Apple(に限らず他のメーカーも)は開発段階で製品の各種プロトタイプを作って様々な実験を行っていることが知られていますが、特にiPhoneのプロトタイプの中で珍しいのが、Appleのロゴの代わりにあの映画「スター・ウォーズ」の悪名高き宇宙要塞、「デス・スター」があしらわれたiPhone 4のプロトタイプがあったことはあまり知られていません。しかもご丁寧に専用の透明ケースまで作られていたのです。
まずはこちらの先週公開された紹介動画をご覧ください。
ではなぜこの【デス・スター iPhone 4 プロトタイプ】が作られたのでしょうか?もちろん現在「スター・ウォーズ」の権利を持っているディズニーとのコラボ製品ではありません。この動画を作成したDongleBookProは、このプロトタイプを見た人達や税関職員などが、デス・スターのロゴ(アイコン)によって、この製品がスター・ウォーズの記念グッズだと勘違いされて見逃されることを目的に作られたのではないか、としています。
ちなみに、記事の標題に「またも」とあるように、この【デス・スター iPhone 4 プロトタイプ】は2012年にeBayにて販売されたことがあるため、今回が初めての登場ではありません。また、複数台作られた可能性もあります。
この【デス・スター iPhone 4 プロトタイプ】と実際のiPhone 4との細かい違いは以下の通りです。
- 解体するためのネジが下側のピンの横ではなく、SIMトレイの中に隠されている
- 背面カメラの周りにリングがない
- フロントカメラが赤い
- Retinaディスプレイではない
- iOS 4の最も初期ビルドである8A133(SwitchBoardと呼ばれるプロトタイプテスト専用OS)+iboot 770で動作
また興味深いのは完全に専用のものとみられる透明の専用ケースが作られていて、しかも本体とケースの両方にデス・スターのロゴと、更にPrototypeという文字まで刻印されていることです。
デス・スターのロゴで身バレを防ぐとしている割には、Prototypeという明らかなネタバレを刻印しているのが何とも矛盾していて、当時のいたずら好きでクールなAppleの開発者達の尖ったセンスが体現されているような気がしてなりません(最近のApple製品は大衆化しすぎて、なんだかみんな尖っていなくて真面目過ぎてつまらないんですよね)。
またケースがプロトタイプデバイスの下部を覆わない設計になっているのも大変興味深いですね。下部分の側面にあるアンテナが剥き出しになるようになっているので、電波をよくするためでしょうか?だとすると当時かのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)自身が記者会見まで開いて釈明に追われた”アンテナゲート”ですが、ジョブズは記者会見の際に、我々はこの記者会見の22日前に初めてこの問題(アンテナゲート)を知った、と語っていました。しかしプロトタイプの段階で開発者が予測していたということであれば、経営陣はそれを知っていながら販売に踏み切ったということで大変な問題になりそうですが。。まあ、騒いだところでiPhone 4はもうほぼ完全に淘汰されていて、今更もう遅いのですけど(アンテナ問題はiPhone 4sで修正されています)。
あとはこのケースは後から作られた可能性もありますね。
個人的にはプロトタイプ本体背面のPrototypeの文字の下に書いてある文字群も気になります。ここにAppleやiPhoneのことを匂わせる内容が書いてある場合は、デス・スターのロゴは興味を逸らすどころか、より人々の注目を集めてしまうことになり、本来狙っていたのと逆効果になりますからね。。
iPhone 4のプロトタイプとしては他に有名なのが、Appleの従業員がバーに忘れてしまって、拾った人がGizmodoに売り、Gizmodoが分解して発表したという事件がありました。そこで当時のAppleのトップだったスティーブ・ジョブズをはじめ多くの幹部から恨まれたGizmodoは、その後数年、Appleのイベントなどに招待されなかったのは言うまでもありません。
記事は以上です。
(記事情報元:Cult of Mac)