【CEO就任からちょうど15年の花道】ティム・クックの送別会が社内で開かれた。「中国を作った男」の退場を、中国から見送る

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Appleの社内で、【ティム・クック】の送別会が開かれました。8月23日、本社の社員食堂Caffé Macsに約200人が集まり、バンドのOneRepublicが生演奏。スティーブ・ジョブズ夫人のローリーン・パウエル・ジョブズ氏、元COOのジェフ・ウィリアムズ氏、サービス部門のエディ・キュー氏、そして次期CEOのジョン・ターナス氏が壇上でスピーチをしたと伝えられています。クック氏がジョブズの後任としてCEOに就いたのは2011年8月24日。送別会の翌日が、ちょうど就任15年の記念日でした。9月1日、Appleは新しい時代に入ります。
イベントが終わった後の講堂。スポットライトの中に演台だけが残る(イメージ)

宴の後。演台に光だけが残ります。画像はイメージです。

会長職へ。退任後のクックの役回り

クック氏はCEOを退いた後も会社を去るわけではなく、会長(エグゼクティブ・チェアマン)に就きます。役割としてはっきり伝えられているのが「世界中の政策当局者との関係を担う」こと。表舞台には立たなくなりますが、各国政府との交渉窓口であり続けるわけです。

後を継ぐターナス氏は2001年入社、2021年からハードウェアエンジニアリング担当の上級副社長を務めてきた生え抜きです。最初の大仕事が、いきなり9月のiPhone発表イベントになります。クック氏の秘書がそのままターナス氏に付くなど、体制は継続を強く意識した作りだと伝えられています。

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数字で見る15年

クック時代の成績表は、数字だけなら文句のつけようがありません。就任時に3,500億ドル前後だった時価総額は、15年で10倍を超える規模になりました。iPhoneという1本柱だった会社に、Apple Watch、AirPods、そして年間1,000億ドル規模のサービス事業を積み増した。ジョブズが「発明の人」だったとすれば、クックは発明を巨大産業に変えた人です。

一方で、最後の数年は課題も積み上がりました。AIでの出遅れ、Vision Proの不振、世界中の規制当局との消耗戦。刷新版Siriがようやく形になり、折りたたみiPhoneが出るこのタイミングでの交代は、宿題を片付けてから渡すというより、宿題ごと渡す形に近いと思います。

クックの最大の作品は、iPhoneではなく中国のサプライチェーンだ

ここからは中国在住者としての話です。クック氏の15年は、私が中国でAppleを見てきた15年とほぼ重なります。だからこそ言えることがあります。

クックの最大の作品は、どの製品でもなく、中国に築いた生産体制そのものです。氏はジョブズ時代にオペレーション責任者として、生産を中国へ集約する体制を設計しました。鄭州の「iPhone City」に代表される巨大な組み立て拠点、珠江デルタに広がる無数の部品工場。私の住む広東省は、まさにその心臓部です。この体制があったから、iPhoneは毎年2億台を、あの品質と原価で世界に供給できた。

中国側から見ると、クックは米国企業のCEOの中で別格の存在でした。ほぼ毎年訪中し、政府要人と会い、清華大学の役職も引き受けた。米中関係が冷え込んだ時期でも、クックだけは北京で丁重に迎えられ続けた。Appleが中国で規制の直撃を比較的かわしてこられたのは、製品の力だけではなく、氏が15年かけて積んだ信頼貯金によるところが大きいと私は見ています。

そして皮肉なことに、いまAppleを悩ませる問題の多くは、その作品の裏面です。対中依存を突く米議会、中国製メモリをめぐる圧力、インドへの生産分散の遅れ。クックが作った強みが、そのまま地政学リスクの塊になっている。

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会長職は、実質「対中・対米外交大臣」だ

ここで、会長としての役割が「政策当局者との関係」だという話に戻ります。

これはつまり、クックの中国人脈と政治人脈だけは、誰にも引き継げないということです。ターナス氏は優秀なエンジニアですが、北京の会議室でAppleを守ってきたのはクック個人の顔でした。ワシントンでの関税交渉も同じです。会社としては、製品はターナスに任せ、地政学はクックが会長として担い続ける。CEO交代というより、外交大臣の分離と呼ぶ方が実態に近いと思います。

言い換えれば、クックの本当の退場はまだ先です。氏が北京とワシントンに顔を出さなくなった時こそ、Appleと中国の関係の本当の転換点になる。私はそこを見ています。

9月9日、ターナス時代の初日

新体制の初舞台は、9月9日とみられる発表イベントです。iPhone 18 Proと折りたたみのiPhone Ultraという大玉を、新CEOがどう見せるのか。壇上にクックがいない初めての9月を、私も画面の前で見届けるつもりです。

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15年間、氏は「クックにはビジョンがない」と言われ続けました。それでも会社を10倍にして、静かに花道を歩いて去る。ビジョンを語らずに結果だけ積む経営者が、実はいちばん怖いのだと思います。。

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumors、Bloomberg)

※記事中の画像はイメージです。

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