イーロン・マスク提唱の次世代交通システム”Hyperloop”がクラウドソーシングで復活!

  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

先ほどイーロン・マスク提唱による”Hyperloop”の総工費が発表されたことを記事にしたが、中国のサイトiFanr(爱范儿)で面白い解説がなされていたのでこちらも併せて紹介したい。

イーロン・マスク提唱の次世代交通システムHyperloop、マスク自身が継続せず・・・

HyperLoop_Concept_Philadelphia_01

太陽光エネルギーを燃料とし、乗客はまるでカプセルのような”車両”に載り、密閉された空気軌道のパイプの中から発射され、走行速度は現在の新幹線の3〜4倍で、飛行機の2倍。これがいわゆる”噴射式ジェット機と、軌道弾丸列車”の間の交通システム”Hyperloop(ハイパーループ)”だ。イーロン・マスク(Elon Musk)のクレイジーな将来展望の中では、このHyperloopは汽車、船、電車、飛行機の後を継ぐ5番目の大交通システムになるとされていた。

電気自動車のテスラ(Tesla)と宇宙船開発のSpace XのCEOでありながら、テクノロジーでも狂人といってもいいほどのイーロン・マスクは、昨年57ページにも及ぶHyperloopのコンセプトデザインを発表し、人々の将来の交通システムへの無限の憧れを刺激した。しかし誰もその次にどう動けばいいのかわからなかった。そして仕事の優先度の関係から、イーロン・マスクもその後Hyperloop計画を具体的に進めてこなかった。

Hyperloopの夢を次ぐもの、HTTとその参加者達

しかし幸いなことに、その偉大な計画を進める人たちがいた。米国のテクノロジー系メディアWiredの報道によれば、Hyperloop Transportation Technologies(HTT)という会社が、クラウドソーシングという形で再度このプロジェクトを継ごうとしている。

HTTは実際はベンチャーファンディングプラットフォームのJumpStartFundの子会社としてスタートし、会社というよりは公益組織というのに近い。従業員には給与は支払われず、HTTのストック・オプションが約束されるだけだ。そんな状況でもHTTは人材が集まっている。カリフォルニア大学ロサンゼルス分校の学生や、ボーイング社からの参加者、またAirbusやSpace Xからエンジニアも参加している。100人以上が仕事の本業の休暇の合間をぬって、メールを使って共同作業を進めている。その作業には路線計画や車両構成、そしてコスト分析などのプロジェクト等々が含まれている。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のSuperStudioが、駅・走行路線や列車車両を含むHyperloopシステム技術の設計を担当している。技術の実現性についての研究は現在も続いており、来年半ばには完了するという。

HyperloopのHTTによる設計と障害・問題点

Hyperloop_Concept_2

路線に関してはまだ設計段階だが、駅と駅の間はできるだけ直線を保つ必要がある。というのもカーブを高速で通過することでのGがすさまじく、乗客乗員がめまいを起こす可能性を出来るだけ避けたいからだ。この路線計画では技術的な障害よりも、実は政治的なことのほうが障害となる可能性があるという。

列車のデザインは外側のハードウェア設計と内側の輸送設計の2種類に分けられている。列車はパイプの中では大きな推進力によるプレッシャーを受けるため、全てのドアと窓は直接外側に露出されていてはならず、必ず強固なカバーによって包まれている必要がある。

Hyperloop_HTT

このような射出式の座席設計は路線計画とも合致している。路線計画ではパイプ内での複線化(往復路線)も考慮されているが、射出式の座席を再度収納する際に反対方向にすることができるからだ。

面白いのは、設計案の中でHyperloopにはエコノミークラスとビジネスクラスが分けられていることだ(日本でいえば普通席とグリーン席)。

Hyperloopが実現するのはまだまだ先の話

HTTは順調な進展を見せているが、Hyperloopがテストや工事段階に入るにはまだまだ長い時間が必要となる。最も困難な問題は、パイプの中で列車の摩擦をいかに最小限にしつつ最高速度を出すかということであることは間違いない。イーロン・マスクの出したアイデアは、コンプレッサーを使って列車の運行中に絶え間なく高圧空気を先頭から末尾まで送り続け、同時に車両の底にはエアクッションのようなものを設けて、列車をパイプの中で浮かすというものだ。この方法はコストの節約は可能だが弊害が存在するといい、HTTはリニアモーターカーが使っている磁気レビテーション等による代替案を使うことを検討しているという。

ではHyperloopのコストは?イーロン・マスクが昨年このHyperloopの構想発表当時に見積もったのは、400マイルにつき60億〜100億米ドル(約7,170億円〜1兆1955億円)の資金が必要だということだったが、これはHTTの実際の見積もりと大差がない。

HTTによれば、2015年内には最初のプロトタイプを作り始め、最終バージョンは10年以内に完成させたいとしている。この巨大なプロジェクトを完成させるために、HTTは現在のクラウドソーシングから株式資本による運用に変更する可能性がある。

イーロン・マスクはやっぱり偉人・変人

「イーロン・マスクは間違いなく人々の想像を超えることを推し進める人だ。他の人がまだ次のアプリの開発のことを考えている間に、あいつは火星で死にたいと考えている」とJumpStartFundのCEO、Dirk Ahlbornは評価している。

記事は以上。

Visited 37 times, 1 visit(s) today
  • ブックマーク
  • Feedly
  • -
    コピー

この記事を書いた人