台湾のDigitimesの報道によると、台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の張忠謀代表が本日株主に向けたレポートの中で、同社が来年の前半に7nmプロセスのテスト生産を開始すると通知していたことがわかった。
TSMCの劉徳音CEOは4月14日に行われた投資家報告会で、20を超える客先に向け7nmプロセスによる加工について既に商談に入っており、2017年には15社の客先がデザインのテープアウトを行うという。劉徳音CEOによれば、TSMCは2018年前半には7nmプロセス製品の量産を実現する計画だという。
劉徳音CEOは更に、7nmプロセスのテクノロジーで使う設備のうち、95%は10nmプロセスのものと同じで、TSMCの7nmプロセスの技術開発は順調だとしている。「7nmプロセスは10nmプロセスの延長線上にあり、ロジックボードの密度を60%向上し、消費電力を30〜40%下げることができます」と劉CEOは述べている。
TSMCの7nmプロセステクノロジーは、モバイルデバイスや高性能コンピューティングに使われるチップに採用されるもようで、10nmテクノロジーは主にモバイルデバイス向けになりそうだ。劉徳音CEOは、今年の第一四半期以来、TSMCは既に客先から10nm製品設計のテープアウトをもらっており、将来数四半期において更に多くの設計案を受け付けるとしている。「10nmテクノロジーの膨大な需要は2017年第2四半期から始まるでしょう」と劉CEOは語っている。
画蛇添足 One more thing…
TSMCの最大の客先でもあるAppleが今年秋にリリースするとみられるiPhone 7に採用されるとされているA10チップは、今回は韓国サムスン半導体に入られることなく、100%TSMCが受注したといわれている。また今後のiPhoneの受注をとるために、どんどん新しいテクノロジーの技術開発に励んでいるのだろう。しかし今後のデバイスのプロセッサに求められるのは単なる処理速度ではなく、画像処理速度(GPU性能)といわれている。
モバイルデバイス向けプロセッサには、更に小さなくなるプロセスによって密度を上げて空いたスペースにどれだけ高性能なGPUを詰め込めるか、というところになってくるのかもしれない。
ちなみに現行最新のiPhone、iPhone 6s/6s Plus、そしてiPhone SEに搭載されているA9チップはTSMC製が16nm FinFETプロセス、サムスン製が14nm LPEプロセスが用いられている。7nmとなるとそれよりもぐっと細かくなる。ただ7nmプロセスの量産計画は2018年の前半から開始ということで、そうなるとiPhoneに搭載されるのは、iPhone 8に搭載されるA12チップからの搭載ということになりそうだ(このままのペースでiPhoneやAチップのナンバリングが続けばの話だが)。
記事は以上。
(記事情報元:Digitimes)