Appleにとって世界第二の市場である中国の成長が鈍化するにつれ、Appleの目は今度はインド市場に向きつつあるようだ。
2015年9月のAppleティム・クックCEOのインド訪問の目的
以前ブログ記事でお伝えしたとおり、Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOが今年9月にインドを訪問しモディ首相等と会っていた。それは恐らくクックCEOがモディ首相にAppleのiPhoneがいかに優位性を持っているかを説明し、今後世界第二、或いは一番の市場になる潜在能力を秘めているインド市場を切り開くための訪問だったに違いない。
そして、そのトップ同士による会談の効果が早速表れたのかもしれない。
インドの規制緩和でAppleが直接小売ができるチャンスが開かれる
今週火曜日、インド政府はとある規制緩和を発表した。これまで海外の会社がインド国内で小売業をするためには様々な規制があったのだが、これからは海外の会社が自社製品が最先端レベルであることを証明できれば、販売製品の30%がインド国内生産でなければならないという従来の法規制を遵守する必要がなくなり、よりフレキシブルに対応できるというものだ。これはAppleがインドに直営小売店”Apple Store”を開くためのいいきっかけにもなりそうだ。これまでAppleは間に現地の販売代理店(リセラー)を挟んで中国で製造されたiPhoneを売るしかなかったからだ。
現在インド市場でシェア2%のApple、Apple Storeオープンで形勢逆転できるか
この規制緩和が行われた背景には、中国市場の成長が鈍化したことで、中国に強烈な対抗心を燃やすインドがAppleのためにより大きなサポートをしたとも考えられ、またモディ首相自身も先端テクノロジーを獲得することができるという目的もあり、最終的に現地の製造業の発展や就業機会の増加させたい気持ちがあるようだ。IDCの調査データによれば、Appleのインド携帯市場のシェアはたったの2%しかない。Appleが現地のキャリアと組んで一定期間の縛りによる通話料や機種代金が割引・値引になるようなプランを提供できていないこと、また現地の人がApple Storeで実際にApple製品を体験できていないことが主要な原因ではないかと考えられている。
「もし(インドに)Apple Storeを開くことができたら、それはAppleに巨大な競争優位性をもたらすだろう」とブルームバーグ(Bloomberg)のシニアテクノロジーアナリストのJohn Butler氏は述べる。「リテールストア(Apple Storeのこと)戦略は、彼らの世界戦略でますます重要なポイントになっていくだろう」
ただ、AppleのスポークスマンのAlan Helyはこれについてまだ何らコメントを発表していない。
インドの携帯市場は世界最速の成長、しかも2桁成長は数年続くかも
今年のQ2で、インドを仕向地としたスマートフォンの出荷量は前年同期比44%も増加し、世界の携帯電話市場の中でインドが最も成長が速くなった。IDCは、この二桁成長は今後数年続き、2017年にはインドの携帯電話市場はアメリカを抜くと予測している。
現在、インドの半数の消費者は100ドル(約1万2000円)以下の携帯電話を好んで使用しているが、インドでも収入が増加しているため、その傾向も遅かれ早かれ変わってくるものとみられる。インドの消費者数はもともと世界最多で、経済さえよくなれば、彼らは大挙してローンを組んで買い物をする可能性もある。そうなれば、多くの人が価格が高いものでも問題なく購入できるようになるのだ。
現在インド国内でのAppleの主要卸売商はRedington India Ltd.だが、同社営業部のRamesh Natarajan部長は、冒頭のインドでの規制緩和がAppleにとって有利に働くかどうかという質問についてはコメントを拒否しているようだ。もちろん、自社の商売を奪われることに危機感を感じてのこととは思われるが。
画蛇添足 One more thing…
インドに早めに目をつけて進出している米国企業のCEOといえば、元Apple CEOのジョン・スカリー(John Sculley)がいる。彼は昨年4月にインド市場に【Obi】ブランドを立ち上げ、比較的安値のスマートフォンブランドを展開している。
ジョン・スカリーといえば、ペプシ社のCEOだったところをスティーブ・ジョブズによってAppleに招き入れられ、最終的にはジョブズをAppleから追い出した人物でもある。またApple凋落の原因を作った人でもあるが、そんな彼が昨年4月にAppleはインド市場では苦戦するだろうとインタビューで答えている。
今回の規制緩和が行われれば、Appleが本格的にインドに進出できるようになるだけではなく、恐らく中国スマホメーカーも大挙進出してきて大混戦となるだろう(中国のメーカーが技術的に最先端ということを証明できればの話だが)。
そうなった場合、スカリーの【Obi】のようなブランドは、中国或いはインド国産ブランドに駆逐されてしまう可能性もあるかもしれない。なんといっても、海外ブランド・海外デザインという以外に殆ど特徴がないのだから。。
【Obi Worldphoneの公式ページ】
記事は以上。
(記事情報元:WeiPhone)