未発表Apple製品の予測では世界的に定評のある、TF International Securities(天風国際証券)のアナリストMing-Chi Kuo(郭明錤)氏が、向こう3年のiPhone、つまりiPhone 13、iPhone 14、iPhone 15の3世代及び噂の折りたたみiPhone、そして5G対応のiPhone SEについて予測を出しています。その予測をまとめつつ、1機種ずつご紹介します。
iPhone 13
今年秋頃に発売されるとみられる次世代iPhone、「iPhone 13」について、Kuo氏は以下のように予測しています。
ラインナップ(サイズ展開含む)は現行のiPhone 12と同様4種類。
ノッチが小さめになる。
QualcommのX60M 5Gベースバンドチップを使用
2つの「Pro」モデルでは背面の超広角レンズがf /1.8とオートフォーカスにアップデート。ちなみに現行のiPhone 12 Proシリーズの超広角レンズはf / 2.4固定焦点ユニット。
ディスプレイはPro-Motion 120Hz対応のLPTO仕様に。
LiDARがProではない無印の2機種にも搭載。
全体的により大きなバッテリー容量に(コンポーネントの小型化等でスペースを作って実現)。
ラインナップは驚かないとして、ノッチが小さくなるのは以前からも言われていたことですね。ただ小さくなるとはいえ残るのであれば、今後も動画の視聴などにまだ影響が残るのは間違いなさそうです。
そしてQualcommのX60M 5Gベースバンドチップについてですが、今のところ詳細はネット上にはあまり出ていません。X60 5Gベースバンドチップの誤植かもしれませんが。。iPhone 12はRFモジュールとしてSDX55Mを搭載していました。X60チップは恐らく製造プロセスが7nmから5nmに変更されていて電源効率がよくなっているほか、アンテナサイズなども小さくなり、モジュール全体をより小さくすることに寄与するのではないかと思われます。
また従来の予定からは遅れていますが、日本を含む各国のSUB-6 5Gのキャリアアグリゲーションに対応する可能性もあります。個人的には現行のiPhone 12では世界でも米国版でしか対応していないmmWave(ミリ波)5Gに、iPhone 13 日本版や中国版などが対応するかに注目したいですが、まだキャリアの基地局の準備が整っていないこともあり、iPhone 13で対応するかどうかについては微妙ですね。
iPhone 14
来年2022年秋頃にリリースされるとみられるiPhone 14については、Kuo氏は以下のように予測しています。
ノッチを廃止。受話器スピーカーやカメラ部分は「パンチホールディスプレイ」によって実現。細かい穴を無数に開けることで透過性を保証するものとみられる。
前面カメラでオートフォーカスが可能に。
ノッチの廃止は大きいですね。ただ、パンチホールディスプレイになるということは、どこかに必ず受話器スピーカーやカメラなどの部品によって表示されない部分が存在するのは間違いなさそうです。それをどこに持ってくるかは、Appleのデザインセンス次第と思われます。。
iPhone 15
再来年2023年秋頃にリリースされるとみられるiPhone 15については、Kuo氏は以下のように予測しています。
インディスプレイ指紋認証システムを導入。
ペリスコープ(潜望鏡)望遠カメラにより、ズーム機能のためのスペースが改良され、そのスペースを別のことに有効活用が可能に。ただしペリスコープ望遠カメラは現在既にHUAWEI P30シリーズなどで既に1〜2年前に実現済。
ディスプレイに穴や切り欠きが一切存在しない、本物の「フルスクリーンデザイン」となる。
6インチLCD搭載でFace ID採用の600ドル前後の廉価版も同時発売。
iPhone SE 5G
詳細については触れられていませんが、5Gサポートとプロセッサのアップデートが示唆されています。なおiPhone SE 5Gの発売時期は2022年以降とみられています。
5Gの仕様は恐らく現行のiPhone 12と一緒か、プロセッサは今年のiPhone 13に搭載のA15か、現行のiPhone搭載のA14になる可能性があります。
iPhone SEのような廉価な機種が5Gに対応することによって、世界の5Gの普及により拍車がかかるのではないかとKuo氏は述べています。
折りたたみiPhone「iPhone Fold」
折りたたみ可能なiPhoneの開発の噂はこれまでも多くささやかれてきました。実際に、Appleは折りたたみ可能なスマートフォンの技術特許をいくつも取得していますし、社内で実験をしていることは明らかになっています。
Kuo氏はこの「iPhone Fold」は2023年頃登場するとしています。となると、iPhone 15と同じ世代ということになりますね。
ただこれまでサムスンやHUAWEIなど他社で販売された折り畳み式スマートフォンをみると、ヒンジ部分やディスプレイの折りたたみ部分にかなり早い段階で不具合が発生することが多数報告されています。Appleも現在同じ問題を抱えているとされていますが、Kuo氏によればAppleは今年中にその生産上の問題を解決し、その2年後に7.5〜8インチのディスプレイサイズの「iPhone Fold」を発売する可能性があるとしています。
個人的には折り畳み式にすることのメリットが殆ど浮かばないのですが、いかがでしょうか。。
Kuo氏の予測は現時点でのもの、今後どうなるかは不明
Ming-Chi Kuo氏の情報ソースはAppleのサプライチェーンからのものとされていて、Apple Trackによれば、Kuo氏のApple未発表製品に関する予測の正確度は78.2%とされているので、その辺の有象無象のアナリストやリーカーと比べるとかなり信頼度が高いといえます。
またAppleがこのような方向性で将来のiPhoneの開発を行っているのは恐らく本当だろうと思われますし、3年くらい先のiPhoneまでチームを作って開発しているというのは間違いありません。これは私の知り合いのAppleのサプライヤーからの情報です。
ただし、Appleは製品開発段階のプロトタイプで様々な可能性を試しており、プロトタイプによってバラバラに新機能が試され、採用されたりされなかったりします。
そういうわけで、最終的な製品にこれらの予測が全て適用されるかどうかは不明です。とはいえこのくらいは盛り込まれないと、新製品としての魅力に欠けるのも事実です。
記事は以上です。
(記事情報元:Apple Insider)