サーチエンジン出身のテック企業の世界2大巨頭といえばグーグル(Google)とヤフー(Yahoo!)だ。そのうちのグーグルは、自社開発のAlphaGoが人類の囲碁のトップと激戦を繰り広げ、昨日第三戦の勝利をもぎ取ったところだ。とうとう囲碁の分野では完全に人類を超える人工知能を実現したかもしれない。しかしかたやヤフーはそれに比べると寂しい限りだ。
VentureBeatの報道によると、ヤフーはゲーム、ライブテキスト(LiveText)、BOSS等のサービスの終了といくつかの地域性のあるサイトの閉鎖を計画中だという。そして今後は7つのコアサービスで消費者にサービスを続けるという。すなわちメール、サーチ、Tumblr、ニュース、スポーツ、ファイナンス、そしてライフ/ファッションだ。
まずヤフーは5月13日にゲームとパブリッシングのチャンネルを終了する。ヤフーゲームは1998年から開始されたサービスで、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、アメリカとイギリス等のヤフーユーザに影響が出ることになる(日本に関しては記事公開時点での公式な終了のアナウンスはない)。3月14日から、ユーザはヤフーゲーム内部での購入ができなくなる。しかしヤフーは既にゲームの開発元に、何らかの過渡的な方法をとるように連絡を取っているという。
ヤフーのライブテキストも今月末で終了する。これは2015年7月にリリースされた、音声のない動画とテキストだけのメッセージアプリだ。VentureBeatはこのアプリを試してみたが、何もサプライズを感じなかったという。ヤフーによれば、ライブテキストは”新しいUXと機能の試み”で、単独のアプリではなくこれらを現行の商品、例えばヤフーメッセンジャー(Yahoo Messenger)にこの機能を採り入れるようにするという。
ヤフーのBOSS(Build your Own Search Service)はサーチエンジンプラットフォームのオープン化に向けたテストだった。ヤフーは3月31日にからBOSS JSONサーチAPIと、BOSSへの委託検索、そしてBOSS PlacefinderとPlacespotter APIを終了することを決定している。それに代わるものとして、ヤフーはデベロッパ向けにYPAとヤフーモバイル開発ツールセットの使用を推奨している。
またヤフーは多くの特定の地域での特定のジャンルのチャンネルを複数閉鎖予定で、この流れはCEOにマリッサ・メイヤーが就任して以来続いていて、ますます拡大するばかりだ。
ウォールストリート・ジャーナルの報道によれば、メイヤーCEOはインタビュー取材を受けた際に既に”3年戦略計画”を制定しており、今後もヤフーの事業形態の転換を図っていくとしていた。しかし時間は人を待ってくれない。ヤフー自身の売却が近づき、代理権争いがもうすぐ始まる。ヤフーは1年以内にその独立性と、上場企業の地位を失ってしまう可能性はますます大きくなっているのだ。
そんなわけで、CNBCが報じているように、メイヤーCEOを辞めさせるべきかというような議論はますます増えてきている。
ヤフーとメイヤーCEOの未来はどうなるのだろうか?
メイヤーCEOはもともとはグーグル出身。1999年のまだ20人規模というグーグルに、数少ない女性エンジニアとして入社し、人工知能とユーザインタフェース設計の専門家であり、これまでGoogleウェブ検索、Googleニュース、Gmail、Orkut、Google マップ、Google Earth、Google Health、iGoogleなどの構築に携わり、2008年、『フォーチュン』誌が毎年選定する「50 Most Powerful Women」(最もパワフルな女性50人)で第50位に選ばれた。これまでに最も若い女性としてランクインしたことになる。
そして2012年、グーグルを離れて敵陣のヤフーのCEOになったマリッサ・メイヤーだったが、メイヤーが去った後のグーグルやアルファベット(Alphabet)の成功の陰で、メイヤーがトップに立ったかつてサーチエンジンの第一人者だったヤフーは凋落している。
テック業界では傾向としてほぼ1つの企業が市場を独占しがちであることを置いておいても、マリッサ・メイヤーはもしかしたら経営向きではなかったのかもしれない?
個人的にはグーグルが完全にサービスを規制されている中国において、ヤフーのサービスは壁越えしなくても使えるので重宝している。日本のヤフーがどうなるかはわからないが、できれば続いてほしいものだ。
記事は以上。
(記事情報元:iFanr、VentureBeat)