Appleの本社新社屋の”Apple Park”が昨年正式に落成し、Park内の最も高いところに建てられたスティーブ・ジョブズ・シアター(Steve Jobs Theater)が最近Appleの新製品を発表するための場所として使用されています。
▲ Steve Jobs Theater. 画像:Eckersley O’Callaghan
既に何度か新製品発表イベントが行われたこのスティーブ・ジョブズ・シアターですが、総建築費用は約200億円で、1000人を収容できる建築物となっています。そして今回このスティーブ・ジョブズ・シアターが、英国構造エンジニア協会
▲ Steve Jobs Theaterの屋根. 画像:Eckersley O’Callaghan
▲ Steve Jobs Theaterのカーボンファイバーによる屋根の取り付けの際の写真。画像:L’Usine Digitale
スティーブ・ジョブズ・シアターは
このパビリオン(スティーブ・ジョブズ・シアター)は、ガラスのみで支えられている世界で最も大きな構造物である。47メートルのカーボンファイバー製の屋根は、世界で最大である。44の放射状のパネルから構成される屋根は、現場で組み立てられ、一気に規定の位置まで持ち上げられた。80トンもの屋根は、12ミリ厚のガラスパネルの層からなる、高さ7メートルのガラス製シリンダーにより支えられており、補完的なサポートを必要としない。
やはり80トンもの重さの屋根(これでもカーボンファイバーで極限まで軽くしたのだと思いますが)を周囲のガラス構造のみで支え、その他の補完的なサポートを使っていないことが構造賞を受賞した大きな要因となったようです。
▲ Steve Jobs Theater(内部). 画像:Eckersley O’Callaghan
更に、このApple Parkとスティーブ・ジョブズ・シアターがあるクパチーノは高度な地震帯(地震頻発地帯)のため、この建築ではいくつかの方法でガラス構造を地震による被害から守れるように考慮され、耐震性を高める設計がされており、このことも
▲ トルコ Zorlu ショッピングセンターのApple Store
2014年、Appleはトルコの
Apple Park全体が全て特殊な建築・建造物の集まりとなっていて、100%再生エネルギーで動作しているとされていますが、その変態的に高度な要求に、建築に携わった人々は大いに苦労したということです。また、Apple Parkはもしいつの日かAppleが倒産の憂き目に遭ったとしても、他の会社がうまく活用できないほどの専用デザインとなっているので、超巨大かつ超贅沢な超粗大ゴミ建築物を作ったという批判もなきにしもあらずです。更に、周辺の交通や居住環境にも悪影響を与えているともされていて、Apple Parkは常に批判の目に晒されています。
ただ、これらの最先端でクリーンな技術と設計構造を用いられて自社の本社社屋を建てていることで、Apple自身もテック業界の最大手として面目躍如となっているのは確かです(Apple Storeも同様です。実際Appleが作ったものの中で最も価格が高いのはApple Storeなのは言わずもがなでしょう)。ただ、Appleがそのあまりにも贅沢な建築群を実現できたのも、我々消費者がApple製品に他のブランドより明らかに高い料金を払って買うからであり、また投資家・投資機関がAppleの今後の業績に期待して株を買っているからであることをAppleは忘れてはいけないと思います。iPhoneが失速する中、それに代わる製品を打ち出していかないと、Appleはジリ貧になっていく可能性もあります。スティーブ・ジョブズ・シアターを含むApple Parkが単なるAppleによる自己満足の巨大な砂の城になってしまわないか、Appleファンとしても気になるところですね。
記事は以上です。
(記事情報元:iFanr)