Appleの新型iPhone【iPhone 6s】【iPhone 6s Plus】は一昨日9月12日より日本や中国大陸や香港を含む12の国と地域で予約受付を始めた。これまでのiPhoneと同様、世界各地のiPhone 6sシリーズの価格には違いがある。
中国大陸と香港、同じ国のはずなのに価格が違う理由
例えば、香港と中国大陸地区は同じ中国のはずだが価格は香港の方が安い。これは一国二制度によって税制が異なることが大きく関係する。香港は無税なのに対し、中国大陸では税金(増値税という付加価値税、消費税のような税)が高くかかってくるからだ。そこに利ざやが発生するため、中国ではわざわざ香港や日本など近場の”国外”からiPhoneを密輸して中国国内に持ち込み、増値税や関税などの課税を逃れて仕入れることでその利ざやを稼ぐ違法業者がはびこるのである。
同じ国の中で陸続きの他の地域で同じiPhoneの価格が違うのであれば、安いところで買いたくなる気持ちはわからないでもない。例えば日本でも東京と埼玉でiPhoneの価格が違い、埼玉の方が安ければ、当然ながら埼玉に客が殺到することだろう。
香港の≪文匯報≫の報道によると、iPhone 6sシリーズの第一弾販売国・地域の価格を比較したところ、違法密輸転売業者がはびこる中国の価格は世界最高値ではなく、4位になっていることがわかった。実はフランスが最も高く、最も安い米国に比べて30%も高くなっている。ちなみに中国大陸の4位に対して、お隣の香港は8位で、日本は9位でほぼ香港と変わらず、比較的安い価格となっている。
フランスが最も高く、最安の米国の3割高いという結果に
16GBのiPhone 6sとiPhone 6s Plusの各地の価格を米ドルに換算して比較したところ、この2種類は香港での販売価格は721ドルと824ドルとなり、アジアでは日本よりわずかに高いレベルに収まっている。中国大陸では、人民元が大幅に切り下げがあった影響で、iPhone 6s/6s Plusの価格が昨年のiPhone 6/6 Plusと変わらなかったのだが、現在の米ドルに換算するとそれぞれ828ドルと954ドルとなり、アジアで最も高い国となった。
ちなみにヨーロッパでのiPhoneの価格は世界でも最も高くなり、特にフランスは6sが846.5ドルとなり、米国の649ドルという世界最安値に比べ30%近く高くなっていることがわかる。ドイツもフランスとそれほど変わらず、835.2ドルで世界第2位の高さとなった。過去12ヶ月でユーロが大幅に下落したことで、フランスとドイツの消費者はiPhone 6/6 Plusに比べ40ユーロ多めに出さないとiPhone 6s/6s Plusが購入できないことになり、いわゆる割を食った感が否めないという。
ただユーロ圏ではないイギリスもそれほど安くなく、16GBの6sが832.7ドルで、12の国と地域の中では3位となっている。実質的には、昨年1年のイギリスポンドがドルに対して少し弱くなったことで、イギリスでのiPhone 6s/6s Plusの価格もiPhone 6/6 Plusと変わらなかったとはいえ、米ドルに換算すると少々高くなったようだ。
カナダとオーストラリアはユーロ圏と同様、AppleがiPhone 6s/6s Plusの価格を引き上げたため、価格が高くなった。カナダドルは米ドルと殆ど差がないため、世界で2番目の安さとなった。ただ、アメリカもカナダも現地の消費者の一部はもう少し多めに払わなければいけないという。それはなぜだろうか?
実は米国とカナダ価格には消費税が含まれていない
注意しなければならないのは、米国とカナダの2カ国の調査価格には消費税が含まれていないということだ。なぜならこの2カ国は、州によって消費税が異なるためだ。例えばニューヨーク州は8.875%の消費税がかかるが、他の州では消費税が免税になるところもある。つまり、国内で消費税が統一されていないために、これがアメリカの価格或いはカナダの価格だと一概に言えないため、税抜き価格を出しているということだ。
イギリスのメディアでは、安いからといってアメリカでiPhone 6sを買わないように忠告している。なぜなら免税の地域で買ったとしても、国に戻ってきたらやはり税金を後から払わなくてはいけないからだ。
もちろん、本来は中国もそうなのだが。。
価格が高くなってもAppleは儲からない
ちなみにフランスなどユーロ圏では価格は高いが、殆どが消費税によるものなので、そこでAppleが大きく儲けているということは全くない。中国大陸も同様で、iPhoneが売れるたびに約17%の増値税(付加価値税)は中国政府の懐に入る。
iPhoneの売れ行きがいいと、その販売規模から販売先の国や地方の政府に大きな利潤をもたらす。Appleは今や世界に最大の影響力を持つテック企業となっているのだ。
記事は以上。