Apple(アップル)の創始者、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)は生前、何度か自動車製造に興味を示したことがあった。
そしてここ2日ほどのニュースで、Appleの自動車業界への進出の野心が明らかになった。以下は中国のメディアiFanrの記事による。
■スティーブ・ジョブスの乗っていたメルセデス・ベンツSL55 AMG
Appleの電気自動車プロジェクトコードネームは”Titan”、自動運転システムも
コードネーム”Titan”という自動車プロジェクトチームがApple社内で立ち上げられ、フォード(Ford)のエンジニア出身で現在Appleの上級副社長(ヴァイス・プレジデント)になっているSteve Zadeskyがこの数百人によって構成された電気自動車研究開発チームを率いているという。Appleが電気自動車を製造し、テスラ(Tesla)とその先鋒を争っている姿を想像すると、Appleは更にもっと先を目指しているのではないかと思えてくる。それは無人自動運転技術だ。これは過去数年に渡り、Googleが大胆にも模索してきた分野で、テスラも昨年10月にModel S P84Dを発表した時にも、全てのシリーズに人工知能を搭載した自動運転システムを導入するとしていた。
ロイター(Reuters)社の報道によれば、Appleは自動車生産技術上の問題を自動車業界の専門家に聞きつつ、主に電気自動車とその自動車のネットワーク接続に集中しているが、同時に自動運転技術についても評価を進めているようだ。
自動運転システム実現に向けて、各社は既に先行投資している
Appleがどのような方式で自動運転技術の開発と応用をしていくのかを議論するのはまだちょっと速すぎるようだ。しかし自動運転技術は一種の革新的テクノロジーで、従来の大手自動車メーカー、例えばメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ等も少しずつその市場を育てるために、まずは自動車のインターネットへの接続と、半自動運転機能に先行投資をしている。Appleは現在、現行の自動車の各種の改良の可能性の評価を進めているが、そのうちの1つに自動運転技術がある。既にテスラのように先行で電気自動車をリリースしているメーカーが、自動運転機能を一気にリリースするかについてはまだ不明だ。
電気自動車がコンピュータなら、ソフトウェアづくりはAppleの得意とするところ
電気自動車と自動運転機能に対しては、誰にでも共通した認識がある。それは、自動車が4つのタイヤを持つコンピュータとなるということだ。そしてコンピュータにはソフトウェアがつきもので、自動運転などは特にソフトウェアによって実現するものだ。ソフトウェアはAppleの得意とするところのため、恐らく従来の自動車メーカーと一緒に自動運転技術について開発するようなことはないだろう。これは今までのAppleのスタイルに合致する。コンシューマーエレクトロニクスの分野で、AppleはiOSとMac OSで自給自足の王国を作り上げた。Appleが必要としているのは自動車業界とロボット業界の専門家で、既に多くのメディアの報道によってそれは証明されている。
CarPlayで既に業界に乗り出しているApple、新しい夢の計画をスタート
Appleはご存知の通り、自動車業界に既に乗り出している。昨年2014年3月に発表したCarPlayがその表向きの第一歩だったといえるだろう。シリコンバレーだけではなく世界中のテクノロジー業界が、自動車のインターネット化・電気自動車・自動運転等カーテクノロジーに熱い情熱を傾けている。例えばGoogleやテスラ、そして中国国内にも楽視(乐视)や自動車のインターネット化サービスには上海博泰などが出てきている。
Appleに、とうとう新しい夢を創造する計画をスタートする時期が来たようだ。
画蛇添足
■Appleに引き続き夢が語れるか、ここが正念場かも
Appleは多くの従業員をテスラに引き抜かれ、しかも一度引きぬかれたら戻ってこないなど、夢を語っているテスラのトップ、イーロン・マスク(Elon Musk)にお株を奪われ始めている。やはり夢を語るトップというものは人を引きつけ、そういうトップのいる企業がイノベーションを起こしていくのだろう。
現在のAppleのCEO、ティム・クック(Tim Cook)はどちらかというと実務型の人間で、テスラのイーロン・マスクや先代CEOのスティーブ・ジョブズ、そして中国の小米の創業者レイジュン(雷軍)のように夢を語ってぐいぐいと内外の人を引っ張るようなタイプの人ではない。これからのAppleの夢は一体誰が語るのだろうか。
電気自動車そのものや、半自動運転システムは、既にある程度完成されたものがある。そこにイノベーションをもたらすのはAppleなのか、テスラなのか、はたまた中国やインドなどからすごいのが出てくるのか。。
■Appleはその気になれば、自動車メーカーを全部買うこともできる、が。。
ちなみにテスラはAppleの10分の1の金で、既に電気自動車やロケットなど、人々をわくわくさせることを実現しはじめている。
Appleは今や、世界一の市場価値と、世界一の利益と、世界一の現預金保有高と、世界一のブランド価値を持っている。自動車業界に乗り出したとしても全く不思議ではない。
世界最大の自動車グループ、フォルクスワーゲンでさえ市場価値は1,000億米ドルちょっとしかない。それに対してAppleの市場価値は7,100億ドルもある。つまり、Appleはその気になれば何ら金融ツールなどを使わなくても、フォルクスワーゲン、アウディ、ランボルギーニ、ポルシェなどの自動車の最高峰ブランドを一気に全部買うことができる。そして余った金でメルセデス・ベンツやBMWも買うこともできる。しかも、100%の株主になることができるのだ。もし株保有率51%で妥協するのなら、名前の知られている全ての従来の自動車メーカーの筆頭株主になることだって可能だ。
現在の自動車市場は、AppleがiPhoneを出す直前の携帯市場とちょっと似ている。市場が成熟して先に進めなくなり、既得権益を持つメーカーが新しい技術の突破口が見つからず右往左往しており、毎年過去稼いだ莫大な資産を少しずつひねり出しつつ、コンセプトカーを発表しては適当にごまかし、本当の変革を起こそうとしていないのだ。
Appleがイノベーションをもたらすことはみんなにとっていいことだ。ただ、このタイミングで外部に秘密が漏れてしまったことは、Appleにとってはちょっと具合が悪かったかもしれない。。
記事は以上。
(出典元:iFanr)