Appleは近年、VRやAR分野に相当投資をしています。ARKitはAR用アプリケーションの開発用プラットフォームとしてリリースされ、またFace IDのための3Dカメラシステムも、今後もAR/VRのための布石ではないかとみられています。ただ、Appleはこれまで開発の噂はあったものの、AR/VR用専用のハードウェアはリリースしてきませんでした。そして昨日CNETが、AppleはAR/VRアプリケーションをサポートした、これまでどこも実現できなかった16Kの超精細AR/VRヘッドセットを開発していると報じています。
CNETによれば、このデバイスはApple社内では社内コードで「T288」と呼ばれていて、iPhoneやMac、その他のスマホやPCとペアリングする必要なく単独で動作し、またディスプレイの解像度は片目ずつ8K、つまり8K+8K=16Kに達するというのです!このデバイスには更に「専用ボックス」が付属していて、Appleは60GHzのWiGig(ワイギグ、短距離高速デジタル無線伝送用の世界的な規格)を使用したヘッドセットディスプレイとそのボックスによって構成されるといいます。ただ、このWiGigでは伝送距離は10mほどと制限があるため、2世代目の製品では、Appleは更にデータ伝送技術を802.11ayにアップグレードし、更に速く更に距離が離れても通信が行えるようになる予定だということです。
ただ8Kの解像度となると、コンピュータ性能の要求が非常に高くなります。Appleはこのデバイスでは特別な5nmプロセスで製造されたSoCを使用するものとみられ、これは現在のAシリーズチップよりも更に強力になると思われ(今年秋にリリースされる新型iPhoneに搭載予定のA12チップでさえまだ7nmプロセスです)、これまで噂されているAppleによる自社開発のMac用のメインプロセッサがそれにあたるのかもしれません。今のところ、専用ボックスは見た目はコンピュータのようですが、Macとは違うものになるということです。
このデバイスの使用方法としては、今のVRデバイスのように部屋の中にいくつものカメラを用意して使う人のモーションキャプチャ(動作捕捉)をする必要はなく、1つのヘッドセットデバイスと1つのボックスだけで事足りるということのようです(ボックスにカメラが搭載されるということでしょうか)。そしてAppleはこのAR/VRシステムのために専用のOS「rOS」を開発していて、ユーザのボイスやジェスチャーなどによって操作が可能になるシステムとなるようです。
冒頭にも書いたとおり、Appleは既に社内に秘密のAR/VRに関するR&D部隊を用意していて、製品を開発しているという噂はこれまでも流れてきました。上記のCNETでの報道で内部コードネームまで出たことから、そこそこ信憑性のある情報とは思われますが、もちろん確定した情報ではありません。Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOは、ARはVRよりも更に重要で、VRは既に教育やゲーム分野で成功を収めているものの、ARは生活の中で更に役に立つ余地が多いと発言しています。
最後に、CNETはAppleはこのデバイスの開発の初期段階で、社内での目標は2020年リリースに設定されているとしていますが、このプロジェクトが変更になったり、おじゃんになる可能性も捨てきれないとしています。
記事は以上です。
(記事情報元:CNET)