Appleは6月頭に行われたWWDC17(世界開発者会議2017)の基調講演で、次世代モバイルOS【iOS 11】の中で全く新しいフレームワークの【Core NFC】を搭載することを発表しました。この【Core NFC】を使用することで、アプリが近距離通信タグを検出することができるようになります。
実際の画面では、Apple Payと同じように、iPhone上に”Ready to Scan”というダイアログが表示されます。その状態でiPhoneをNFCタグに対応した商品に近づけ、検出が完了すると画面上に検出完了の表示が現れ、Core NFCをサポートしたアプリによってユーザに検出されたタグに関する商品の情報が表示されるという仕組みです。
例えば食料雑貨店で買い物をしている人が、クラッカーにiPhoneを近づけると、NFCタグによってその栄養成分表示や、価格の履歴、またそのクラッカーを使った料理などの詳細の情報が表示されるというわけです。また、博物館の来訪者が展示品にiPhoneを近づけると、展示品の詳細な情報が表示されるという使い方も有効な使われ方になるでしょう。
Core NFCはこれまでApple Payだけに使用されていたiPhoneのNFC機能を拡張し、その可能性を大きく拡げるといえるでしょう。
例えば、ネットワークセキュリティ企業のWISeKeyが昨日、Core NFCのおかげで、同社のCapSealスマートタグがiPhoneに対応すると発表しています。CapSealスマートタグは主にワインやウイスキーなど酒類のボトルの認証タグとして使われます。これによってトレーサビリティの確保やニセモノの予防に役立つことから、他にも多くの会社がこのようなソリューションを提供しています。特にニセモノの多い中国などではこのようなソリューションは有効かもしれません(NFCタグを偽造されてしまうと、どうしようもないのですが。。笑)。もちろん、店舗側の在庫管理やトレーサビリティ管理でもこのスマートタグはその威力を発揮しそうです。
Core NFCは現行機種ではiPhone 7とiPhone 7 Plusのみがサポートされ、現在のところType 1〜5のNFCタグにしか対応していません。なお、NFCタグの規格の詳細はNFC Data Exchange Format (NDEF)に書かれています。
なお、WWDC17の基調講演におけるCore NFCの紹介は、Appleのデベロッパ向けサイトで見ることができます。
実は既にAndroidなどでは実現しているNFCタグ機能ですが、AppleがiOS 11でCore NFCを搭載することで、更に様々な業界内でNFCタグの使用が活発になるかもしれません。Appleのすごさはそのハードウェアとソフトウェアだけではなく、幅広い業界や分野にその影響力を発揮し、新しい可能性を生み出すところではないでしょうか。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors)