Appleは例年の法則を破り、今年は3種類のiPhone、すなわち【iPhone X】【iPhone 8】【iPhone 8 Plus】をリリースすることを発表しました。消費者にとっては、選択が増えるという意味ではいいことかもしれませんが、逆に迷いを与えるという結果をももたらしかねません。
現在のところ、市場の動きを見ていると、【iPhone 8】シリーズは去年の【iPhone 7】シリーズやそれ以前のiPhoneシリーズに比べ、各所で在庫が十分に確保され、異例なほど買いやすくなっています。これは多くの人が11月3日に販売開始されると思われる【iPhone X】を待っているからといわれています。
しかし、iPhone 8はそんなに購買の意味がないものなのでしょうか?【iPhone 8】シリーズをオススメして、【iPhone X】はオススメできない、そんな理由を10個にまとめてお伝えします。
1. 【iPhone X】と【iPhone 8/8 Plus】で使用されているプロセッサが同じ
これは恐らく、【iPhone 8/iPhone 8 Plus】を購入し、【iPhone X】は買わない最大の原因かもしれません。まず、プロセッサ(SoC)の性能上は【iPhone 8/iPhone 8 Plus】も【iPhone X】とほぼ変わりない、ということです。
3機種に共通して搭載されるのは、Appleが開発したとされるA11 BIONICチップです。これにはニューラルネットワークエンジンとM11モーションコプロセッサも含まれています。唯一違うのは、どのようにこのチップを使うか、ということだけです。【iPhone X】ではチップとニューラルネットワークエンジンによって顔認証を行いますが、【iPhone 8】シリーズには当然ながらこの機能はありません。
またどのデバイスでもデフォルトでiOS 11が稼働していることから、【iPhone 8】シリーズは【iPhone X】と同様の新しいアプリを使うことができます。
2. Touch IDは十分に動作検証されているが、Face IDはまだ
2013年のiPhone 5sのリリース以来、Touch IDは我々の日常的に使うiPhoneの使い方をもたらしています。ロック解除、パスワードの保存、またApple Payの認証にも使うこともできます。
そしてTouch IDは既にとても安定した、検証されたサービスです。しかし【iPhone X】に搭載される予定のFace IDがそれにとって換われるものなのかどうかについては、まだユーザの十分な検証がされていない状況です。
AppleはFace IDについてずいぶんと大胆な発表を行い、会場の注目を集めました。例えばTouch IDよりも安全性が高く、暗闇の中でも動作するとしています。また顔に変化があった場合。。もしヒゲが生えたり眼鏡をかけたり、髪型が変わったり変な帽子を被っていたとしても、Face IDは性格に顔を認識するというのです。
しかし、それを数百万人・数千万人という人数が利用したときに、本当に正常にそれが動くのかどうか。。それはまだ誰もわかっていません。そして【iPhone 8】シリーズを選択すれば、その心配はしなくてもよくなります。
しかも、Face IDしかない【iPhone X】は正面にもってこないとロック解除ができませんが、【iPhone 8】シリーズは従来通りTouch IDで正面に顔を映さなくても解除が可能です。どっちが便利なのでしょうね。さらに、Touch IDと共に物理ホームボタンのない【iPhone X】を使い慣れるかどうかも心配です。誰もが癖でホームボタンを押したくなるのではないでしょうか。
3. 【iPhone 8/8 Plus】もワイヤレス充電機能と高速充電機能を備えている
今年の新型iPhoneには、全てQi基準のワイヤレス充電機能が搭載されており、また高速充電機能も備えています。
しかしもしワイヤレス充電をしようとしたり、高速充電をしようとすると、本体の他に充電器などを購入する必要があります。ワイヤレス充電機能であれば、Qiに対応したワイヤレス充電用パッドが必要になります(AirPowerは2018年にならないとリリースされません)。また高速充電機能を実現するには、USB-Cコネクタのある充電器と、Lightning to USB-Cケーブルが必要となります。
更に、【iPhone 8】シリーズと【iPhone X】の価格差は非常に大きなものです。その分を上記の無線・高速充電用製品に当ててしまうという手もありますね。
4. 【iPhone 8 Plus】と【iPhone X】のiSightカメラ(背面カメラ)性能はほぼ同じ
あなたがカメラ性能に注視したのであれば、【iPhone 8 Plus】と【iPhone X】のiSightカメラ(背面カメラ)が殆ど同じであることに気がついたことでしょう。【iPhone 8】もグッドなチョイスではありますが、更に大きい【iPhone 8 Plus】ではデュアルレンズカメラで2倍ズームまでは光学ズームが可能で、画質を落とさずにズームができるのは大きいですね。
ちなみに【iPhone 8 Plus】と【iPhone X】のiSightカメラの唯一の差は、【iPhone X】の広角と望遠レンズが光学手ぶれ補正機能を備えていることで、それによって更に綺麗な写真を撮ることができるというものです。特に、明度が十分に確保できないときにはその機能が十分に発揮されそうです。【iPhone 8 Plus】では、広角レンズのみ光学手ぶれ補正機能がついています。これは【iPhone 7 Plus】と同様です。
5.【iPhone 8 シリーズ】と【iPhone X】のFaceTimeカメラ(正面カメラ)性能もほぼ同じ
仕様上では、【iPhone 8】と【iPhone 8 Plus】のFaceTime HDカメラ性能と【iPhone X】のデプスセンサー付カメラシステムのFaceTimeカメラは性能は同じで、700万画素、ƒ/2.2で1080pの動画を撮ることができます。
【iPhone X】でしかできない唯一の機能は、FaceTimeカメラでポートレートモードができること、ポートレートモードで背景を消すことができるモードがあったり、動画の表情を撮ったり送ったりすることができるようになったりすることくらいです。しかしこれらはそんなによく使う機能でしょうか?
6. 【iPhone 8シリーズ】には前髪はない
【iPhone X】のデプスセンサー付カメラシステムは非常に先進的ではありますが、正面がベゼルレスで全面ディスプレイになったために、そこに「前髪」を残すことになってしまいました。これは【iPhone X】の唯一の外観上の欠点と言えるかもしれません。【iPhone 8シリーズ】にはベゼルがある分、ディスプレイがカメラやセンサーに侵食されていません。
そのあたりのデザインが気になる方も【iPhone 8】シリーズはよいチョイスなのかもしれません。
7. 【iPhone X】は【iPhone 8】よりかなり高い
【iPhone 8】64GBの販売価格は78,800円(税別)、【iPhone 8 Plus】64GBの販売価格は95,800円(税別)です。それに比べ、【iPhone X】は64GBでも112,800円(税別)からとなっています。iPhone 8を購入することで34,000円もお得になります。
しかも上記の通り、【iPhone 8】にも最新のA11 BIONICチップが搭載されているため、動作性能に関しては【iPhone X】の引けをとることはありません。
この下手をすれば安いスマートフォン1台買えてしまうような34,000円という価格差ですが、ハードウェア的には有機ELディスプレイやFace ID顔認証システム、TRUEデプスセンサー、そして一部のカメラ性能アップと設計の違いくらいしかなく、その上ホームボタンやTouch IDは削られています。「現実的な評価」をしてしまうと、そこまでの価格差をつけるほどのものではないのかもしれません。
しかしこの辺のハードウェアの差よりも、iPhone発売10周年アニバーサリーモデルであるというご祝儀・お布施的な意味合いと、今後プレミアがつくかもしれない、という淡い期待を込めた感情的な判断が【iPhone X】を購買するかどうかの大きな決め手になりそうです。
8. 【iPhone 8】シリーズには、【iPhone 7】シリーズのiPhone用ケースやカバーが共通して使える
【iPhone 8】と【iPhone 8 Plus】の外形寸法は【iPhone 7】と【iPhone 7 Plus】とほぼ同じです。少々重くなり、ほんの少しだけ大きくなっていますが、0.2mmという微細なものです。ということで、ほぼ全ての【iPhone 7】と【iPhone 7 Plus】用のiPhone用ケースやカバーが、【iPhone 8】シリーズでもそのまま使えるということになります。買い直す必要はありません(もちろん色目は変わりますので、そこはお好みで)。
9. 【iPhone 8】シリーズは簡単に手に入る
誰もが【iPhone X】に注目しすぎて、【iPhone 8】シリーズが逆に手に入りやすい状態になっていると言うことがいえるでしょう。Appleストアやキャリアショップにはまだまだ在庫が残っています。
逆に、【iPhone X】は恐らく11月3日の発売直後から供給が需要に追いつかない状況となり、ある程度の時間を待たないと手に入らないという状態となるでしょう。その頃には、既に販売されている【iPhone 8】シリーズは、手に入れた人は既に数ヶ月使っていることになります。
10. Apple製品は初物に手を出すなという格言がある
もともと新しいテクノロジーやデザインを採用したAppleの初物には初期不良が多かったり、長く使えなかったりします。【iPhone X】も初めてiPhoneとして有機ELディスプレイやFace IDを搭載し、かなり実験的なデバイスとなっています。
「Apple製品は初物に手を出すな」という格言もあるほど、こなれてから買った方がいいという人もいます。記念的な意味で買う人はいいかもしれませんが、実用的で安定した性能を求めるのであれば【iPhone 8】シリーズの方がいいのかもしれません。
あなたはどうしますか?
さて皆さんはどうしますか?
私は【iPhone 8 Plus】を買いましたが、まだ香港に取りに行けていません。10月頭に手に入る予定です。【iPhone X】については、予約の状況を見たいと思っています。
記事は以上です。