2013年9月20日に発売されたばかりのiPhone5s。
そのiPhone5sの分解マニュアルが、
世界的に有名な電器製品の分解マニュアルを公開している、
「iFixit」にて早くも掲載された。
日本語で意訳も交えつつ解説したいと思う。
分解したい人の手助けになれば幸い。
■Step 1
工具一式を揃えること。
iPhone5の分解に必要な道具があれば良い。
こんなのを用意すればいいだろう。
【iPhone5/4S/4用】 iPhoneを自分で修理・分解するとき便利! 修理・分解ツールセット (15点セット) 上海問屋 DN-42203 [★]
■Step 2
iPhone5sのスペックをおさらいしよう。
・Apple A7プロセッサ(64bitアーキテクチャ)
・M7モーションコプロセッサ
・16、32、64GBの内蔵ストレージ(選択可能)
・4インチRetinaディスプレイ(326 ppi)
・800万画素iSight camera (背面カメラ、1.5μピクセル)と120万画素のFaceTimeカメラ
・指紋認証センサー(Touch ID)がホームボタンに搭載
・3種類のカラー(スペースグレイ、シルバー、ゴールド)
■Step 3
底面の2本のネジを外す。
このネジ穴の形状は特殊なため、これに合ったドライバーを用意する必要がある。
Step1で紹介したiPhone5用分解キットのものがiPhone5sでも使える。
■Step 4
吸盤を使って底面のネジを外した側からLCDユニットを少しだけ浮かせるようにし(この時勢い余って強く開けると指紋認証センサーやLCD接続のフレキ基板部分をぶち切る可能性があるので慎重に)、
■Step 5
LCDユニットを浮かせる。
このステップは特に要注意!!
Step 4にも書いたとおり、
勢い余って強く開けると指紋認証センサーやLCD接続のフレキ基板部分をぶち切る可能性があるので慎重に!!
ヘラのような道具で指紋認証センサーの繋がっているコネクタ部分を取り外す。
■Step 6
ディスプレイコネクタが接続されている部分の金属のカバーについているネジを外し、カバーを外す。
バッテリーを取り外す。
iPhone5と違って取り外し用のベロがついておらず、
のり付けされているため外しにくい。
加熱しながら外すような工夫が必要だ。
■Step 7
ここでバッテリーの詳細を見てみよう。
iPhone5sゴールドモデルの電池は、
「惠州市德赛锂电科技有限公司、Desay Battery Co., Ltd」によって支給されている。
(ちなみに、他の色のモデルのバッテリーは違うサプライヤーによって支給されている。例えばスペースグレイのバッテリーはSimplo Technology Inc.による支給)。
規格は3.8V – 5.92Wh – 1560mAh。
■Step 8
バッテリーを外したら、LCDユニットの取り外しだ。
上部のコネクタ部分をヘラ工具を使って取り外せば、LCDユニットが取り外せる。
■Step 9
ではLCDユニットの方に移り、
今回のiPhone5sの新機能の目玉である「指紋認証センサー」を取り外そう。
ヘラで取るだけだ。
この指紋認証センサーのCMOSチップは、
あなたの指紋をイメージ化する多くのコンデンサーから成っている。
これは昨年Appleが買収したAuthenTecからもたらされた技術で、
指紋イメージはローカル端末に保存され、その情報がクパティーノ(Apple本社)に送られることはない。
しかしこのサファイアガラスがどれだけこの指紋センサーを保護できるかは不明である。
このサファイアガラスが、糊付けされたバッテリーと同じように時限爆弾となりうる可能性を秘めている。
■Step 10
今度は本体側からiSightカメラを取り外す。
iSightカメラの背面にはDNL333 41WGRF 4W61Wと刻印されている。
このカメラのメーカー名について明らかにされていないが、
サプライチェーンの内部情報によるとSonyのものが使われているという。
カメラの底面には、AW32 65BD 4511 b763と刻印されている。
■Step 11
いよいよiPhone5sのロジックボード(メイン基板)の取り外しだ。
iPhone5にあった2本のアンテナ接続ケーブルは廃止されている。
衝撃によって外れたりする危険性を避けた措置だろう。
■Step 12
ロジックボードを眺めてみよう。
村田製作所のMurata 339S0205 Wi-Fiモジュールのようなものが見える
(ChipworksによるとBroadcom BCM4334を元にしている)
16GB版と64GB版を比較してみると、やはり村田製作所のICを使っているのは一緒だが、
基板上の表示が少し異なっている。
恐らく容量によって生産する工場が違うのではないかと推測される。
■Step 13
ロジックボード上の保護カバーを外し、ICチップを見てみよう。
iPhone5sの動作を支えるIC達だ。
・SK Hynix H2JTDG8UD3MBR 128 Gb (16 GB) NANDフラッシュ
・Qualcomm PM8018 RFパワーマネジメントIC
・TriQuint TQM6M6224
・Apple 338S1216
・Broadcom BCM5976タッチスクリーンコントローラー
・Texas Instruments 37C64G1
・Skyworks 77810
・Skyworks 77355
・Avago A790720
・Avago A7900
・Apple 338S120L
■Step 15
いよいよiPhone5cの本当の心臓部、
ロジックボードの反対側のICを見てみよう。
CPUや携帯通信を司るICが揃っている。
・CPU:Apple A7 APL0698 SoC (MacRumorsの記事によると、F8164A1PDの表示は1GB RAMを表しているという)
・Qualcomm MDM9615M LTEモデム
・Qualcomm WTR1605L LTE/HSPA+/CDMA2K/TDSCDMA/EDGE/GPSトランシーバー
iPhone5sの新機能の1つM7コプロセッサは、それらしいものが見つからない。
恐らくA7チップの中に入っているのかもしれない。
A7チップは7月に製造されているようだ。
■Step 16
A7チップを見ていこう。
iPhone5sに搭載されたA7チップは、
Appleの発表によるとスマートフォンに初めて搭載される64bitのCPUとのこと。
但し従来のARMv7コマンド群で実行されているうちは、
それほどの優位性はないとのこと。
ARMv8コマンド群で実行されたときのみ、その真価を発揮するようだ。
このARMv8コマンド群は、
過去20年のレガシーサポートを廃止するもので、
バッテリー持続時間を犠牲にすることなく、
パフォーマンスをあげることができるというものらしい。
■Step 17
LCDユニットにある自分撮りカメラ(FaceTimeカメラ)に移ろう。
数本のネジで120万画素カメラが固定されている。外そう。
ちなみにこのFaceTimeカメラはiPhone5から画素数が変わっていない。
■Step 18
本体下部のペリフェラルはiPhone5とほぼ同じような構造だ。
スピーカーユニットが外れれば、
ヘッドフォンジャック・マイク・Lightningコネクタ接続口が一体になったアッセンブリがすぐに外せるようになるだろう。
またこのアッセンブリは一体型になっているため、
どれか1つの機能が壊れてもこの全体のアッセンブリを交換しなくてはならず、
修理コストの増加に繋がっている。
■Step 19
iPhone5sのもう1つの新機能として、デュアルLEDによるフラッシュがある。
その部品は本体の上側のカメラの横にある。
白と琥珀色のLEDが、夜間撮影などで威力を発揮する。
■Step 20
さて、これでiPhone5sの全ての分解が終わった。
以下がiPhone5sの全ての部品の揃い踏みだ。
iPhone5sの分解修理難易度の評価及び総評は以下の通り。
・iPhone5sの修理難易度は6。(10が最も簡単)
・iPhone5と同様、LCDディスプレイが最初に電話から外すものであり、LCDディスプレイの交換が便利である。
・バッテリーは技術的に「ユーザーが交換できる仕様」ではないが、比較的容易にアクセスできる。
・バッテリーはiPhone5にあった便利なプルタブがなくなっており、取り外しに加熱とプライヤーが必要となっている。
・指紋認証センサーのケーブルは容易に裂けやすい。特に不注意にiPhoneを開けた場合に。
・底面の2つのネジはペンタローブの形状を採用しており、専用工具がないと開けられないようになっている(専用工具そのものは簡単に手に入る)。
・フロントガラス、デジタイザー、そして液晶が1つのコンポーネントとなっていることが、修理コストの上昇を招いている。
ほぼ単に意訳しただけだが、
日本人が分解・修理する際のマニュアルとしてお役に立てれば幸い。
記事は以上。