Appleの次世代OS、iOS9とOS X 10.11は安定性やセキュリティ性能の向上を重視

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Appleは毎年、デスクトップコンピュータ「Mac」用OSであるOS Xとモバイルデバイス「iPhone、iPad、iPod Touch」用OSであるiOSのアップデートをしてきた今年2015年には、OS X 10.11とiOS 9がリリースされるのではないかとみられている。

WWDC2015

これまでの各種報道によると、今年のiOS9とOS X 10.11では、更新内容は機能の改良、安定性の改善、セキュリティホールの修復及びデベロッパツールの強化に止まるといわれている。Apple社内でも多くの新しい機能を載せたOSの内部テストが行われたが、あまりに多くのバグが発見されたため、OS担当のシステムエンジニアが役員達に新機能について発表するのを控えるように提言したほどだという。ということでAppleの役員達は譲歩し、今年のOSは基本的には改善に注力されるものとみられている。

iOS9とOS X 10.11に予測される新機能

Appleはソフトウェアのテストに対してはとりわけ厳しいことが知られている。全ての新機能については、安全性テストが繰り返され合格したものだけが採用される。

現在知られているiOS9で採用されるとみられる新機能は以下の通り。

  • Apple WatchへのSan Franciscoフォントの採用
  • HomeKitアプリケーションの追加
  • iPadの画面表示分け
  • Maps(地図)アプリのアップデート

OS X 10.11については、iOSに比べて更にアップデートが困難なため、新機能はiOSに比べても更に少なくなるものとみられている。内部情報を持っている人物からの情報によると、OS X 10.11はシステム自体のインタラクティブインターフェイスに変更があり、iOS9と同様San Franciscoフォントが採用され、またコントロールセンターが追加される可能性があるという。OS Xのコントロールセンターも、iOSのコントロールセンターと同様、音量・画面の明るさ・現在プレイしている音楽の操作などのコントロールが可能なものとなるという。しかしまだこのコントロールセンターも内部テストで問題が山積みとなっていて、Appleは搭載を諦めるかもしれないとのこと。

OS_X_10.11_Control_Center_コントロールセンター
OS X 10.11で社内テストされているという”コントロールセンター”の盗撮ショット

セキュリティ性能の強化

上記のようなわかりやすい新機能だけではなく、AppleはOSのセキュリティにも多くの時間とリソースを割いている。コードネーム”Rootless”という新セキュリティシステムがApple内部で現在開発中で、このシステムはコアレベルに置かれ、iOSとOS X相当に応用可能だという。”Rootless”の主な目的は、悪意のあるソフトウェアがOSを攻撃することを防ぎ、また重要なデータのセキュリティレベルを引き上げることだ。このシステムは場合によっては管理者権限を持ったユーザにさえ、保護を受けたデータへのアクセスを拒絶するように設定されるという。そしてここからがこのブログ読者にとっては大事なニュース!?OS X上では“Rootless”機能のオン・オフを切り替えることができるが、iOS上ではできなくなるもようだ。このことはiOS脱獄ハッカーや脱獄ユーザ(脱獄犯、JBer)にとっては非常に重い一撃となるかもしれない。そして“Rootless”の存在により、OS Xの現状のファイルシステムは今回は変更されることがなさそうだ。

Appleは更にiCloud Driveをアップデートし、メモ(Notes)やリマインダー(Reminder)等のネイティブアプリのバックグラウンド機能をiCloudサービスに移管し、他のデバイスとのデータの共有を更に便利にするという。これはユーザにとっては端末間での暗号化が便利になること、また同期の高速化がはかられることになる。Appleの今回のアップデートによって同社のiCloudサービスユーザが急増するとみられているため、既にiCloudのサーバの増強をして備えているという。

OS_X_10.11_iOS9_cross_devices
複数のデバイス間でのiCloudサービスを通じた連携がより強化され、同期も高速化するという

現在Apple内部には、その名も”iCloud”というクラウドサーバの中のコンテンツをまるで外付けディスクのようにコントロールできるアプリケーションが存在するが、それが今回のiOS9/OS X 10.11アップデートでユーザに公開されるかどうかは不明だ。

そのほかにもセキュリティ方面では、Appleは現在”Trusted Wi-Fi”というセキュリティ技術を研究しており、早ければ今年の暮れにはお目見えするという。この技術では信頼されたルータとはユーザは暗号化なしで接続できるようになるもので、逆に信頼されていないルータに対しては更に暗号化を強化する、という仕組みのものらしい。

古いデバイスのサポート

iPhone4sやiPad mini初代をお使いの皆様にはいいニュースだ。今回のiOS9アップデートでは、Appleはユーザに新しいデバイスを買うように勧めるようなことはなく、逆にiOS9を古いデバイスでよりなめらかに動くように改良中だという。情報によれば、iOS9はA5チップ搭載のiPhoneでさえ動くという。iOS7がiPhone4上で動きが緩慢になってしまった過去の状況を考えると、iOS9の古いデバイス上での性能の改善はそれら古いデバイスユーザへの一種の慰安となるかもしれない。ただし、今回の古いデバイスのサポートのやり方の開発とは、iOS9を古いデバイスに搭載したあと、逐一新機能の追加を試していく方法だというが、果たして。

そういうわけで、iOS9はA5チップ搭載デバイスもサポートするようだ

iOS9_iPhone4
写真はiPhone4s。iPhone4sでもiOS9がきびきび動くようになれば、古いデバイスユーザには救いになる

Swift 2.0でAppがスリムに

Swiftは昨年2014年のWWDCでリリースされたデベロッパ向け開発ツール(プログラミング言語)だ。現在のiOSシステムにはSwiftプログラムコードライブラリを備えていないため、Swiftコードライブラリを使うサードパーティアプリは必ずアプリごとに全てSwiftコードライブラリを中に含める必要があり、それによって1つ1つのアプリのサイズが8MBも増加していたのはご存じだろうか。つまりユーザがSwiftライブラリを使ったアプリをダウンロードすればするほど内蔵メモリ空間を無駄に浪費していることになるのだ。Appleはこのことに着目し、iOS9とOS X 10.11の中にはあらかじめSwiftコードライブラリを置き、それによってサードパーティ製アプリのスリム化を図っているようだ。Appleはこの機能を6月18日から開催されるWWDCにて発表するとみられているが、Appleのネイティブアプリへの採用は今回行われないもようで、段階を経てこの新技術をアプリケーションに適用し、来年2016年の新しいOSには完全に採用となるものとみられている。

OSX10.11_iOS9_Swift2.0
昨年のWWDC2014でのSwift実演画面。Swift2.0の導入でアプリ自体のサイズが小さくスリム化されるのであれば大歓迎だ

画蛇添足 one more thing

iOSとOS Xの統合は更に遅れる?

既にライバルOSであるWindowsが達成している、デスクトップ版OSとモバイルOSの統合。しかしAppleのiOSとMac OS Xの統合は遅々として進んでいないように見える。ただ、Windowsでも統合によって様々な問題が発生しているといわれている。Appleの製品ラインを見る限り明らかにデスクトップデバイスとモバイルデバイスの用途を分けており、OSもやはりその用途によってUIは変わって然るべきだという理念があるのかもしれない。私もそれには同感だ。そもそもタッチデバイスにマウスポインタを持ち込む必要もないし、逆にノートパソコンやデスクトップデバイスにタッチ機能があるのは蛇足のように思える。

Windows10_Product_Family
Windowsのプロダクトファミリー。わかりやすいといえるが、統合による弊害もあるのではないだろうか

UIについては昨年リリースされたOS X Yosemiteによって、一昨年のiOS7によって大胆に導入されたフラットデザインがMacにも持ち込まれたわけだが、概ね好意的に受け入れられている。UIの見た目やある程度の操作方法のフィーリングがAppleとして統一感がとれていれば私はそれでいいのではないかと思う。そもそも、デバイスの使われ方が違うわけだから。

iOS9はリリースされず、iOS8.4のリリースが発表されるかも

今回のWWDCではiOS9はリリースされず、現行のiOS8の小数点一桁アップデート、iOS8.4について発表されるのではないかという説もある。確かに毎年必ずメジャーバージョンアップをする必要はないような気もする。機能やUIに大幅な変更がない限り、iOS8.xのままバージョンを重ねてもユーザとしては何の異論もないと思われる。問題は、株主の目にそれがどう映るか、ということなのだろう。

Windows陣営はWindows10が最後で、これ以降はバージョン名をアップデートしないと発表している。Apple陣営も既にMac OSはOS Xで完成しているので、OS Xのまま進めていっても悪くないような気がする。もちろんWindowsの真似をしているとは思われたくはないが。。

改善・改良は大いに歓迎

一昨年2013年のiOS7、昨年2014年のOS X 10.10 Yosemiteで大幅なUIの変更や新機能の追加が行われたAppleのiOSとOS X。ただその見た目上の変化にあまりに注力するあまり、安定性やセキュリティ方面が少々疎かになっていたことは否めない。今回のアップデートでそれらが改善・改良され、より安全に、安定・安心して使えるOSにアップデートしてくれるのであればユーザとしては大歓迎だ。しかも、当然従来通りOSのアップデートは無料となることだろう。

OSX_yosemite_macbook_air
OS X YosemiteでがらっとUIが変わったOS X。ただ、リリース直後は安定性の問題が多く指摘された。現在はマイナーバージョンアップで安定性が増しているといわれている

AppleのOSの操作性は、Mac用OS Xであろうがモバイルデバイス用iOSであろうが、間違いなく他社のOSに比べて使いやすい洗練されたものだ。これは実際に私も過去はWindowsやWindows Mobileユーザであったことや、最近でもParallels環境でWindows10を使ったり、Androidデバイス(小米の紅米NoteやXiaomi Note Pro等)を導入してみて実感したことだ。既に完成度が非常に高いものを、更に便利に新しくしていくことは容易ではない。しかしここ1〜2年のAppleのOSの進化が早すぎたのも確かだ。まずは今年は安定・安全性の改善に勤しんでもらって、安心して使える状態になってから、力をためて次のステップへというやり方をぜひ進めて欲しいと個人的に思う。

全ては6月8日からのWWDCで明らかに

毎年行われるApple主催の開発者カンファレンス、WWDC(World Wide Developer Conference)によって、同社は新しいOSの機能についてリリース発表をし、そして秋の新製品に搭載するというやり方を踏襲してきた。今年は6月8日に米国サンフランシスコで開催されるWWDC2015。ここで次世代OSについての発表が行われる。その時に、次世代OSの新機能や改善点が明らかになるだろう。

以前WWDCでも新製品の発表が行われることがあったが、最近は基本的にはソフトウェアの発表だけに止まっている。当ブログでもWWDC2015で発表される内容に注目していく

WWDC2015_logo
WWDC2015のロゴ。ロゴに見える四角い形状と丸い形状から、iOSと、Watch OSが主体になることが暗喩されている。もちろんOS Xのアップデートも期待されるが

記事は以上。

(記事情報元:网易科技

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