのプライバシーとセキュリティのために絶対に同意しないとして法廷で争う構えを見せた。その後、FBIはイスラエルのセレブライト(Cellebrite)社の力を借りてiPhone 5cをロック解除し、FBIとAppleの衝突はいったん終了した。
しかし公衆の安全とプライバシーについては相反する問題で、今後も何らかの有効な解決策が見いだされない限り、FBIとメーカー(特にガードが堅いApple)とのいさかいは続くだろう。
記事は以上。
(記事情報元:TechCrunch)