米Apple(アップル)社CEO、ティム・クック(Tim Cook)が先日PBSのチャーリー・ローズ(Charlie Rose)の番組でインタビューを受けたことは先日の記事にも書いた通りだ。
その中でクックは更に多くのAppleに関する情報を吐露しているので、それを14のポイントにまとめて簡単に紹介したい。
ちなみにインタビューはまだ前半のみしか放映されておらず、後半は今日の晩に放映される予定。
英語だが、インタビューの前半そのものはApple Insiderやre/codeの記事にまとめられていてYoutubeで見ることができる。
1. Apple Watchは開発に3年の時間を要した
時間的には業界でリークしていた情報と同じ、ということになる。2011年の終わり頃、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)がAppleが腕時計のようなデバイスをテストしているというニュースを出したのが一番初めのリーク情報だった。その時は曲面ガラスが使われると報道されていた。
2. Apple Watchによって医療業界とコラボレーション
先週のAppleの新製品発表イベントでは説明されなかったが、Apple Watchではあなたの専属の医者或いは保険会社と”対話”することができるようだ。インタビューでクックは”あなたの医者とインタラクティブなやりとり”することが選択可能だと語っている。Apple WatchはiOS8のHealth Kitと連携し、ユーザの健康管理に説得力をもたせる効果があるという。
3. Appleはデベロッパーに多くの時間をかけてWatch用のアプリを開発して欲しいと望んでいる
“私たちは製品が販売される前に、デベロッパーがソフトウェアを開発するために十分な時間を使って欲しいと望んでいる”。TwitterやFacebookは既にソフトウェアを開発しているという。そして誰でもデベロッパー登録していれば、WatchKitを使ってApple Watchのアプリを開発できるようになっている。
4. Bluetooth対応イヤホンがあれば音楽を保存したり再生できる
将来的にAppleはワイヤレスのEarPods(Appleのイヤホンの名称)をリリースするかもしれない。もちろん、Beatsのブランドの名前の下で。
5. 大型ディスプレイのiPhoneを出したのはSAMSUNGが原因ではない
数年前にも大型iPhoneをリリースすることはできたという。しかし問題はそれを出すかどうかということではなく、全てにおいてよりよい携帯電話を作る方が大事だった、ということらしい。
6. ジョブズの部屋はそのまま残されている
“彼はまだ私の中に存在している。彼はAppleのDNAの中にも生きている。彼の精神は永遠に会社のイノベーションの基礎となるだろう”。そしてジョブズの使っていた部屋はそのまま会社の1階に残されているという。またドアにジョブズの名札もかかっているという。
7. クックはTVがまだ70年代のままだと感じている
“この間隔はまるで時計を巻き戻したようだ。タイムマシンに乗って、過去に戻ったようだ”。Apple TVには2,000万人以上のユーザがおり、Appleが”趣味で開発している”というほど簡単なものではなくなってきている。
8. ジョブズがAppleのCEOをクックに引き継いだのはクックにとって意外だった
ジョブズが正式にCEOをクックに引き継ぎ、その引き継ぎ式をやりたいと考え、2011年8月にクックに電話をかけた。そこで二人は正式にCEO引き継ぎの話をしたのだという。”私はジョブズの身体はだんだんよくなってきていると思った。。。最終的には体調が悪くなってしまうことは予測していたが”。
“ジョブズは私に「私は長いこと考えていた。Appleはこれまで一度もCEOの引き継ぎ式というのをやったことがない。私は今回トライしてみたいと思う。私は君がCEOになることを望んでいる」と語った。実をいうと私はジョブズが私とこの問題について話すとは考えたこともなかった”。
9. クックはイエスマンが嫌い
“私たちは誰に対しても洗脳しようとしたり、最終的にはみな見た目を同じようにしたり、言葉遣いやものの考え方も似たような感じにしようとはしていない。我々は討論もするし争論もする。”
10. ジョブズがCEOだった頃はIBMとの提携はあり得なかった
クックは現在のAppleは以前とは違っていることを認めた。彼がCEOになってから、Appleは更に開放的になったという。彼らは更に多くのパートナーを探すことを望むようになったのだ。Appleが何らかの業界に新しく入るとき、彼らはこの3つの問いをするという。
1. 我々は本当にそのようにするべきだろうか?
2. 我々は提携するべきだろうか?
3. または我々はこのことを他に置いておくべきだろうか?
IBMの件については、クックはAppleがIBMの競争相手だとは思っておらず、今回の提携は”天が引き合わせてくれた”と感じているという。
11. クックはかつてBeats Musicを疑ってかかっていた
彼はある晩自分が初めてBeats Musicとその他購読サービスを使った情景を思い出した。”私はちょっと聴いた後突然わかったんだ。私はこれは完全に違うと思った。その原因は彼らが購読サービスの中に人力での管理の重要性を発見したからだ。。あなたが聴いたことのある楽曲があなたのフィーリングに影響するんだ”
その晩、彼は興奮して眠れなかったという。
12. GoogleはAppleの最大のライバル
誰が彼のライバルかと聞かれたとき、クックは”Googleがトップだ”と答えた。彼はSAMSUNGはとてもよいAndroidのハードウェアメーカーだが、同時にGoogleのAndroidシステムに依存しなければならないと指摘している。
ジョブズの”核戦争”のアティチュードはまだ存在しているようだ。
13. Appleはソーシャルネットワークをやる計画はない
クックはTwitterとFacebookを協力パートナーとみており、ライバルではないとしている。クックは”私たちはソーシャルネットワークの領域に入る計画はない”としている。
14. まだ誰もAppleが今どんな製品を開発しているかを知らない
インタビューでは、クックは人々に期待を持たせることを忘れなかった。”もっとも困難な決定は、私たちがものを開発しなくなるということだ。なぜなら私たちは本当に多くのものに大きな興味を寄せているからだ。しかし私たちは何でもかんでも素晴らしく偉大にできるわけでもない”。
ある時、Appleがリリースした1種類の製品について、Appleは非常に大きな計画があることがあるが、外界には全く知られていないということがあるという。例えばTouch IDは、去年はただのiPhoneのロックを解除するためのツールだったが、Applen計画はそれをモバイルペイメントの本人認証のツールにする計画があったという。
Appleが開発している次の製品のジャンルは何だろうか?もしかしたらTV関係の製品かもしれない。しかしそれは誰も知らないし、誰にも確定できない。”我々は今いくつか製品を開発している。。しかし今は社外の誰もそれの製品について何らの情報も持っていない。”
画蛇添足
個人的な感想だが、インタビューの全部を見ないと正直クックの真意が伝わらない感じもする。
それにしても、Apple Watchはデベロッパー頼みでいいのか、ジョブズの部屋が本社を新しい”Space Ship(宇宙船)”に移しても残るのかなど、様々な疑問は残るが、ともかくあれこれ言うのは後でいいから、まずは製品で勝負してほしい、の一言に尽きる。
記事は以上。