Apple vs FBIの戦いは、今後もこんな感じで続くのだろうか。。
現在のAppleの対応から見れば、恐らくどの国の政府やどんな政府機関がAppleに犯罪容疑者のiPhoneのロック解除協力を依頼しても、得られる回答は「拒絶」のみだろう。ここ1ヶ月ほどの間に発生したAppleとFBIの間のユーザのプライバシーと安全保障に関する激烈な討論において、Appleが非常に頑なな態度でユーザのプライバシーを守ることが世間に知れ渡った。
そして今回話題になったカリフォルニア州サンバーナーディーノ銃乱射テロ事件のiPhone 5c以外にも、実はFBIを含む米国政府機関がAppleにiPhoneやiPadのロック解除を要求していた案件は複数あり、そのうちにはiPhone 6も含まれていた。
MotherBoardの報道によると、今年2月にアメリカのマサチューセッツ州ボストンで発生した悪質な事件で、FBIはまたもAll Writs Actという170年前の法律を使ってAppleにギャング集団Columbia Point DawgzのメンバーDesmond CrawfordのiPhone 6を解除するようにAppleに求めて裁判所に命令書の発行を要求していた。但し、その時にはFBIはサンバーナーディーノの事件の時とは違ってAppleにバックドアを仕掛けるようには要求せず、Appleにこの事件に関わるiPhone 6から情報を取り出したいとしていただけだった。
そしてAppleがもしiPhone 6を解除できなければ、彼らはFBIに協力していくつかの技術的な方法を使ってiPhoneの中の情報を取り出し、外付けストレージなどに情報を保存して行政機関に提出しなければならないとされていた。
最終的に裁判所はAppleはFBIに対してiPhone 6の中の情報を提供しなければならないとしたが、もしデータが暗号化されていた場合はAppleは暗号化を解除する必要はないという判決文も付け加えたため、FBIはAppleを起訴することを諦めたようだ。
カリフォルニア州サンバーナーディーノの事件では、FBIはサードパーティで日本のサン電子の子会社のイスラエルの「セレブライト(Cellebrite)」社の協力を得てテロリストが使っていたiPhone 5cの解除に成功したが、FBIのJames Comey局長自身も、その解除方法ではiPhone 5s以上、つまり64ビット機の解除はできないことをはっきりと明言していた。
画蛇添足 One more thing…
今回は裁判所が暗号化は解かなくていいという判断をしたためAppleは助かったが、もし裁判所の判断で解除しなさいということになったら、またもやサンバーナーディーノと同じ衝突が起こるかもしれない。今後iPhone 5c以前の32ビットマシンは淘汰されてくる。iPhone 5s以降の64ビットマシンが主流になっている今、今後も同様の問題は発生してくるだろう。
AppleとFBI、そしてユーザのプライバシーと公共安全保障の戦いは続くだろう。
記事は以上。
(記事情報元:MotherBoard)