Apple、iOS 11.3をリリース。バッテリーの状態確認機能等を追加

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Appleは日本時間本日2018年3月30日未明に、モバイルデバイス用OS、iOS 11.3正式版をリリースしました。iOS 11としては3度目の小数点以下1桁のアップデートとなり、比較的大きなアップデートとなります。またiOS 11としては通算11個目のバージョンアップです。一つ前のバージョン、iOS 11.2.6が2月20日にリリースされてから、38日でのリリースとなりました。iOS 11.2.6はかなり長い間もった、ということになりそうです。

iOS11.3_OTA-Update

iOS 11.3アップデートの内容・修正点、リリースノート

以下がAppleによるiOS 11.3のリリースノートです。さすがに小数点以下一桁アップデートということもあり、盛りだくさんになっています。

iOS 11.3には、さらにリアルな体験を届けることができるARKit 1.5、“バッテリーの状態(ベータ)”、iPhone Xユーザ用の新規アニ文字などを含む新機能が導入されました。このアップデートには安定性の改善およびバグの修正も含まれます。

拡張現実機能(AR

  • ARKit 1.5により、水平な仮想平面に加えて、壁やドアなどの垂直な面にも仮想オブジェクトの配置が可能
  • 映画のポスター、絵画、図版などの画像イメージを検知しAR体験へ組み込むことに対応
  • AR体験時にカメラビューを通じて映し出される現実世界の解像度の向上

バッテリーの状態(ベータ)

  • iPhoneのバッテリー最大容量およびピークパフォーマンス性能の情報を表示
  • 突然のシャットダウンを防ぐために最大パフォーマンスを動的に管理するパフォーマンス管理機能がオンであるかどうかを表示、およびそれを無効にするオプションを追加
  • バッテリーの交換が必要な場合それを推奨する機能

iPadの充電管理

  • 例えば、キヨスク端末やPOSシステムや充電用カートなどで、iPadが電源に長時間接続されている場合のバッテリーの状態を良好に維持

アニ文字

  • iPhone Xで、ライオン、ドラゴン、どくろの新しいアニ文字を導入

プライバシー

  • Appleの提供する機能で個人情報が使用される場合に、データがどのように使用および保護されるかについての詳しい情報を見ることができるリンクとアイコンを表示

Apple Music

  • 独占的なビデオプレイリストを備えた“ミュージックビデオ”セクションを含む、新しいミュージックビデオ体験を提供
  • 多くの人が好きなジャンルやそのジャンルをフォローしている共通の友達を見つけるアップデートされた提案機能により、ミュージックのテイストが同じ友達を探すことが可能

News

  • For YouTop Storiesを常に最初に表示
  • Newsエディタにより厳選されたTop Videosを視聴可能

App Store

  • プロダクトのページでユーザのレビューを“参考になった”、“高評価”、“低評価”、または“最新”で並べ替え可能
  • “アップデート”のタブにバージョンおよびファイルサイズの情報を追加

Safari

  • ユーザ名とパスワードをWebフォームフィールドで選択した後で自動入力することによりプライバシーの保護を強化
  • スマート検索フィールドが暗号化されていないWebページでパスワードやクレジットカード情報のフォームと情報を交換する場合に警告を表示
  • ユーザ名とパスワードの自動入力がApp内のWebビューで使用可能
  • “リーダー”が利用可能な場合、Safariから“メール”に共有された記事は“リーダー”を使用した形式で表示
  • “お気に入り”にあるフォルダにそのフォルダに含まれるブックマークのアイコンを表示

キーボード

  • 2種類の双拼キーボードレイアウトを追加
  • “トルコF”キーボードレイアウトを使用して接続されたハードウェアキーボードに対応
  • 4.7および5.5インチデバイス上での日本語および中国語キーボードの変換候補の拡張リストへのアクセスのしやすさを改善
  • 1回タップするだけで音声入力からキーボード入力へ戻ることが可能
  • 自動修正機能が単語を間違えて大文字にしてしまう問題に対処
  • iPad Proで、キャプティブWi-Fiネットワークに接続後iPad Smart Keyboardが正しく動作しない問題を修正
  • タイ語キーボードが横向きの時に数字用レイアウトに間違って切り替わってしまう問題を修正

アクセシビリティ

  • App Storeで、画面のカスタマイズ用のボールドおよび大きな文字に対するアクセシビリティ対応を追加
  • “反転(スマート)”にWebおよびメールメッセージ上の画像イメージへの対応を追加
  • RTT機能を改善、およびT-MobileでのRTTの対応を追加
  • VoiceOverおよびスイッチコントロールを使用しているユーザ用に、iPadでのApp切り替え機能を改善
  • VoiceOverBluetoothの状況およびバッジアイコンを間違えて説明してしまう問題に対処
  • VoiceOver使用時に“電話” Appで通話終了ボタンが表示されない問題を修正
  • App内の評価にVoiceOverでアクセスできない問題を修正
  • “ライブリスニング”を使用時にオーディオ再生が歪む問題を修正

その他の改善および修正

  • SOS発信時に、より正確な位置情報データを提供するAMLスタンダードへの対応を追加(対応地域・国において)
  • HomeKitと互換性のあるアクセサリを作成および利用可能にするための新方法としてソフトウェア認証への対応を追加
  • 1回のタップでPodcastの再生が可能、および“詳細”をタップして各エピソードについての詳しい情報を見ることが可能
  • “連絡先”でメモに長いテキストを入れている場合の検索のパフォーマンスを改善
  • デバイスが同じWi-Fiネットワークにある場合のHandoffおよびユニバーサルクリップボードのパフォーマンスを改善
  • 通話が着信しても画面のスリープが解除しない問題を修正
  • Visual Voicemailの再生が遅れるまたはできない問題に対処
  • “メッセージ”でWebリンクを開けない問題を修正
  • メッセージの添付書類をプレビューした後で“メール”に戻れない問題を修正
  • メールの通知が消去した後でもロック画面に再表示される問題を修正
  • ロック画面で時刻および通知が表示されない問題を修正
  • “承認と購入のリクエスト”で管理者(親または保護者)がFace IDを使えない問題を修正
  • “天気”で現在の気象状況が更新されない問題を修正
  • Bluetoothで接続されている車の電話帳と連絡先を同期できない問題を修正
  • Appがバックグラウンドで起動している場合、車のオーディオAppで再生ができない問題を修正

このアップデートのセキュリティコンテンツについては、次のWebサイトをご覧ください:

https://support.apple.com/kb/HT201222

引用元:Apple

アップデートはOTAで可能

iOS 11.3へのアップデートは、iOS端末の設定>一般>ソフトウェアアップデート、或いはiTunesから可能です。

バッテリーの状態の確認機能(ベータ)が追加

iOS11.3_Battery

iOS 11では、昨年末から「バッテリーゲート」と呼ばれている、iPhone 7を含むiPhoneの旧機種が、バッテリーの劣化によって性能が低下する設定をユーザの同意なしに密かに導入したことにより、大騒ぎになった事件がありました。それに対して、Appleは旧機種のバッテリー交換価格を大幅値下げして対応していました(それでも交換価格は普通のAndroidレベルかそれよりちょっと高いくらいに止まったままで、良心的な対応とはいえません)。これらの一連の騒動は当ブログでもお伝えしたとおりです。

今回、AppleはiOS 11.3でその問題を修正し、性能低下しないことを選択するオプション【ピークパフォーマンス性能】が増えた、ということになります。ちなみに上記は私の【iPhone X】で最新のiPhoneですので、このピークパフォーマンス性能の制限は行われていませんが、いずれ次のバージョンiOS 12からはこの性能制限がかけられてしまう可能性が高いと考えるとぞっとします。

最初からあるべき設定が今になってようやく搭載された、というレベルのもので、もちろん全く画期的であるとか、素晴らしいといった類い評価をされるべき機能追加ではありません。Appleは今でも端末のバッテリー性能のデータを隠したままで、サードパーティに管理機能を渡していません。以前はできたことをできなくしたのは、異常事態としかいいようがありません。

しかも、まだiOS 11.3ベータテストが完了し正式版となった後でもこの機能のみ「ベータ版」とされていて、Appleがこの機能の導入に本気で取り組んでいない姿勢がわかります。Appleは旧機種の性能を故意に落とすことで、買い替え需要の掘り起こしを狙っているのは間違いなく、会社としてこの機能の導入に消極的なのは火を見るより明らかです。アメリカでこの「バッテリーゲート」について集団訴訟を抱えたため、また本来はAppleに友好的なメディアからも攻撃されたために、仕方なしに導入しただけといえるでしょう。

脱獄する人はアップデートを待て

もちろん、脱獄フリークの方はアップデートは避けましょう。現在のところ、iOS 11.1.2以下の脱獄ツールが開発中との情報があります。そして脱獄する必要がなければ、今回は重大なセキュリティの修正が行われているので、迷わずアップデートしておくのがいいでしょう。

iPhone X用ファームウェアを含む、iOS 11.3オリジナルファームウェアのダウンロードはこちらから

【iPhone X】用も含め、iOS 11.3のファームウェア(OFW)のダウンロードリンクはこちらです。

基本的にはiOSは最新バージョンにしか復元できないようになっていますが、先にファームウェアをダウンロードしておいて複数台をアップデートする、或いは一つ前のiOSでSHSHが発行されているバージョンへのダウングレードやバージョン維持復元の用途でお使いいただけると思います。

macOS、watchOS、tvOSもアップデート

iOS以外のAppleのOSも以下の通り軒並みアップデートされています。特別な事情がない限り、アップデートしておくことをお勧めします。

  • macOS 10.13.4
  • watchOS 4.3
  • tvOS 11.3

なお、Apple TV用のOS、tvOS 11.2.6のファームウェアはこちらです。

OS以外にも、以下のアプリケーションやツールもアップデートされています。

  • iTunes 12.7.4
  • Xcode 9.3
  • Apple TV Remote 1.2.3

記事は以上です。

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