先月発売されたばかりのAppleの新型iPhone、【iPhone 6s】【iPhone 6s Plus】に搭載されているメインプロセッサ、A9チップは、台湾のTSMCと韓国のSAMSUNGの2社によって納入されていることがわかっている。ただ、TSMCは16nmプロセスを採用して面積が少し大きいのに比べ、SAMSUNGは14nmプロセス採用で面積がTSMCのものに比べ小さいのが特徴だ。
TSMCとSAMSUNGのA9チップ、どちらが優秀?
理論的にはSAMSUNGの方が14nmプロセスの分、省電力の面などで有利なはずだ。実際にこれまでの多くのサイトによる比較でも、微妙にSAMSUNGの方が優れているという結果がわかっている。ただ、実際普通に使用する分には、殆どこの2社のプロセッサの差はほとんどないといわれている。つまり、どちらでもバッテリーの消費や発熱には影響しないということだ。
しかし普通に使用しない場合はどうか?例えばゲームフリークが四六時中3Dゲームなどを動かすなど高負荷となった場合はどうだろうか?そんな疑問に答えるべく、中国のサイト、TGBusが面白い実験を行っており、その結果が驚くべきものだったのでご紹介したい。実験方法は二つだ。
【実験条件】
どちらもiPhone 6sで、左側のシルバーがSAMSUNGの14nmのA9、右側のローズゴールドがTSMCの16nmのA9搭載モデルだ。どちらもオーストラリアの初日に購入した64GBモデルで、iOSバージョンは9.0.2で統一している。画面の明るさ(輝度)と音量は最低に、自動調節をオフにしてそれらがバッテリーに影響しないようにした。また両方とも100%めいっぱいに充電し、再起動してからテストに入るという徹底ぶりだ。
実験1:Javascript動画による比較
Safariで複雑なJavascriptの動画、http://codepen.io/antoniskamamis/full/ECrKd/ を約1時間再生。System Statusでこのアプリを調べたところ、CPUの占有率は60%だったため、強力なA9チップにとってこの実験は問題なく実行できるレベルのものと判断されている。
23:36 100%充電された状態
00:09(約33分経過) バッテリー残量が、左側のSAMSUNGは82%、右側のTSMCは89%に
00:38(更に約29分経過)バッテリー残量が、左側のSAMSUNGは59%、右側のTSMCは74%に
結論:
Javascriptによる動画に関するバッテリー消費の面では、TSMCが圧倒的に省エネであることがわかった!
温度的には温度計を使って測定されたわけではないが、左側のSAMSUNGのA9チップ搭載シルバーモデルが、右側のTSMCのローズゴールドモデルの方より感覚的に少し熱く感じたとのこと。
実験2:NplayerでRMVB動画を再生
再生時間は約1時間。
00:45 先ほどの続きから。左のSAMSUNGが59%、右のTSMCが73%残っている。
01:19(34分経過)左のSAMSUNGが50%、右のTSMCが65%に
01:46(更に27分経過)左のSAMSUNGが42%、右のTSMCが57%に
結論:
Nplayerでの動画再生は正直A9チップにとっては簡単すぎて、性能をもてあますためCPUそのものが大きな負荷がかかっておらず、今回のテストでは消費電力は2台ともほぼ一緒となった。
【まとめ】
非常に驚くことに、Javascriptによる動画再生でTSMCのA9チップがSAMSUNGのA9チップに圧倒的な差でバッテリーが長持ちするという結果となった。しかも、TSMCは16nmプロセスというSAMSUNGの14nmプロセスよりも不利な条件下でそんな状況になったというのは腑に落ちない。本来は逆のはずだ。一体A9チップ内部で何が起こっているのだろうか。。
ただ、もちろん個体差であることも否定できないため、今後台数を増やして同様の試験を行ってもらう必要があるだろう。
ちなみに私のiPhone 6s PlusはTSMC製だった。判別方法と傾向はまた別記事にまとめたいと思う。
記事は以上。
(記事情報元:TGBus)