【製品レビュー】iPhoneをデュアルSIM化できる薄型Bluetooth SIMガジェット”Piece”【日本では使用不可】

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

私が2015年7月にクラウドファンディングサイト”Kickstarter”で投資していたiPhoneをデュアルSIM化できる薄型Bluetooth SIMガジェット【Piece】がようやく到着したので製品レビュー。

piece_35

いきなり結論から。。「買う価値なし」

なお結論からいえば、もちろん軽くて薄いというメリットはあり、実証の結果問題なく動作はするのだが、以下の欠点があって私としては「買う価値なし」だ。

  • 納品が当初の予定より4ヶ月遅れた
  • GSM専用のため日本では使えない
  • パケットデータ通信機能は皆無
  • アプリがデザインを含め未熟
  • Android未対応(最初はAndroid対応アプリも出す、Windows対応もすると謳っていたがやってない)

半年以上待たされた上に、機能は中国ではその辺でめちゃ安く売っているものと同じで(それなのにKickstarterにPieceを出品していたのは全員中国人)、値段は同等の製品の数倍はするような感じでコスパは最悪だ。わざわざこの【Piece】を購入する価値は一切ない。ちなみに私はそれでも安く買えた方のようで(Early BirdでUS$70+送料US$10)。それでも高い。定価はUS$119になるらしいが、それだと本当に誰も買わないと思う。

先日も同じクラウドファンディングサイト”Kickstarter”で急速充電可能な【Pronto】というモバイルバッテリーにも投資して失敗したので、もう二度とクラウドファンディングには手を出さないことにしている。人柱をやるにしても金がかかりすぎてメリットがまるでない。。

※ちなみに上にも書いたがこの製品は2G(GSM)専用なので、日本では使用できないため要注意

 

クラウドファンディングで資金を集めていたiPhoneをデュアルSIM化できる薄型Bluetooth SIMガジェット【Piece】のおさらい

半年前に話題に

さてこの【Piece】、話題になっていたのは半年前のお話。まずはKickstarterのPRONTOのページ。コメント欄を見るとさんざんなことになっている。。と【Pronto】の時と全く同じ表記で申し訳ないが本当に同じような典型的な「騙された」系のクラウドファンディングプロダクト(というよりガジェットレベル)だ。

 

【Piece】の規格・仕様・スペック

  • Bluetooth 4.0
  • バッテリー容量:550mAh
  • 待ち受け時間:150時間
  • 通話時間:4時間
  • ネットワーク:GSM、GPRS
  • サポートしているバンド:GSM 850MHz/EGSM 900MHz/DCS 1800MHz/PCS 1900MHz
  • iOS 7.1以上とAndroid(と書いておきながらAndroid対応アプリは出ていない)
  • カラーバリエーション:ブラックとホワイト
  • サイズ:83x55x5mm

 

日本で【Piece】が紹介された記事

大手ニュースサイトのGigazineやCnetで紹介されていたので、私は日本でも使えるものだと思っていた。最初から2G専用でパケットデータ通信もできないことがわかっていれば私は投資することはなかった。それらの情報が、Kickstarterのサイトの紹介のところになく、そしてGigazineやCnetの紹介記事にもない。

昨年8月の段階で投稿されていてかなり詳細に紹介しているこのサイトの記事でも、「まだデュアルsimの同時待ち受け製品が存在しない国内においてPIECEはかなり魅力的な製品だと思います。」と書いていて、完全にミスリードだ。。

ただ、以下のKickstarter Fanというところのみ、昨年8月に既に2G専用であることを書いていた。もう少し調べれば良かった、と後悔先に立たず。

3G対応でデータ通信まで可能なタイプのBluetooth SIMガジェットは当ブログでもかつて紹介していただけに(現在は製造・販売共に中止になっている)余計残念だ。

さてこんな残念なプロダクトだが、一応それなりのお金(私は国際送料込みでUS$80)を出しているので、レビューはしてみる。じゃないと、お金がもったいない。笑

 

【Piece】開封の儀

毎回思うのだが、中国製なのに中国国内に送ってもらうときになぜか国際便扱い。香港に倉庫を持って、そこに集めているらしい。製造は深圳なので仕方ないとは思うのだが。。Kickstarterで投資をするとそういうデメリットもある。そして製品がダメだと余計がっかりするというわけだ。

▼外箱は小さいが高級感はない。

piece_3

▼ANDROID COMPATIBLEは今のところ嘘。

piece_4

▼開けると本体がこんにちは。

piece_5

▼本体を取り出すとこんな感じ。SIMアダプタ(nano→micro変換用)と充電用USBケーブル、そしてクイックマニュアルがこの下に入っている。本体も袋から出している。

piece_6

▼内容物を全部出してみるとこんな感じ。

piece_7

▼取説(マニュアル)。英語版しかない。

piece_8

piece_9

 

設定の儀

PIECEアプリのiOS版をインストール

まずはアプリ入れろということなので、QRコードは普通iPhoneは対応していないので手動でpiece4sim.comと打ち込む。面倒くさい。。

▼メインで使用しているiPhone 6s Plus(iOS 9.0.2 脱獄済)に入れてみる。

piece_10

▼右上のソフトバンクのロゴみたいなのをタップするとポップアップメニューが出てくるので、Download the appをタップ。

piece_11

▼こんなページが表示されるので、Downloadをタップする。既に書いたが、約束のAndroid用アプリは無視されiOS用アプリしかない。

piece_12

▼ちなみにサイトには英語と中国語しかない。

piece_16

▼話がそれた。ここでInstall Appをタップ。

piece_13

▼インストールが終わるとSpringboard上にPIECEアプリが登場する。

piece_17

▼しかしそのまま起動しようとすると「信頼されていないエンタープライズ開発元」と出るので、プロファイルを手動で承認する必要がある。

piece_18

▼設定>一般>プロファイルで、エンタープライズAPPのところのShenzhen Mingda Tongda Technologyというところをタップ。

piece_20

▼ポップアップが出るので、信頼をタップ。

piece_22

▼この状態になったら起動できるようになる。

piece_23

▼PIECEアプリを起動すると、以下、4連発でアプリが使う機能について許可を求められる。いきなり最初に全部いっぺんに来るのでびっくりするかも。

piece_24

piece_25

piece_26

piece_27

本体側のセットアップ

といってもやることはSIMを入れて電源をオンにするだけだ。

▼本体の左側の、マイクロUSBの充電ポートの隣にSIMを入れる穴がぽっかり空いている。

piece_29

▼サブのiPhone 5s用に使っているnano SIMを、付属品のSIMアダプタに入れてmicro SIM仕様とする。方向はマニュアルを参照。

piece_31

▼こんな感じで押し込んでいく。

piece_32

▼最後は指というか爪で奥までかちっと入れ込めばOK。SIMが完全に中に入る。取り出す際は再度指か爪で奥に差し込むとバネで出てくる感じ。

piece_33

▼電源をONにする。電源は上部にある2つのボタンの内、凹みが付いているタイプ。もう1つのファンクションキーは一体何に使うのか未だに不明。

piece_34

▼電源ボタンを長押しすると、本体にあるSIMマークの緑と赤のLEDが交互に光る。ペアリングモードなのだと思われる。

piece_35

▼PIECEアプリを起動してペアリングの準備。しかしiPhone 6s Plusだとこのキーボード表示、あまりに醜すぎる。。右下のSettingをタップ。

piece_28

▼Search PIECEで検索すると、ペアリングモードに入っていればPIECE-xxxxというのが出てくるので、タップすると繋がる。ちゃんとSIMが認識すると、左上に電波が。China MobileのSIMが使えるようになった。

piece_38

使用の儀

あとは、PIECEアプリを使って通話やSMSの送受信ができることを確認した。もう、本当にそれだけだ。ちなみにPieceに入れたSIMの着信音やSMS着信メロディの設定も可能。センスは悪くない。ただし、本当に電話とSMSしかできない。

 

Piece評価・レビューまとめ

一応1万円以上も出して買ってしまったものなので、真面目に評価・レビューすると以下の通り。

【良い点】

  • 薄くて軽い仕様。
  • バッテリーは長持ち、150時間待ち受けなので待ち受けだけなら6日は充電しなくていい。
  • Bluetoothタイプなので本体側も省電力。
  • 脱獄しなくてもiPhoneが2枚同時待ち受け可能に。
  • iPod TouchやiPadでも電話が可能に(ただしマイク付イヤホンが必要となる)。

【悪い点】

  • GSM仕様なので日本では使えない。
  • Pieceに入れたSIMではパケット通信ができない。
  • 数日使ってみて感じたのは、Bluetoothが時々不安定。近くに置いていても時々切れる。つまり時々Pieceに入ったSIMは使えないということになる。重要な電話番号には使えない。
  • 脱獄Tweak【Lylac】と相性が悪いようで、コントロールセンターを呼び出すとフリーズすることが増えた。強制再起動するしかない(非常に不便)。
  • アプリのデザインが不格好(ダイヤル用キーボードが変)。
  • アプリの連絡先の順番がふりがなが無視され、漢字で名前が入っていると中国語のピンイン読みの順番になってしまう。
  • Androidアプリが製品リリース前にできるといいながらできていない。Windows Phone用のも当然ない。

 

【総評】

日本では使えないので、日本で使いたい人には全く選択肢に入らない製品。またデータ通信も一切できないので、機能的には数年前の中国でいう”苹果皮”というiPod TouchをiPhoneのように使うための製品と同じものを、デザインを薄く軽くして、少しバッテリーが長持ちするようになっているだけの代物だ。

冒頭に書いたとおり、1万円も出して買うようなものではなく、コスパが非常に悪い。ちなみに中国のTaobao(淘宝网、世界最大のショッピングサイト)では、高くても約3000円ちょっとで同じレベルかデザインやアプリや本体の機能がPieceより優れたものが買える。

上記のようなiPod TouchをiPhone化して電話/SMSマシンとして使うにはいいかもしれない。しかしデータ通信はできないのでやはりあまり使えないかもしれない。

いずれにせよ、キックスターターのようなクラウドファンディングでは妙に最初は非常にいいものであるかのように謳っていて、メディアも大騒ぎするが、実現してみるとそれほど大したことがなかったり、しょぼかったり、望んでいた機能が削られていたりする。私はもう二度とやらないつもりだ。少し待ってでも、普通に出てきてこなれた製品を買った方がいい。

 

画蛇添足 One more thing…

Prontoほどではないが、ずいぶん待たされたからかもしれず、15% OFFのクーポン(ギフトバウチャー)が入っていた。いや、もう2度とここのは買うことはないと思うので、使うことはないと思うが。。

As a Startup, we still have along journey to go!とあるが、スタートアップ企業はどこかに身売りするのが目的なのではないだろうか。こんなPieceのようなプロダクトでは、身売りは夢のまた夢だろう。開発元のWooawにはせいぜい頑張ってほしいものだ。

piece_1

 

piece_2

記事は以上。

Visited 80 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人