噂通りリリースされた、新型MacBook Pro 16インチモデル。前任のMacBook Pro 15インチと入れ替わる形で導入されました。実は以前のMacBook Pro 15インチ Core i9搭載モデル(上位モデル)には、その前年に販売された下位のi7モデルと比べても性能が劣るという問題があり、その原因はmacOSによるサーマルスロットリングの設定ミスと、本体の熱処理性能によるものであることが指摘されていました。
その後macOSの更新によって、サーマルスロットリングの設定が見直され、その問題は一応解決をみました。また今年初めにMacBook Proシリーズ全体の内部CPUがアップグレードされ、第9世代プロセッサになってからはCore i9モデルも更なる性能向上がみられたため、上記の問題は炎上するまでは至りませんでした。
今回のMacBook Pro 16インチでは、従来の15インチモデルとは全く同じ種類の第9世代のCPUを搭載していて、CPUそのもののアップグレードは実は行われていません。しかし本体の熱処理効率があがったことで、条件によっては今年初めにリリースされていた前世代の15インチMacBook Proよりも高速なパフォーマンスになることがわかっています。これはもう、今年頭に15インチモデルを買ってしまった人は涙目ですね。。
MacBook Pro 16インチと今年初めにリリースされた15インチでは、同じメモリやグラフィックカードの条件では、ベンチマークアプリとしては権威があるGeekBench 5では同じスコアであることがわかっていました。しかしMax Benchが行った各プロセッサを強制的に最大に稼働させ加熱した後にベンチマークテストを行うテストでは、15インチMacBook Proではパフォーマンスが低下してしまうのですが、最新の16インチモデルではより効率的に熱に対処するよう設計されているため、パフォーマンスが落ちにくいことが確認されたのです(もちろん全く落ちないわけではありません)。
16インチMacBook Proのパフォーマンスとサーマルスロットリング
Macで使用されるIntelプロセッサは、処理要求の厳しいタスクを長時間実行するように求められると、熱が発生します。そしてあまりに過熱となるとCPU自体が破損してしまうため、それを防ぐためにCPUはクロックスピードを下げるという処理を行います。これを「サーマルスロットリング」といいます。
このサーマルスロットリングをできるだけ発生させないように、コンピュータは効率的な排熱機構を設計しなければなりません。今回最新のMacBook Pro 16インチでは、新たに再設計されたファンが搭載されていて、エアフローが28%増加し、ヒートシンクも35%大きくなっていることが分解の結果わかっています。
CPUを加熱したテストで差が出る
この改良が実際の使用でどれほど効果的かをテストするために、Max BenchはIntel Power Gadgetを使用して、リアルタイムのプロセッサー周波数と温度を測定し、またCinebenchを実行することで検証しました。
テスト対象には、最大4.5GHzのターボブーストを提供する2.6GHz 6コアIntel Core i7プロセッサが搭載されています。これは、今年初頭に発売されたベース15インチモデルで使用されているチップと同じです。なお、この少しだけ古いモデル(15インチ)には、新しい熱管理の機能強化がありません。
これら2台のMacBookのそれぞれのプロセッサがほぼ100度まで加熱されると、リリースされたばかりの16インチモデルはCPU動作クロック数が約3.35GHzになりますが、15インチモデルは3.06GHzが最高になり、約10%遅いということがわかります。つまり、過酷な使用状況下では、16インチモデルと15インチモデルでは同じ性能・仕様のチップでも10%の性能差が出るということになります。
なお、両方のデバイスを最初に加熱することを強制したGeekbench 5テストでも上記の数字が当てはまることがわかっています。16インチMacBook Proはマルチコアテストで5667を記録しましたが、15インチモデルでは5164でした。やはり10%ほどの差があります。
Max Benchが公開した動画は以下の通りです。
16インチモデルはいいことづくめ? Ultimateモデルも前世代より安い
現在Appleストアの店頭で用意されているMacBook Pro 16インチのUltimateモデルは8 Core Intel Core i9/2.4GHz、32GB、2TBSSD、Radeon Pro 5500M (8GB)という仕様で、税抜き価格409,800円となっています。なおMacBook Pro 15インチモデルのUltimateモデルは8 Core Intel Core i9/2.4GHz/32GB/1TB SSD/Radeon Pro Vega 20 (4GB)で税抜き価格451,300円でした。となると、16インチモデルのUltimateモデルは、15インチのUltimateモデルに比べストレージが2倍で、GPUがアップデートしてメモリが2倍で、41,500円も安くなったことになります(情報元:Macお宝鑑定団Blog)。
ということで、冒頭に書いたとおり、今年初めにリリースされたMacBook Pro 15インチモデルを買った人は完全にババを引いてしまったことになりそうです。。
ただ惜しむらくは、MacBook Pro 16インチ Ultimateモデルはメモリが最大搭載可能な64GBになっていないことで、Ultimateモデルを名乗るのであればそこは64GBにしてほしかったです。在庫が足りなかったのでしょうか。。。個人的にはストレージサイズは1TBで十分なので(あとはクラウドストレージにすればOK)、メモリは64GBにしておいた方が将来的には長く使えますし、マルチタスクをする際にはより快適に動作するものと思います。
個人的には、MacBook Pro 13インチでもかなり満足していますが、最近Sidecar(iPadをサブディスプレイにする機能)がよく接続がおかしくなったりするので、Ultimateモデルとはいえ16GBメモリ不足を感じることがあります。16インチモデルのストレージ1TB以外は最高のCTOモデルが、13インチモデルのUltimateモデルと比べて10万円くらいしか差がないので、なんだか買い替えたい気持ちになってきました。。が、やはり持ち運びを考えると13インチがベストなので悩みます。16インチモデルのCPUがアップグレードした段階でまた考えてみたいと思います。キーボードもMagic Keyboardと同じシザースイッチ機構キーボードに改善されたのもポイントが大きいですしね。
記事は以上です。
(記事情報元:Cult of Mac)