小米(シャオミ)がインターネット金融業界に進出、小米ウォレット(モバイルペイメント)がやってくる!

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中国最大のスマホメーカー、小米(シャオミ、xiaomi)。中国でのスマートフォン最多売り上げ台数を誇り、最近は中国外でもスマートフォンやタブレットの販売を開始している。

しかし現在の小米はかつての小米と大きく異なっている。スマートフォンハードウェアの分野で素晴らしい成績を残した後、同社はハードウェアを入り口としてまさに”クレイジー”な布石を始めている。スマートホーム、医療やヘルスケア、不動産等の分野だけではなく、今度は金融業界にまで進出しようとしているのだ。以下の記事は中国のメディアWeiPhoneの記事を日本語訳し、少々意訳を追加したものだ。

■小米のCEO、雷軍(レイジュン)
xiaomi_小米_シャオミ_雷軍_レイジュン_CEO

小米がMIUI開発版のみでこそっと”Mi Wallet”を開始

先日、小米は非常に控えめに”小米钱包(Mi Wallet、シャオミウォレット、以下小米ウォレット)”のオフィシャルサイトをオープンした。また小米が自社デバイス用に開発しているAndroid用UI “MIUI”の中の小米ウォレット(Mi Wallet)機能において、既に中国国内で先行しているAlipay(支付宝)が展開している余额宝のような毎日出し入れ可能で毎日利息が返ってくるタイプのMMF(マネー・マネジメント・ファンド)をスタートしており、ユーザは財テク商品を買うことができる。そのうち易方达基金管理公司が提供している財テク商品は、年利が6.437%で、1万元(約19万円)を入れておけば毎日3.0584元(約57円)の利息が入ってくることになる。なお、Alipayの余额宝が年利4%代をうろうろしていることを考えれば、それよりも2%ほど優勢だということがいえよう。

しかし記事更新現在では小米ウォレット(Mi Wallet)の財テク機能は小米のMIUI開発版(开发版、小米のデベロッパー版)でしかリリースされておらず、小米の中の人の情報によればMIUI正式版でこの機能がリリースされるのはもう少し先になりそうだとのこと。

※ちなみに私小龍は小米の紅米NoteでMIUI開発版を使っているため、以下にMi WalletのMMFのさわりのUIだけご紹介。

■Setting>Mi AccountにMi Walletがある。
Screenshot_2015-03-28-00-36-55

■Mi Walletを開くと下のアイコンに”货币基金”というものがある。これがインターネット金融、MMFだ。
Screenshot_2015-03-28-00-38-28

■銀行カードを関連づける必要がある。ちなみに中国人の身分証がないと登録できないため私は登録できていない。
Screenshot_2015-03-28-00-38-43

小米は2年前からインターネット金融業界への進出のための布石を始めていた

実は小米が金融業界に進出するための布石は、2年前に始まっていた。2013年12月、小米は“北京小米支付技术有限公司”を設立しており、去年2月には小米は北京銀行とモバイル金融について全面的な協力関係を結ぶ契約にサインをしており、モバイルペイメントや信用貸金業についての協力関係を探っていた。そして昨年末には、小米は中国中央銀行(日本でいえば日本銀行にあたる)に第三者決済機関としての許可書を申請しており、今年1月には小米ウォレットがリリースされたという流れがある。そして上記の通り、MIUI正式版にMMFサービスが搭載されれば、小米は正式にMMFのサービスを開始することとなる。

更にこれらの金融業に関して専門家チームを作り、商品研究と開発のスピードを上げるため、小米は信用貸付業のポリシー専門家や管理経験のある人材や、金融商品マネージャーや金融プラットフォームマネージャー、そして会計エンジニアなどの人材を募集し雇用している。

小米のインターネット金融への進出は宿命的

小米はなぜここまで急いでインターネット金融業界に進出しようとしているのか?それはインターネット金融が今後非常に発展し競争が熾烈になること、そしてAppleやGoogleなどの巨大なエコシステムを持つテクノロジー企業が既に進出してきていること、もちろん中国国内ではアリババ(Alibaba、阿里巴巴)やテンセント(Tencent、腾讯)、バイドゥ(Baidu、百度)、京東(JingDong)などインターネット企業がその入れ込み用は様々とはいえ既に金融業界に入り込んでいることがあるからだ。また小米のビジネスモデルからみれば、金融サービスは小米が追い求める「次の風穴を見つける」というやり方に合致するのだ。

“ハードウェアで流れを引き寄せ、ソフトウェアでプラットフォームを作り、サービスでマネタイズする”、これが小米のCEO、雷軍(レイジュン)が結論づけている”小米的ビジネスモデル”だ。昨年、小米は6,112万台のスマートフォンを売りまくって、累積ユーザ数は1億人を突破している。小米はハードウェアで儲けているわけではないが、これらのバカ売れしたハードウェアは、とてつもない量の”入り口”を小米に提供していることになる。小米は主要な利益をサービスから得るとしているが、現在の小米の付加価値サービスは有料の壁紙やテーマくらいで、有料ソフトウェアの数も量的に少なく、日々巨大化する小米の経営規模を支えることはできない。そんなわけで、小米は次のソフトサービスの”風穴”を探さねばならず、インターネット金融はまさにその潜在的な力があるとみられている。

中国のインターネット金融はとてつもなく潜在的な市場

中国は全体的に貯蓄が多い国だ。長江奨学院の陳龍教授のリサーチデータによると、中国国内の家庭内での平均現預金貯蓄額は49.3万元(約945万円)に達し、もしその半分の50%がインターネット金融に流れ込めば25兆元(約479兆円)規模の市場となり、中国企業の貯蓄額も39.5兆元(約757兆円)あり、もしそのうち20%だけでもインターネット金融に流れ込めば8兆元(約153兆円)の規模となり、この2つを併せれば33兆元(約632兆円)という空前の市場規模を生み出すことになる。

中国国内でインターネット金融で先行者利益を真っ先に得たant group(蚂蚁金服、アリババの余额宝などを運用している会社)は、最新の融資価値が1,700〜2,000億元(約3兆2580億円〜3兆8,330億円)にものぼり、更にアリババグループの33%の株とを入れると、全体の企業価値が3,000億元(約5兆7,494億円)となって500億米ドル相当となり、ant groupだけでも小米と同等の企業価値になっていることからも、その潜在的な爆発力を感じるだろう。

小米はインターネット金融業界に進出する時点で優勢に立っている

インターネット金融は間違いなく小米が探している”次の風穴”の大部分の条件を満たし、また小米は金融業界に進出する時点で既にある程度優勢に立っているといえる。

小米の最大の優勢は当然ながらその圧倒的大量なユーザ数で、既に上記の通り1億人ものユーザを抱えていて、しかも大部分が若者だ。小米のユーザを形成する若者は、非常にアクティブで新し物好きでしかもインターネット世代のため、新しいインターネット金融サービスも受け入れられやすいとみられている。

小米は更にハードウェアとの親和性という点でもある程度優勢だ。現在の小米のMIUIは既に比較的完全なソフトウェアとハードウェアのサービスエコシステムを構築している。このエコシステムを利用して、小米は他社の生活サービス提供者と協力して、更に多くの決済環境を得ることができている。またハードウェアにおいても、スマートフォンやタブレットの他、小米フィットネスバンドなどもパスワードなしでの支払いを提供することができるようになっている。

インターネット金融業界に進出する小米にいくら優勢があってもつきつけられる難題

上記のように小米はハードウェアとソフトウェアの両方のエコシステムを持っており、しかも膨大なユーザ数の基礎を持っているという2大特典があるとはいえ、インターネット金融に参加しようとするといくつかの難題にぶちあたることになるだろう。

なぜなら、上記の通り中国国内では既に大多数のインターネット企業が金融や決済業務に手を出しており、アリババ・テンセント・バイドゥの三大巨頭の他にも、Sina(新浪)、盛大、Netease(網易)、Jingdong(京東)、Suning(蘇寧)などが既に自社独自での決済手段を確立している。その中でも最大の競争相手となるであろうアリババグループのAlipayやテンセントのWeChatも既に膨大な数のユーザを抱え、背後には非常に強大なエコシステムが存在してそれを支えており、小米がこの2大巨頭の地位を脅かすまで成長するのは非常に難しい。更にファーウェイ(Huawei、華為)やメイズ(Meizu、魅族)などの小米と同じようなスマートフォンメーカーも独自のモバイルペイメントを始めており、それらに比べ小米はやっと金融サービスプラットフォームを打ち立てたという段階で、モバイルペイメントに関しては一歩後れをとっている状態だ。

その他にも、インターネット金融サービスは多くの政府による政策やセキュリティ技術問題を解決する必要があり、完全なシステムを作り上げるには長い時間をかけた問題解決の積み重ねが必要となる。現在の小米のソフトウェア・ハードウェア業務は爆発的成長段階にあり、暫くはそのリソースを他に振り分けるのは困難で、そのため迅速に完全な金融サービスシステムを作り上げることは小米にとってはある意味挑戦であるといえるだろう。

小米はインターネット金融業界にも風穴を空けてくれるか?CEO雷軍に期待

小米ビジネスモデルのコアは一貫したUXとサービスを提供することだ。ハードウェアでユーザの入り口を作り、ソフトウェアで足固めをし、そして非常に巨大な潜在的需要があるインターネット金融サービスで儲けを出すというやり方は非常に小米のビジネスモデルに合致していると思える。インターネット金融はまさに小米の次の”風穴”だ。ただ上記の通り小米は他の企業と比べて少々後れをとっており、この”風穴”を塞がれずに死守できるかが小米にとっての試練となるだろう。

小米のCEO雷軍はいつもあっと言わせるような、常識を覆すようなやり方をすることで有名だ。彼なら、インターネット金融業界に進出しても、既得権益者とは違った何らかの面白い”遊び方”を思いつくかもしれない

CEO雷軍が率いる小米はそこまで期待するに値する企業だといえるだろう。

画蛇添足 One More Thing

中国大陸の人でないと参加できないMMFや高利回りの貸金業(P2P金融)。外国人には縁がない世界だが、もし小米が今回のインターネット金融の進出を本格的に始めて、その結果上場するようなことになれば、その株を買うことで間接的に投資をすることができる。

小米の今後の動きに要注目だ。

個人的にはそんな中国人しか参加できないようなインターネット金融サービスよりも、早く小米Noteのハイスペック版(顶配版)を発売してくれないかな、と首を長くして待っているのだが。。

記事は以上。

(記事情報元:WeiPhone)

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