TikTok(中国名:抖音)はとうとう、米国でのAppleやGoogleのApp Storeにおける禁止措置をうまく回避しました。トランプ大統領は土曜日の夜遅くにWalmartとOracleが関与する契約に「予備的承認」を与えたからです。一方、米国の裁判官は米国時間日曜日早朝に、米国商務省によるAppleとGoogleのそれぞれのApp StoreからのWeChat(中国名:微信)の削除強制を阻止する決定を下したことで、無期限に削除を免れたといえそうです。
米国からの削除と撤退を免れたTikTok(ByteDance)
Bloombergのレポートによると、トランプによって「予備的承認」されたTikTokの契約は、Walmartは、株(現物)の7.5%を購入する一方、Oracleが新しいTikTokグローバル企業で12.5%の株式を取るとされています。そしてOracleがすべての米国におけるデータ通信のホストを担当し、ユーザーのプライバシーとセキュリティに焦点を当てるということです。
OracleのCEOであるSafra Catzは声明で、「Oracleは、TikTokシステムをOracle Cloudに迅速に配備して拡張し、運用する予定です。」「TikTokに非常に安全な環境を提供し、TikTokのアメリカのユーザーにデータのプライバシーを保証する能力には100%自信があります。」と述べています。
Bloombergは更に技術的にこの問題に詳しい人々の証言を引用しており、それによればOracleは「TikTokのソースコードを確認するための完全なアクセス権を取得」し、「データを収集したり、アメリカのユーザーをスパイするために親会社(中国のByteDance=バイトダンス)が使用するバックドアがないこと」を保証するということです。
TikTokはWalmartとの商業パートナーシップについて協力していると述べ、Walmartを含む投資家が会社の20%までの株式を取得できる株式公開の前に、OracleとともにTikTok Globalの資金調達ラウンドに参加すると述べた。
トランプ大統領は、TikTok Globalの本社をテキサス州に置き、「少なくとも」25,000人を雇用するとしています。またトランプ大統領はこの契約には米国財務省への50億ドルの寄付の支払いも含まれると主張し、米国での「愛国的な教育カリキュラム」を実施するというトランプ大統領自身の目標に焦点を当てた、新しい教育基金を設立するために使用されます。
ただ、ByteDanceはToutiaoニュースアグリゲーターアプリに関する中国語の声明で、50億ドルの寄付を聞いたのは初めて聞いたと書いていて、トランプ大統領の発言はコンセンサスがとれたものだったかどうかについて疑問を残しています。
同じくWeChatも米国からの削除を免れる
世界でも最大級で、中国企業のTencent(テンセント、腾讯)が所有するメッセージングアプリWeChat(微信)も、今日の米国国家安全保障上の懸念から、App StoreとGoogle Play Storeから削除される予定でした。しかし、Reuters(ロイター社)が報告したように、サンフランシスコのローレル・ビーラー裁判官が、商務省の命令を阻止しました。
サンフランシスコの米国判事、ローレルビーラー裁判官は、訴訟を提起したWeChatユーザーは、「修正第1条の主張のメリット」に対して深刻な質問を示しています。
ビーラー裁判官の仮差止命令はまた、現在の米国のユーザーのサイトのユーザビリティを低下させる可能性のある、米国内のWeChatとの他の取引を禁止する商業命令を阻止しました。この件について、米国商務省はまだコメントを出していません。
米国商務省は前述のTikTok取引の翌週までにWeChatの禁止を延期した形になりましたが、この命令は実際は詳細が法廷で取り沙汰されるため、禁止が無期限に延期されることを意味するといえそうです。司法が行政命令を阻止するということが発生するのはさすが三権分立のアメリカといった感じですが、これに応じてトランプ大統領がまた何か追加の命令を出す可能性もゼロではないかもしれません。
米中関係がまた少し緊張緩和か
この2件によって米中緊張関係がまた少し緩和されたといえますが、これもまたトランプ大統領によるマッチポンプなのかもしれません。
記事は以上です。