Appleの共同創業者スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)は2011年10月にこの世を去った。そのジョブズが7年前の2008年には所謂【Apple Car(アップルカー)】を作ることを考えていたことを、元Appleの幹部でiPodの父とも呼ばれるトニー・ファデル(Tony Fadell)がブルームバークのインタビューで語っていたことがわかった。
ファデルとジョブズは何回か自動車開発について語り合っていた
ファデルは2001年から2010年までAppleのiPod部門のトップだった。ファデルはかつてジョブズと何回もAppleブランドの自動車の機能について語り合ったことを明かしている。例えば、「もし我々が1台のクルマをつくるとしたら、どんな風になるだろう?」「計器類はどうなる」「どんな燃料を使うだろう?」というようなことを。
結局ジョブズは自動車の開発を進めなかった。原因は2つ
結局ジョブズは最終的にはApple Carを引き続いて開発していくことを決定しなかったという(当時、ジョブズが運転していたのはメルセデス・ベンツだった)。原因は2つあり、1つはアメリカの自動車産業が膠着状態に陥っていたためだった。特にデトロイトの自動車産業は落ち込みが激しかった。もう1つの大きな原因は当時、Appleの重点はiPhoneにあったことだ。昨年のSEC文書によれば、iPhoneの利益は現在Appleの利益の3分の2を占めるという。これだけのものになるとは当時想像されていたかはわからないが、ともかく当時Apple社内で最大のプロジェクトであったことは間違いないだろう。
ファデル:EVとiPhoneはよく似ている
ファデルは現在はGoogleの親会社でもある”Alphabet”の子会社、”Alphabet Nest Labs”のCEOだ。彼は自身が現在のAppleで進行しているといわれる所謂”Apple Car計画(Titan)”の内部情報は持っていないとしながらも、スマートフォンと現代のEV(電気自動車)の状況はよく似ているとしている。ファデルは、「EVにはバッテリーがあり、コンピュータがあり、モーターがあり、機械構造がある。もしあなたがiPhoneのことをよく観察すれば、iPhoneにも似たようなものがあるよ。バイブレーション用のモーターだってね」
Apple Carは早くても2020年から生産開始?
もしAppleが自動車業界に入ってくれば、テスラ(Tesla)やGoogle、そしてこれまでに存在している各自動車メーカーとの競争となる。最近の噂では、Appleは既に数百人の従業員をEVのプロジェクトに参加させており、AppleのEVは最も早くて2020年に生産に入るといわれている。
インタビュー動画はこちら
なお、今回のブルームバーグによるトニー・ファデルのインタビューは、以下のように動画で公開されている。英語だが興味のある方はどうぞ。
画蛇添足 One more thing…
これまでのAppleのEV【Apple Car】、プロジェクトコードネーム【Titan】については、当ブログでもいくつかの記事で紹介しているのでご参考まで。
なお、トニー・ファデルが自ら語るAppleをやめた原因についても最近当ブログで記事にしている。
現在のAppleは、ジョブズの遺志を継いでApple Carを完成させるだろうか?いずれにせよずっと後のことになりそうだ。