静かにタイピングができるってほんと?最新MacBook Pro、第3世代バタフライキーボードの改良点はこれだった

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一昨日2018年7月12日に突然リリースされた、Apple MacBook Proの最新シリーズ。そのウリの一つとして、第3世代バタフライキーボードを搭載し、静音性を高めた(静かにタイピングできるようになった)とされていました。

比較動画で一目霊山、第3世代バタフライキーボードでは静音性は全く改善されず

しかし現物を触った各欧米テック系メディアは、口を揃えて「これまでの(初代〜第2世代)のバタフライキーボードと何の変化も感じられない」としていました。TechCrunchなどは、以下のような以前のバタフライキーボードと新しい第3世代バタフライキーボードのキータッチ音の比較動画まで出しています。よく聞いてみるとわかりますが、正直全然違いを感じられないレベルです。

第3世代バタフライキーボードを分解したiFixit、変更点はこれだ

では、第3世代バタフライキーボードでは一体何が変わったのでしょう?こうなったら、分解して本当に何が変わったのか、その目で確かめなければなりません。そして分解といえばやはりiFixit。そのiFixitがとうとう新しいMacBook Proを分解し、第3世代バタフライキーボードを引っぺがしてみました。すると、こんなものが。。

ifixit_butterfly-keyboard_teardown

そうです、シリコンの薄膜です。これで、埃の侵入を防ごうというのでしょう。。実はこれ、以前Appleが特許を出願していたものだったのです。

Apple MacBook Pro 2018 butterfly keyboard Patent

iFixitによるレポートが動画になってYoutubeにあがっています。全編英語ですがご覧ください。

従来のバタフライキーボードでは埃などの侵入で壊れ、集団訴訟にまで発展していた

AppleはメディアThe Vergeに対して、第3世代バタフライキーボードでは、埃の侵入に関する問題を修正したものではない、とまで言い切っていますが、事実は上記の通り異なるようです。

実は2016年と2017年のMacBook Proに搭載されている第2世代のバタフライキーボードは、埃が入りやすく、埃が溜まると粘り気が出てキーボードのストロークが重くなったり、押し下がったままリピート状態になってしまう問題がApple公式サポート掲示板でも取り沙汰され、集団訴訟を起こされるまでに至っていました。そんなわけで、第2世代バタフライキーボードはAppleの失敗作だといわれているほどです。

その問題を改良し、裁判を有利に展開するために、Apple社内で第3世代バタフライキーボードが開発されたことは明らかですが、Appleはこの問題については第3世代バタフライキーボードの説明では一切言及せず、”作業空間が更に静かになります”とか、”より静かにタイピングができるキーボードを採用した”としか書いていません。まあ、自分の不利になるようなことは書くわけがないのですが。。

Apple MacBook Pro 2018 3rd generation Keyboard

このあたりのことは、やはり大人の事情が絡むようです。一昨日世界的に著名なApple関係のジャーナリストでブロガーのJohn Gruber氏も、自身のブログDaring Fireballの記事で語っていますので、その部分のみを以下に翻訳すると以下の通りです。Appleに嫌われないように批判するために、ずいぶん回りくどい言い方をしていますが。。笑

「多くの人はキーボードについて疑問を持っていることでしょう。。Appleがバタフライメカニズムに切り替えてから表面化している信頼性の問題を解決したのだろうか?ということを。。Appleはノーと言っていて、静音化しかしていないとしています。しかし私が思うに、それが本当かそうではないは時だけが語ってくれるだろうと思います。たぶん、Appleのいうとおりであれば、彼らが解決しようとした問題はノイズだったのでしょう。しかし、彼らがもしキーボードの信頼性を改善しようとしていたら。。キーが固まったり、その他の問題を解決しようとしていたら。。彼らはノイズの問題を解決しただけだとしぶしぶ認めるだけだと私は思います。マーケティング面では、彼らはこれまで、そして今でもあるバタフライキーボードの信頼性に問題があることを認めることはしないと思います(特に、まだ彼らが第2世代のキーボードをTouchBarなしのモデルに搭載している間は)。そして法律面でも、キーボードの信頼性について集団訴訟を起こされているという事実がある限り、彼らがその信頼性に問題があることをしぶしぶ認めることはないだろうと私は思います。そしてもしAppleが信頼性の問題をノイズの問題に加えて解決しようとしていようと、またはしていまいと、私は彼らは今日と同じ事を言うと思います。彼らがやったのは、キーボードを静かにしたことのみだ、と。私は今のところ内部の秘密情報は持っていませんが、私は彼らがこのキーボードを”第3世代”と呼んでいること—単なる第2世代バタフライスイッチキーボードを静かにしただけのものではないとしていることが、楽観的な見方をする理由となっています。」

ただ、このJohn Gruber氏も第3世代バタフライキーボードの中身を見てから書いたものではないので、憶測が多い書き方になっています。Gruber氏がいうところの”時が語る”どころか、実際試験をした動画や、分解された画像と動画が事実を語ってしまっているのではないでしょうか。。Appleがどんなことを言おうと、または大人の事情で言えなくても。

第3世代バタフライキーボード、実際に改善が有効なのかは長い目で見ないとわからないかも

というわけで、Appleは明らかに初代〜第2世代バタフライキーボードの埃が入る問題を今回第3世代のシリコン薄膜でフィックスしたということになりそうですが、何となく対症療法みたいで、おざなりな感じがしますよね。

しかもAppleの公式サイトでウリとして謳われている「静かなタイピング」ですが、シリコンを間に入れることでクッション作用によって静音性が増すことが期待されたのかもしれませんが、実際には上の動画を見ればわかるとおり全然達成されていないことが証明され、かなり誇大広告、程度の捉え方によっては虚偽の広告になってしまっていることも問題かと思います。

このシリコン薄膜によるキータッチ音や埃対策が本当に有効なのかは、シリコンの経時変化などもあるかもしれませんので、もう少し長い目で見てみないとわかりませんね(恐らく半年〜1年は必要かと)。

小龍のひとりごと:レガシーなキーボードの方がよかった気がする。。

いずれにせよ、私はMacBookも一時期所有していたので(上海で路上ですられましたが)、あのバタフライキーボードのキータッチのいわゆる「パチパチ感」が苦手です。 まるで、子供の頃に家にあって打つのを練習した思い出がある”タイプライター”を彷彿とさせる打ち心地なのです。

ちなみに、今は完全に普及している「QWERTY」配列、つまりキーボードの英字がABCではなくバラバラに配列されているのは、タイプライターの時代に、速く打ち過ぎて文字ハンマー同士が当たらないように考慮されて作られた名残だ、って知ってましたか?結局、覚えて打つのが速すぎるとやっぱりハンマー同士が当たってしまうですけどね。。笑

TypeWriter

やっぱりレガシーなキーボード、私の場合はMacBook Pro 15inch Mid 2014モデルの少し深く柔軟性があるキータッチが本当に気に入っています。文字を打って生計を立てている自分は、恐らく人一倍タイピングをしていると思うのですが、静音性ならレガシーキーボードの方がよっぽど高いのではないかと思います。また、耐久性についてもレガシーなキーボードで特にこれまで一度もキーが外れたこともなく、全く不満を感じていません。Appleは本体を極限に薄くするためにバタフライ構造を考えたのでしょうが、かなり細かい部品であのストロークを成り立たせているので、個人的には耐久性にはやはり難があるのではないかと思います。

バタフライキーボードが苦手で、あまり強力なグラフィック処理を求めていなくて、USB-CやましてやTouch Barとか指紋認証なんかいらないという人には、まだまだCPUも現役と大差ないレガシーMacBook Proの最後のモデル、2015年モデルがお勧めです。当ブログでも昨日の記事でディスコンになってしまったことをお伝えしたとおり、今後は入手が難しくなってくるかと思います。以下の記事を参照に、Amazonなどのネットショップで中古を購入するのがいいかもしれません(ただし、品質については私は保証できないので自己責任で!)。

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumorsiFixit

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