CNBCの報道によると、ゴールドマン・サックス(GS)のアナリスト、ロッド・ホール(Rod Hall)氏が、Appleの今四半期(2018Q4)の収益と中国市場の将来の展望は大きな負の影響を受けると分析しています。ホール氏は、中国市場の消費需要が急速に冷え込むとみており、中国全体のスマートフォン販売台数は昨年同期比で15%も落ち込むと予測しています。
ホール氏は、中国市場の消費の不振は、特にAppleに与える影響が大きいとしています。「一つ前のレポートにおいて、Appleの成長力は、主に中国の大型ディスプレイ機種に対する需要に基づくものでした。もし消費者による需要の疲弊が続くようだと、ハイエンド市場にも影響が出て、Appleの2018Q4の収益の伸びに繋がる成長力は弱まります」とホール氏はレポートで書いています。
しかしこの分析は、10月11日のTF International Securities(天風国際証券)の著名なアナリスト、Ming-Chi Kuo(郭明錤)氏の予測と正反対です。Kuo氏は、大多数の中国国産スマートフォンメーカーの販売台数は10月1日〜7日の国慶節(中華人民共和国建国記念日)のゴールデンウィークにおいて既に前年同期比で落ち込んでおり、その原因を中国国産スマホのイノベーション不足としていました(もともとファーウェイを除く中国国産スマホにはパクリ以外のイノベーションなどあったのかという話でもありますが)。Kuo氏は一部の国産スマホ消費者は旧型iPhoneに映るだろうと予測していて、そのうちの一部は10月19日に予約販売が開始されるiPhone XRの登場を待っているのではないかと分析しています。
ホール氏は、Appleの年末ホリデーシーズンの販売台数が8000万と予測していて、そのうち16%を中国市場が占めるとしていますが、昨年同期では中国市場のシェア率は19%だったので、中国市場のシェア率が落ち込むとみているようです。ホール氏の予測販売台数は、他のアナリストの8100〜8500万台に比べ、少なめに見積もられています。ただ、ホール氏は9月に予測していた240ドルというApple社の目標株価は変更していません。
既に中国でも販売開始されている最新機種iPhone XS/XS Maxについては、特にiPhone XS Maxは世界でも唯一中国版のみ物理デュアルSIMデュアル待受(DSDS)版となっているにもかかわらず、価格が高すぎて中国市場で受け入れられていないという現実があるようです。Appleにとっては悪いニュースばかりですが、それでもゴールドマン・サックスが目標株価を変えないということは、Appleにはやはり数字だけには左右されない何らかのブランドに対する信頼や期待が寄せられているということもいえるでしょう。個人的には、Kuo氏と同様にiPhone XRは中国でも受け入れられやすいのではないかと思っています。しかも、中国版は物理DSDS版ですしね。
また、今月末にはiPad Pro(Face ID搭載モデル)やMacBook(MacBook Air?)、iMac、Mac miniなどのアップデートがあるのではないかとみられていて、全体の売上や利益にはそれほど影響がないかもしれませんが、この辺りも多くの消費者が喜ぶアップデートになるのではないかと思います。
記事は以上です。
(記事情報元:CNBC)