ウェアラブルデバイスの出現により、スマートフォンとのインタラクティブ体験に変革が訪れている。
ウェアラブルデバイスはデータを記録するだけではなく、人々がスマートフォンを取り出す回数を確実に減らしてくれている(もし情報を逃さなければの話)。そして音声入力などの方法でスマートフォンを直接いじらなくてもリモートコントロールすることができるようになっている。これらはウェアラブルデバイスによる変革で、そしてこの機能があるからこそウェアラブルデバイスには魅力がある。
しかし、バッテリー持続時間がこのウェアラブルデバイスの発展を阻害しているのは間違いない。携帯性を高めることを考えると、ウェアラブルデバイスは分厚く重くすることができず、そのため大容量バッテリの搭載は諦めざるを得ない。どのように電力消費を減らすのか、それが今後のウェアラブルデバイスの発展の鍵となる。
しかしテクノロジー学会では別の方法でウェアラブルデバイスのバッテリー持続時間を延ばそうという動きが現れている。ノースカロライナ州立大学研究センターの”ASSIST計画”がとあるチップを作り出した。このチップは人体と周囲の空気の温度差を利用して、その熱を電気に変換ことで、ウェアラブルデバイスに給電できるようになるという。
Spectrumの報道によれば、このチップの大きさは7cm²ほどで、発電量は皮膚と空気の温度差によるという。ピッタリと皮膚にくっついている状態であって、空気と皮膚の温度差が3度であれば、平方センチメートル毎に40〜50μwの電力を発電可能とのことだ。もしこのチップを身に付けた人が歩いたり走ったりすれば、チップの発電効率は気流の出現によって上昇し、最大で3倍の電力を発電可能という。
しかしいくら発電できるといっても、上記のチップの発電能力ではあまりにも少なすぎる。現段階では加速度計、温度センサー、圧力センサーなど低電力消費のチップやセンサーにしか応用できず、まだGPSやディスプレイ搭載機などの電力消費の多いデバイスへの給電は無理だという。
現在のところは実用化にはほど遠いが、ASSIST計画は終わったわけではない。このプロジェクトの最終目標は、超低電力消費のウェアラブルデバイスセンサーを開発することで、しかもそれらのバッテリー持続時間は1年かそれ以上となっており、しかも身に付ける際の負担を増やさないというものだ。
Spectrumの報道では更に、ASSISTは次に超低電力消費のBluetoothチップの開発をすると伝えており、それによってウェアラブルデバイスのバッテリー消費をより減らすとしている。
画蛇添足 One more thing…
ウェアラブルデバイスで現在最も主流なのが腕時計型(ウォッチ型)デバイスで、そのうちの相当なシェアをApple Watchが握っているとされる。現在は毎日充電しなければならないApple Watchがもし1年以上充電しなくてもよくなったら、恐らく更に多くの人が使うようになるだろう。
現在のところ、ウェアラブルデバイスに限らずモバイルデバイスの小型化・軽量化・薄型化にはバッテリーのイノベーションが欠かせないとされてきたが、同時に消費電力を大幅に削減できるイノベーションや、上記で紹介したようなウェアラブルデバイス特有の”常に人体に触れている”ことを利用した発電システムを組み合わせれば、将来的にはバッテリー持続時間の問題は解決されていくのかもしれない。
記事は以上。
(記事情報元:iFanr)