【付箋で剥がして治具で貼る】iPhone Duoのナノテクスチャ層の交換手順をAppleが公開、日本は8,800円

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【iPhone Duo】の内側画面の表面に貼られているナノテクスチャのカバーレイヤーについて、Appleがサポートサイトで交換手順書「iPhone Duo Cover Layer」を公開しました。公開日は2026年10月23日(米国時間)で、工程ごとに写真とアニメーションが付いています。昨日当ブログでお伝えした素手で剥がす動画と同じ日に、正規の剥がし方と貼り方が出てきた形です。剥がすのは付箋1枚、貼るのは回転・X軸・Y軸のノブが付いた専用の治具で、最後にマイクロメータの数値に13を足すという細かい指定まであります。

127672_Fixture_Overview_2.png
画像:Apple(iPhone Duo Cover Layer)

剥がす工程:付箋を角に差し込み、45度で一気に

手順書は取り外し(Removal)と再組み立て(Reassembly)の2部構成で、使う道具は次の9点です。

  • 圧縮空気
  • カバーレイヤー用スキージー
  • エタノールワイプ
  • インナーディスプレイベース(土台)
  • インナーディスプレイフィクスチャ(位置合わせ治具)
  • フィクスチャ用ローラー
  • フィクスチャ用サポートバー
  • マイクロファイバークロス
  • 付箋(3インチ角、約7.6cm)

取り外しでは、開いた状態のiPhone Duoをフィクスチャに載せ、付箋を右上の角で前後に滑らせてカバーレイヤーの下に入れ、角を持ち上げます。角が浮いたら45度の角度を保って一気に剥がします。45度にすると内側画面に残る粘着剤が少なくなると注記があり、硬い道具や鋭い道具で持ち上げることは禁止です。

残った粘着剤はエタノールワイプで拭き取ります。IPA(イソプロピルアルコール)のワイプは使わないよう「Important」として書かれています。本体の縁の下に入り込んだ粘着剤も取り除き、マイクロファイバークロスと圧縮空気で塵を飛ばせば、取り外しは終わりです。昨日の動画で素手でやっていたこととの違いは、付箋で角を起こすことと、角度を45度に保つことの2つだけということになります。

貼る工程:ノブ6つの治具で外側カメラの穴に合わせる

貼り付けは治具の出番です。iPhone Duoを載せたフィクスチャをインナーディスプレイベースに置き、サポートバーを差し込んで平らに倒します。新しいカバーレイヤーのピン穴をフィクスチャのピンに通し、内側画面の上にそのまま置きます。フィクスチャには回転ノブ、回転ロック、X軸ノブ、X軸ロック、Y軸ノブ、Y軸ロックの6つが付いていて、まず回転ノブで本体の縁と外側フロントカメラの穴を目安に向きを合わせ、回転ロックで固定します。黒いロックバーと赤いレバーを倒してから、外側フロントカメラの穴を真上から覗き込み、X軸とY軸のノブで穴がカメラと完全に重なるまで微調整します。重なったらY軸をロックします。

127672_Liner_Locator.png
画像:Apple(iPhone Duo Cover Layer)

最後にマイクロメータの数値に13を足す

ここからが面白いところで、Y軸を固定したあと、X軸ノブに付いているマイクロメータの数値を読み、その数値に13を足した位置までX軸を回してからロックします。手順書の例では34なら47です。つまりカメラの穴を目で見て合わせた位置が最終位置ではなく、そこから決まった量だけ横にずらして貼るという指定です。

127672_13_Microns.png
画像:Apple(iPhone Duo Cover Layer)

13が何ミリなのかは手順書で説明が足りない部分です。マイクロメータは1目盛り0.01mmで読む測定器ですから、その目盛りなら13目盛りで0.13mm、ミクロン目盛りなら13ミクロンです。どちらにしても人の目では合わせられない量で、このあとローラーで押し付けるときにカバーレイヤーがわずかに動く分を、あらかじめ見込んだ補正値なのでしょう。

位置が決まったらカバーレイヤーを起こして圧縮空気で塵を飛ばし、白いタブをつまんで下側の粘着ライナーを剥がします。サポートバーを上げ、カバーレイヤーの切り欠きをピンに合わせてバーの上に載せ、粘着面が内側画面に触れないようにしておきます。

動画:Apple(ライナーを剥がす手順)
動画:Apple(カバーレイヤーを置く手順)

貼るのはローラーです。ベースの赤いクランプでローラーを固定し、片手でカバーレイヤーの端を持ち、もう片方の手でローラーを転がします。角度は20度を保ち、ヒンジまで来たら70度まで起こして気泡を避け、ヒンジを過ぎたらまた20度に戻して端まで転がします。これを5往復したら、スキージーで見える気泡を押し出し、1分置いてから表面のライナーを180度の角度で剥がし、残った気泡をまたスキージーで押し出します。カメラの穴と本体の縁にずれが無く気泡も無ければ完成で、ずれていれば取り外しからやり直し、と手順書は締めています。

日本では8,800円、内側画面を傷めると182,800円

この手順書はAppleの修理マニュアルの1本で、Appleが部品と工具を一般に販売するSelf Service Repair向けの書式です。2026年10月25日時点で、Self Service Repairの対象国は米国・カナダと欧州各国で、Appleの国一覧に日本は入っていません。日本のユーザーがカバーレイヤーを交換するなら、Apple Storeか正規サービスプロバイダに持ち込むことになります。

料金は当ブログでもお伝えした通り、保証外で8,800円、AppleCare+に加入していれば3,200円です。一方で内側ディスプレイの損傷は182,800円で、カバーレイヤー交換のおよそ21回分にあたります。手順書を読めば分かる通り、剥がす側は付箋と45度だけですが、貼る側は治具が無いと位置が決まらず、一度剥がしたカバーレイヤーは粘着ライナー付きの新品でないと貼り直せません。素手で剥がして自分で戻せばいい、とはならないわけです。

小龍的にはこう思った

小龍的には、手順書を一通り見て感じたのは、使っているのは位置を固定するための治具であって、特別な装置ではないということです。熱も真空も電気も使わず、回転とX軸Y軸のノブ、ロック、サポートバー、ローラー、スキージーという、どれも手で動かす部品だけで構成されています。工場でディスプレイを貼り合わせる設備ではなく、日本や中国の街中の携帯ショップが保護フィルムを貼るときに使う位置合わせ用の治具の超精密版と言った方が近いですね。当ブログの9月20日の記事でも書いた通り、中国国産の折りたたみスマホは内側にメーカーがフィルムを貼った状態で売られていて、Xiaomiの公式修理店では無料で貼り替えてもらえます。Appleのカバーレイヤーも、位置付けとしてはそれと同じ消耗品です。

一方で、目で合わせたあとにマイクロメータで13だけずらすという指定がある以上、精度の要求は保護フィルムの比ではありません。外側フロントカメラの穴で合わせたうえで、さらに人の目では分からない量の補正を数値で入れているのは、ナノテクスチャの層がカメラの穴と本体の縁の両方で1枚のガラスのように見えないといけないからでしょう。治具そのものは単純でも、この13という補正値はAppleがiPhone Duoの本体と部品の寸法から割り出したもので、治具と純正のカバーレイヤーと手順書の3つが揃って初めて成立する作業といえそうです。

ですので、昨日の動画のように素手で剥がすのは論外として、治具が単純だからといって自分でやる話にもなりません。日本ではSelf Service Repairで部品も治具も買えないうえ、8,800円(AppleCare+なら3,200円)で正規窓口が治具で貼ってくれるものを、182,800円のリスクを背負ってまで自分でやる理由はないでしょう。むしろこの手順書で分かったのは、Appleがカバーレイヤーを正規窓口で貼り替える消耗品と位置付けて、ここまで工程を固めてからiPhone Duoを出してきたということです。当ブログの10月2日の記事で紹介したBergeron氏の「摩耗が進んだら交換」という説明が、現場の手順として裏付けられました。

手順書は英語のみで、日本語版はまだありません(日本向けのURLを開いても本文は英語のままです)。折り目や映り込みが気になってきたら、自分で触らず、正規窓口に持ち込みましょう。これが今回の手順書から出た結論です。

 

 

記事は以上です。

(記事情報元:Apple公式サポート「iPhone Duo Cover Layer」(127672)、Apple Self Service Repair 対象国一覧、Apple iPhoneの修理サービス(日本))

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