Digitimesの報道によると、世界最大のファウンダリである台湾のTaiwan Semiconductor Manufacturing Company(以下TSMC)は、現行最新の7nmプロセスよりも更に微細な6nm(N6)プロセスを発表しました。
これは、現行最新の7nm(N7)のテクノロジを大幅に強化したものでありつつ、N7ベースのデザインから直接移行が可能です。このN6プロセスによって、顧客は競争力のあるコストパフォーマンスの優位性を保つと共に、N7プロセスチップ搭載製品よりも高性能かつ低消費電力な製品の迅速な市場への投入が可能となります。
TSMCのN6プロセスは、現在リスク生産中のN7 +テクノロジ(Appleの2019年のiPhone、A13チップはこのN7 +を更に強化したN7 Proになる予定)から得られた極端紫外線(EUV)リソグラフィを用いた新しい製造プロセスを利用することで、N7プロセスより18%高いロジック密度を実現している、と同社は主張しています。同時に、そのデザインルールはTSMCの実績のあるN7テクノロジと完全に互換性があり、そのデザインエコシステムを再利用することができるのが特徴です。
TSMCのN6プロセステクノロジーは、2020年第1四半期にリスク生産を予定しており、ハイエンドからミッドエンドのモバイル、民生用アプリケーション、AI、ネットワーキング、5Gインフラストラクチャ、GPU、高性能コンピューティングを目的とするチップが対象となります。
基本的にApple、サムスン、ファーウェイ、クアルコムなど殆どの世界最大のシェアを持つメーカーは殆どTSMCにチップ製造を委託しており、TSMCは更に微細な5nm、3nmプロセスを準備中であることは当ブログの以下の記事でもお伝えした通りです。
今のところ、このN6プロセスによって製造されたチップがiPhoneに採用されるという情報はなく、Appleとしては、2019年のiPhone搭載予定のA13チップで7nm EUVのN7 Pro、2020年のiPhone搭載予定のA14チップで5nmプロセスを採用する予定のようです。ただ2020年のiPhone用のA14チップについては、5nmプロセスの進捗次第では上記の6nmプロセスことN6プロセスに変更する可能性もなくはないかもしれません。しかし今後3nmよりも更に微細なプロセスになり、1nm以下になってくると、今後本格的なボトルネックは発生しないのでしょうか。もっとも、世界中を見渡してもTSMC以外のファウンダリに資金力と技術力を持っているところはほぼなく、TSMCが止まってしまうと他で製造できるところは韓国サムスンか中国本土の企業以外にはほぼないと思われます。
記事は以上です。
(記事情報元:Digitimes)