韓国のウェブサイトThe Elecによると、Appleは来年2021年にリリース予定の次世代iPhone「iPhone 13」シリーズのうち少なくとも2つのモデルにおいて、低電力LPTOバックプレーン技術を使用した有機ELディスプレイ(OLED)を採用するとされています。
The Elecは、Apple iPhoneのディスプレイサプライヤの1つであるLG Displayから情報を得ているようで、詳細は以下のように記されています。
LG Displayは、Apple専用の有機発光ダイオード(OLED)パネル工場ラインの生産率を拡大するということです。
同社は韓国の坡州(パジュ)にあるE6-1とE6-2の工場ラインを拡張する予定です。
LG Displayは、来年までに月産25,000枚の基板をラインに追加できる低温多結晶酸化物(LPTO)薄膜トランジスタ(TFT)装置の導入を計画しています。
工場のラインに配置されるLTPO機器は、来年の「iPhone」への有機ELディスプレイ(OLED)パネル供給用であり、5月以降に配置される機器は2022年のiPhone用のパネル用である可能性があります。
LPTOテクノロジは、バックプレーンで更に電力効率が向上しているもので、特定のピクセルのオン/オフを切り替えることでそれを実現するものです。その技術によって、更にバッテリー駆動時間を延ばしたり、ProMotionのような新しい機能が搭載されたり、また常時点灯ディスプレイなどを実現することができるようになることが期待されます。ちなみにAppleが現行品で採用しているのは低温多結晶シリコン(LTPS)TFTプロセスです。
ディスプレイアナリストのRoss Young氏は、Appleが将来の「iPhone」でProMotionをサポートする予定の場合、バッテリー寿命を最適化するために、LTPOはデバイスが非アクティブのときに1Hzまでの可変リフレッシュを可能にすることができるため、事実上不可欠であると考えています。 ProMotionは最大120Hzの可変リフレッシュレートが可能で、動画コンテンツがよりスムーズになり、応答性が向上します。
ProMotionは既にiPad Proでデビューしている機能のため、実は今年のiPhone 12モデルにも搭載される予定と噂になったことはありましたが、恐らくバッテリーとの兼ね合いで実現しなかったのではないかといわれています(もしくはiPhone 12は主に5G対応を主な販促ポイントとしているため、ProMotionはiPhone 13に残したという見方もできなくはありません)。
ちなみにApple Watch Series 5およびSeries 6モデルは既にLTPOディスプレイを使用しているため、ディスプレイが常時オン仕様になったにもかかわらず、それ以前のApple Watchモデルと同じ最大18時間のバッテリー寿命を実現しています。
また世界の他のスマートフォンを見てみると、Samsung Galaxy Note 20 UltraとGalaxy Z Fold 2は、可変リフレッシュレートをサポートする高リフレッシュレートのOLEDディスプレイを備えた最初のスマートフォンでした。AppleのiPhone 12はA14チップは世界最速ですが、カメラ性能ではHUAWEIなどにはかないませんし、急速充電もHUAWEIやVIVOなどの中国国産メーカーにかないません。そしてディスプレイ技術でのSamsung Galaxyに先を越されていて、いくつかの分野では世界最先端というわけではないのが現状です。
Appleは2021年の「iPhone 13(仮称)」で、4機種のうち上位2機種のモデルでLTPO技術を使用するとみられています。先日当ブログでもお知らせしたとおり、TF International Securitiesのアナリスト、Ming-Chi Kuo氏によると、来年のiPhone 13モデルはiPhone 12と同様のディスプレイサイズの4機種での展開となると予測されています。
ちなみに中国の有機ELディスプレイ(OLED)サプライヤーのBOE(京東方)はまだLPTO技術を採用したOLEDにおいてはLGにはまだ後れをとっている状況ということで、来年のiPhone 13にLPTO技術を採用したOLEDが採用されれば、上位2機種はLGの独占受注となるかもしれません。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors)