iOS 14、昨年12月に中国企業からiPhone 11に搭載されていた本物の初期ビルドがリークか

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今年2月くらいからリークされ始めた次世代iOS、「iOS 14」の詳細内容。Viceの調査によると、iOS 14のリークは本物で、ハッカー達はリークされたiOS 14の初期ビルドに実際に触れていたことがわかっています。

Vice(MotherBoard)によれば、リークに詳しいジェイルブレイクコミュニティの5つの情報源は、誰かが2019年12月付けのバージョンのiOS 14を実行している開発版iPhone 11を入手したと考えていると伝えました。 このデバイスはApple開発者のみが使用するためのものです。これらの情報源によると、これを誰かが中国のベンダーから数千ドルで購入し、iOS 14の内部ビルドを抽出して、iPhoneのジェイルブレイクおよびハッキングコミュニティに配布しました。

今年2月くらいからリークされた以下の4点の情報も、それぞれiOS 14の初期ビルドから情報を得たとされています。

  1. 新しいiPhoneマルチタスクレイアウト
    iOS14-multitasking
  2. ヘッドフォンデバイスのアイコン(AirPods Studio?)
    iOS14-AirPods-Studio
  3. iPhoneが車のキーとして動作する「Car Key Access」
    iOS14-CarKey-access
  4. ARビューアの詳細
    iOS14-AR-viewer

これら多くの情報ソースがiOS 14 初期ビルドからとされていることから、恐らく初期ビルドがリークしたのは間違いなさそうです。

なお、これまで未発表の次期iOSのリークは毎年行われてきました。ただし、殆ど全てが伝聞形か、或いは外部デバイスからのスクリーンショットレベルだったのです。しかし今回はApple管理下にないOSの完全なコピーがリークしたということで全く別の次元のリークです。

これはまだスティーブ・ジョブズが生きていた時代に、iPhone 4のプロトタイプがAppleのスタッフによってバーに忘れ去られ、GIZMODOによってリークされてしまった以来の大きな事件ともいえそうです。ちなみに当時リークした画像は以下の通りです(懐かしい。。)

Appleのスタッフによってバーに忘れ物として残された、iPhone 4のプロトタイプ。一見見た目はiPhone 3GSと似ていますが、中身は全然違っていました。
分解されたiPhone 4 プロトタイプ。ロジックボードやバッテリーの形状など、実際に販売されたiPhone 4とほぼ変わらず、今のiPhoneにも通じるシンプルな構造になっています。

なぜなら、iOS 14のコードがリークすることで、それが脆弱性を調査し悪用しようとする人にとっては、攻撃のための新しいベクトルを発見する機会を与えられたようなものだからです。SIXGENのサイバー製品担当ディレクターのライアン・ダフ氏は、リークされたiOS 14のコードをレビューして、このような感想を述べています。「これで脱獄(ジェイルブレイク)が簡単になるなどとはいえませんが、これから登場するiOSについて、これまでにないほどの情報です。」

iOS 14 code
リークされた、iOS 14の内部ビルドのものとされる、一部の文字列のスクリーンショット

このような未発表のソースコードはダークウェブなどで実際に取引されています。

ただしiOS 14の発表は来月のWWDC(世界開発者会議)ですし、正式版リリースは9月になると思われます。発表の半年前にリークしたバージョンはかなり初期のバージョンということができ、デザインなどは実際に発表されるiOS 14とは異なる可能性も大いにあります。

とはいえ、懸念されるのはセキュリティ問題です。既に昨年、iOS 13はほぼ最新バージョンの最新機種まで、完全脱獄ツールがリリースされてしまっていました。脱獄そのものが下火になってしまっているためあまり話題になっていませんが、これまで非常に堅牢といわれていたiOSセキュリティにほころびが生じている証拠になっているのです。

今回のiOS 14の初期ビルドのリークに関しても、それらの脱獄ハッカーやクラッカーの動きを助長してしまうことはありえます。ただ、昨今あまりにiOSの脆弱性の発見が多く、個々の脆弱性やエクスプロイトの単価は下がっているといわれていて、発見してもそれほどの報酬が得られないとなると、ハッカー達もそれらの発見にあまり積極的でなくなる可能性もあります。更に、発見した人が実際に一般的な市場に警告を出したり、いくつかの企業はこれらの脆弱性を利用して攻撃しようとしたハッカーを逆に捕まえたりもしています(その方がお金になる)。

更に、Appleの情報リーク防止対策が疎かになっていると感じるのは、最近妙にハードウェア関係のリーク情報が多く、しかもかなり性格に当てられてしまっていることです。少し前はベンジャミン・ベスキン(Benjamin Geskin)氏、そして最近はジョン・プロッサー(Jon Prosser)氏がリーカーとして非常に有名になっています。特にジョン・プロッサー氏は今やAppleのティム・クック(Tim Cook)CEOをはじめ多くの幹部から「黙れ」と思われている人の一人だと言われていて、彼のTwitterはAppleの営業のトップでスティーブ・ジョブズ時代からの古参のフィル・シラー(Phil Schiller)氏からブロックされているほどです。

当ブログのようなAppleの未発表製品情報を扱うメディアとしては確かに面白いですし、何もリーク情報がないよりも遥かにいいのですが、さすがに大きなリークが続くとちょっと不安になったりもします。そしてリークのキーとなっているのがやはり中国だというのも気になっています。

記事は以上です。

(記事情報元:VICE

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