日本や中国のユーザにとって、Apple Payさえまだ体験していないのに、今度はAndroid Payのリリースが?以下は中国のメディアiFanrの記事の翻訳だ。
Google、5月のGoogle I/OイベントでAndroid Payをリリース発表か
Arstechnicaの内部事情に詳しい人物によるリークによると、Googleは今年5月に行われるGoogle I/Oイベント上で新しいモバイル決済プラットフォームの”Android Pay”のリリース発表をするようだ。Android Payを使うことによって、小売商は自分の店舗またはアプリケーション上でモバイル決済機能を追加することができ、ユーザはクレジットカードまたはデビットカードをアカウントと関連付けることでワンタッチで支払いができるようになるという。
Android PayとGoogle Walletの違い
Googleが既にリリースしているモバイル決済サービスのGoogle Walletと違う点は、Android PayはAndroidのデベロッパ向けに作られたもので、基本的にアプリ内での支払い方法を増やせるのが特徴だ。Android Payは主にAndroid 4.4(KitKat)及びそれより新しいバージョンの内部機能Host Card Emulation(HCE)によって作動する。HCEテクノロジーはサードパーティがAndroid端末のNFC機能にアクセスできるようにするもので、それによって実店舗での支払いが可能となる。
しかし上記の人物の情報によれば、現在Android Payにはまだパートナーがいないため、今後Google WalletとAndroid Payが2つ存在し、それぞれ別々に決済サービスを提供するとみられる。また、Android PayはGoogle Wallet決済もサポートするもよう。つまりユーザはGoogle WalletのアカウントでAndroid Payのサードパーティアプリに関連付けることができるというわけだ。
Android Payのメリットは、ユーザからすれば、Google Walletが煩雑で使いたくない時に、ワンタッチで支払いが可能になるということだ。またサードパーティのデベロッパにとっては、開放されたAPIが手に入るという点でメリットがある。
Google WalletもAndroid Payとバッティングする機能がある
ただ、Google Walletも既に”Instant Buy API”といったインスタント決済用APIや、デベロッパ向けにアプリ内に”Buy with Google”機能を提供していることを考えると、Android Payがリリースされた後、GoogleはGoogle Wallet内のこれらのAPIを破棄していくのかが1つの問題となる。
Googleは2011年にGoogle Wallet決済サービスを開始した。既に一定のパートナーやユーザを獲得したとはいえ、影響力から見れば、Appleが昨年リリースしたApple Payと比べると遜色がある。Apple Payの出現が逆にGoogle Walletの毎週の取引数と取引額を50%も増加させたというのだから皮肉なものだ。
Android Payでのモバイル決済ビッグデータの扱いに注目
Apple PayであろうとGoogle Walletであろうと、毎回取引が発生するたびに、AppleかGoogleは一定の費用を得るわけだが、Appleははっきりと、ユーザとの取引状況についてはアクセスや記録はしないと明言している。しかしGoogleにとっては、モバイル決済取引の中で発生するビッグデータは非常に重視するだろう。
Apple Payによって引き起こされたモバイル決済ブーム
今週に入ってから、Googleはやっとモバイル決済企業のSoftCardの主要な資産を買収することを発表し、そして内部からAndroid Payをリリースする情報が漏れ伝わってきた。またSAMSUNG(サムスン)も最近モバイル決済テクノロジー企業のLoopPayを買収し、自社でモバイル決済業務を進めようとしている。昨年後半にApple Payによってモバイル決済のブームが巻き起こされ、今年もそれが続くのは間違いないようだ。
画蛇添足:気になるところ。。
私個人的に、上記の記事で気になったのは3点。
1. GoogleのAndroid Payによる取引記録のビッグデータの扱いの安全性とプライバシー
1つはGoogleがモバイル決済によるビッグデータを重視するということ。GoogleはAppleのようにハードウェアで莫大な収入があるわけでもないため、ビッグデータ解析サービスを提供することでも収益を上げている。
Googleほどの大企業となれば当然個人情報にも気を遣うことを信じたいところだが、それでもユーザの情報の扱い方、安全性とプライバシーが気になるところだ。
もう1つ、Apple PayはTouch IDの指紋認証による本人確認が可能だが、Android PayはAndroid端末全てに指紋認証機能がついているわけではない(というより逆に指紋認証機能がついている端末のほうが少ない)ため、その安全性はApple Payより劣ることになる。
2. Android PayとSAMSUNG Payなど、OSメーカーとスマホメーカーの決済手段の衝突
SAMSUNGが独自のモバイル決済サービスを導入すると、SAMSUNGのAndroid端末を使っている人はSAMSUNGのモバイル決済サービスしか使えなくなったりするのだろうか。気になるところだ。もちろん、私自身はSAMSUNGの端末を使うようなことは今後もないと思うが。。
3. モバイル決済サービスの乱立による店側の対応の煩雑さはないか
Apple Pay、Android Pay、そしてSAMSUNGも始めるモバイル決済。他にも多くの会社が参入してくるだろう。中国ではメジャーなアリババ(Alibaba、阿里巴巴)のAlipay(支付宝)、テンセント(Tencent、腾讯)のなどもその1つだ。そうなると、実店舗側の決済用の端末の整備が大変になってくる。ユーザの選択肢が増えることは大事だが、実店舗の負担が大きくなると、モバイル決済の普及に大きな影響を及ぼす可能性がある。もちろん乱立後に淘汰があるだろうし、寡占もよくないが、最初の頃は混乱があるかもしれない。
しかし何よりも早くApple Payが日本や中国で開始することを期待したい。
記事は以上。
(情報ソース:iFanr)