日経アジアの情報によると、Appleは世界的に発生している半導体チップ不足が原因で、一部のMacBookとiPadモデルの生産予定を延期しているということです。
Macに関しては、半導体チップの不足により、MacBookの生産における重要なステップ、つまり最終組み立て前のプリント回路基板へのコンポーネントの取り付けが遅れたということで、M1などAppleシリコン搭載の新機種の発売時期に影響しそうです。なお、気になる新型のiMacに関しては言及されていません。
iPadにとっても同様に悪いニュースが並んでいます。「一部のiPadアセンブリ(組立)は、ディスプレイとディスプレイコンポーネントが不足しているため、延期されました」と情報筋が述べているということです。
テック業界ではまことしやかに流れていた噂の、本来は3月に行われる予定だった新型iPad Proがメインとなるはずの新製品発表イベントが結果として行われませんでした。また現在は4月中旬にずれ込んだといわれていますが、今の今でもまだメディアや一般向けに新製品発表イベントについて告知がされていないのは、この世界的に深刻な半導体チップ不足によるものともいえるかもしれません。
日経アジアは更に、Appleが2021年前半から今年後半まで一部の部品注文を延期したと述べています。延期せざるを得なかったというのが本音でしょう。
新型iPhone【iPhone 13】に関しては、やはりiPhoneは未だにAppleの完全なる屋台骨のため、Appleのバイヤーとサプライチェーンは必死に部品の確保に動いていることでしょう。今のところiPhoneの生産への半導体チップ不足による影響はそこまでないとされていますが、計画は「かなりタイト」であることは間違いなく、ちょっとでも転べば昨年のiPhone 12のように発売時期が後ろにずれ込む可能性はあり得るといえるでしょう。
少なくともMacBookやiPadの生産が遅れるというニュースが出るくらいですから、世界一のテックジャイアント、Appleでさえも世界的な半導体不足には頭を悩ませているところといえるかもしれません。ただ、世界的には圧倒的に台数が多いスマートフォンやゲーム機に不足している半導体チップが集中して流れているのは間違いなく、それによって特に自動車業界などローエンド(自動車では電力・スペースはかなり確保されているため製造プロセスの微細化がそこまで求められないため)で数量がそれらに比較して非常に少なく、また価格・品質要求が非常に厳しいところへは半導体チップが流れず、トヨタのような大きいところでも製造ラインを止めなければならなくなるなど、深刻な状況が続いています。
これは、売り手は「単価が高く数量が大きく、品質要求もそこまで高くない相手に販売したい」という経済合理性に照らして考えれば至極当たり前の現象ではあるのですが、完成品の単価で考えれば自動車の生産ができないことでの機会損失が経済に与える影響は大きく、特にトヨタ・ホンダ・日産(及びその高級ブランドのレクサス・アキュラ・インフィニティ)という世界で名を馳せている日本3大セットメーカーを抱える自動車産業にブレーキがかかると、日本経済にも大きく影を落とします。
全てはバランスと思われますが、スマートフォンもiPhoneでさえここ数年は殆ど目玉といえる新機能も少なく、マンネリ化してきました。もうそろそろそこまで頻繁な買い替え需要は生まれてこない可能性はありますね。私自身でさえ、iPhone 11シリーズの購入を見送ったくらいですから。。笑 というわけでスマートフォン・ゲーム機一辺倒ではなく、少しは別の業界に半導体チップのキャパを譲ってほしいものです。もちろん、性質の違うものなので、単純にキャパを譲るということができないのは百も承知なのですが。。
記事は以上です。
(記事情報元:日経アジア)