Apple Insiderの報道によると、Appleが元クアルコム(Qualcomm)のエンジニアリング担当副社長だったEsin Terzioglu氏を同社の無線SoCチームのリーダーとして引き抜いて雇用したことを伝えている。これは正にAppleがデバイス内部のモデムチップ(ベースバンドチップ)を内部開発しようとしていることを証明したに他ならない。
マーケットリサーチ会社のCounterpoint ResearchのアナリストNeil Shah氏がTwitterで、Terzioglu氏が2日前にLinkedIn上のアクティビティ欄でクアルコムで8年素晴らしい時間を過ごした後、また新しい冒険に出ることになった、と書かれていることを紹介していた。
@CounterPointTR Timing!
Apple hires QCOM VP to continue to build its SOCs in-house.
Great hire for @Apple & a loss for @Qualcommhttps://t.co/MfR1JAUgbj pic.twitter.com/lonjWzatOW
— Neil Shah (@neiltwitz) 2017年5月28日
▼Esin Terzioglu氏のLinkedIn上で公開された最新のアクティビティ
私はクアルコムで才能溢れる人達と一緒に仕事ができたことを非常に光栄に思います。私たちはチームの形で多くの偉大な実績を作ってきました(10nmチップの研究開発は素晴らしく、チームが1つの完璧な仕事をやり遂げ、そして最初の製品を市場に送り出すことができました)。また現在はAppleで引き続きキャリアを積めることを非常に光栄に感じます。引き続き連絡を取り合いましょう。
▼Esin Terzioglu氏のLinkedIn上のプロファイル
Terzioglu氏のLinkedInでの個人データによれば、2009年8月からクアルコムで仕事を始め、クアルコムのQCT(Qualcomm CDMA Technology)部門の中心エンジニア兼副社長(VP)を務めていて、テクノロジーロードマップを策定する立場だったようだ。
小龍的にはこう思った:Appleのちょっとえげつない引き抜きか?
Terzioglu氏のLinkedInのプロフィールでは、まだクアルコムに在籍していることになっている。ということは、Appleは恐らくTerzioglu氏ヘッドハンティングを仕掛けたのだろう。
クアルコムは正にAppleに特許料金の取り過ぎとして過払い金返還請求の裁判を起こされており、逆にAppleやAppleの下請け会社を訴え返すなど、泥沼の闘いになっている。そんなこともあり、AppleはそれまでクアルコムがAppleへの供給を独占していたベースバンドチップ(モデムチップ)について、iPhone 7シリーズでクアルコム以外にもインテル(Intel)からも購買している。ただ、インテルのチップは性能がそこまでよくなく、クアルコムのチップの性能を落として使うなど苦肉の策であった。
そんな中、Appleはクアルコムからこういった人物を引き抜くことでクアルコムを内部から瓦解させようとしているのかもしれない。係争中の会社からエンジニアのリーダーの副社長を引き抜くなんてちょっとえげつない感じもするが、これがビジネス戦争というものだろう。
今後、Appleが自社でベースバンドモデムチップが作れるようになったら、Appleも他社のロードマップや他社との訴訟を気にせずにベースバンドを採用することができるようになる。業界地図も変わってくるのだろう。
記事は以上。
(記事情報元:Apple Insider)