新規プロジェクト開始か?Appleの2016年度の支出が約1兆8000億円に増加

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

AppleInsiderの情報によると、Appleは会計年度2016年の製造設備、データセンターや小売基本施設等の投資(資本支出)に150億米ドル(約1兆8000億円)を注ぎ込む予定であることがわかった。

来期は資本支出が約33%増加する予定のApple、その目的は

会計年度2015年ではAppleの資本支出は112億米ドル(約1兆3500億円)だったので、来期は約33%のアップとなる。この支出の大幅な増加は、製造や販売の強化だけではなく、新規プロジェクトを立ち上げるというシグナルでもある。資本支出の意味するのは将来的な収益のための長期投資であり、運営コストとは企業が運営するプロセスにおける支出のことをいうため、その性質は異なるのだ。

Apple Infinite Loop Campus
Apple Infinite Loop Campus

Appleは米国の証券取引委員会に向けて提出した10K文書の中で、資本支出の内容を「製品工具と製造工程設備・データセンター・企業施設と基礎設備及び専門店の基礎施設」と説明している。

資本支出が38億ドル、33%も増加するということは特筆に値する。というのもこれまでのAppleは支出に関しては非常に保守的だったからだ。

去年10月、Appleは会計年度2015年の資本支出は124億米ドルに達する予定と発表していたが、結局12億米ドルの削減となった。その原因は設備や施設の投資効率があがったことだとされている。

Appleの高速成長は大型投資によるもので、短期的なラッキーヒットではない

5年前、Appleの毎年の資本支出はたった20億米ドルを少し超えるほどの規模だった。現在に比べると桁違いに少なかったのだ。2013年、当時のAppleのピーター・オッペンハイマー(Peter Oppenheimer)CFOは、資本支出を利用することについて「私たちは協力会社の工場に私たちに所属する製造設備を購入し備え付けた。その主な動機は、供給を確保することだが、これらは他にも我々に利益をもたらしてくれる」と説明している。

同年の暮れに近い頃、マーケティング会社のAsymcoのアナリストHorace Dediuによって、Appleが資本支出を増やしているのは”iOSデバイスの製造に追いつくため”とされていた。確かにその頃iPhoneの生産は需要に追いついておらず、新型iPhoneが発売されるたびに在庫不足が指摘され、Apple Storeではなかなか買えない状況が続いていた。

Appleの資本支出は生産キャパシティの増加だけではなく、直接営業収入の増加にも繋がっているモルガン・スタンレーのアナリストKaty Huberty2012年に、「過去7年のAppleの営業収入と、Apple Store以外の資本支出との関連度は97%にも及んでいる。我々は、資本支出の加速的増加は営業収入のそれと似たような加速的成長を意味するとみている」と分析している。

Appleとその他テック企業巨頭との比較

さてApple以外の会社はどうだろうか。Google(グーグル)は前会計年度で111億ドルの資本支出をしている。そしてGoogleの営業収入は61億ドル増加し、その増加幅は10.2%となった。また利益は17億米ドル増加し、増加幅は14%となった。

AppleがGoogleと比べて大きな違う点は、その基礎施設投資が成長をもたらすこと、特にその中に絶対金額の増加と相対成長が含まれることだ。現在Appleの株価収益率(PER)は12.99倍で、GoogleとMicrosoft(マイクロソフト)はそれぞれ33.35倍と35.37倍だ。もしAppleの株価収益率がGoogleやMicrosoftと同じ水準となったら、その株価は300米ドルを超えるはずだ。

スタンダード&プアーズ指数の500銘柄の株価収益率は22倍強だ。もしAppleの株価が同業他社の業績がAppleほどよくない会社と同じ水準となったとしても、Appleの株価は200米ドルを超え、現在よりも69%も高くなる計算となる。

画蛇添足 One more thing…

Appleは実績に対してPER(株価収益率)を低く設定することで投資家にとって投資をしやすくしているとも読めるだろう。そしてその投資資金を製造設備や販売施設に注ぎ込むことで営業収入の増加に繋げている、健全な会社だ。

しかしそれも製品が順調に売れているうちかもしれない。実際Appleは収益の半分以上をiPhoneに頼っていて、双璧をなすはずのiPadは下落傾向という危なっかしい状態でもあり、もしiPhoneが万一こけてしまうと会社全体も傾く可能性がある。iPhone以外のヒット商品を作っていけるかがAppleの今後の課題となっていくだろう。

来期で資本支出が増加しているのは、その課題解決のための”新規プロジェクト”への投資なのかもしれない。ではその”新規プロジェクト”とは何だろう?EV(電気自動車)のApple Car(コードネーム:Titan)だろうか?それとも?

記事は以上。

(記事情報元:AppleInsider

Visited 61 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人