Apple vs サムスン再び:iPhoneには数百のプロトタイプ、デザインのやり方が他社と根本的に違う

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昨日、Appleとサムスンは初代iPhoneの意匠特許に関する裁判で、また顔を合わせることになりました。そして双方とも、罰金の金額について最後の弁護を展開しました。Apple側はGreg Joswiak副社長(VP)や、iPhoneの首席デザインを担当したRichard Howarth氏などが弁論を行いました。法廷で、彼らはiPhoneをデザインした際のエピソードをいくつも公開し、サムスンのいわゆるデザインの”パクり”について、現在も心を痛めていると発言しています。

iPhone-Samsung
iPhone 3GSとどう見てもそっくりなSamsungのGalaxy S i9000

AppleのHowarth氏、iPhoneのデザインは家族との時間を犠牲にして働いた仕事の成果であることを主張

Appleで22年務めている古参の従業員として、Richard Howarthは、数人のサムスンに特許を侵害された全ての人が、Appleが要求している10億ドルの賠償を法廷に支持して欲しいと考えている、と訴えました。「彼ら(サムスン)は私たちのアイコンとなるデザインを盗んだだけではなく、得意げに”私たちも実はクールなんだ”などと語っているほどです。iPhoneは私たちが家族と一緒にいる時間を犠牲にし、誕生日のことさえ忘れ、疲れを知らずに仕事をした労働の成果なのです。私たちがサムスンの携帯を見たときのがっかりした心情を想像してみてください」

Richard-Howarth
Richard Howarth氏

Howarth氏は、Appleが初代iPhoneのために無数の努力をしてきたことを強調しています。デザインのためのプロトタイプだけでも数百あったというのです。「その中には8角形のベゼルのデザインもありましたし、左右だけ丸いベゼルのデザインもありました。またライトグレーのフロントのものも。。。しかし最終的に、私たちは見るだけなら取るに足りない微細な、しかも非常に平坦で、しかし最もよく理解しやすいアイデアを選んだのです。なぜなら、ユーザの手の動作は脳の思考と同期しているからです」

サムスンは法廷上で、賠償額は一部の特許侵害部分のみで計算すべきで、全体のデザインがパクった結果ではないと主張しました。しかしHowarth氏はこう強調しています。「このスマートフォン(iPhone)自体が、これまでに全くない新しい発想で、不可分の全体を構成するものです。iPhoneのデザインの小さな一部を指して、ここだけを保護して欲しい、というだけでは到底足りないのです」

Apple副社長:他社製品を研究はするがコピーはしない

サムスンは更に反論として、Appleも他のメーカーの製品を参考にしたのではないかという弁論を展開しましたが、AppleのJoswiak副社長はそれに対し、「私たちは確かに競争相手の製品を研究しました。しかし絶対にそれらの機能やデザインをコピーすることはしません。そしてこれこそが正しいやり方と間違ったやり方の区別なのです」と答えています。

AppleのGreg Joswiak副社長

Appleのデザインのやり方は他社とは根本的に違う

更にAppleは、自社と他社の内部構造のデザインのやり方が根本的に違うことを主張しています。絶対多数のメーカーは最良の部品やモジュールを買ってきて、それらをどうやってシャーシの中に詰め込もうと考えるのに対し、Appleは最初から全ての内部構造をデザインしてから、その構造に合う部品を探していくという方法だというのです。AppleのTony Blevins購買担当副社長も、彼自身がiPhone用のバイブレーションモジュールの工場で2週間半も住み込んだことを証言しています。

サムスンがiPhoneデザインをパクったのは明らか

確かに、サムスンのiPhone以前とiPhone以後ではデザイン路線に大きな変更があったことは、下図を見れば明らかです。

samsungapplesimilarity

iPhone以前は、サムスンはなかなか挑戦的なデザインの端末を複数リリースしていました。Windows Mobile時代ではそのデザインの多様性においては全盛期でした。ハードウェアキーボードも積極的に導入し、綺麗なカラー液晶もいち早く導入、私自身もWindows Mobileユーザだったため好意的に思っていたほどです。しかしiPhone登場以降は、サムスンのスマートフォンの全てのデザインがまさにiPhoneそっくりになってしまいました。これはサムスンが明らかにiPhoneのデザインをパクっているといわれても仕方のないレベルです。

今後は賠償額について裁判所の判断が待たれるところですが、今回もAppleは本当に弁の立つ論客を用意したなという感じがします。

そしてデザインの方法が他社とは根本的に違うというのは、確かにジョブズ時代からの伝統を守っているような気もします。とはいえ、法廷で購買担当トップが購買先の工場に2週間半住み込んだことを語るのはどうかなと思います。。私だって以前上海のとある金物製品の日系企業で工場長兼調達責任者の仕事をしていたときに、新製品の立ち上げなどの際には購買先の工場に数週間泊まり込むことはザラでしたから、そのくらいの努力は当たり前じゃん、と思ってしまったりします。笑

記事は以上です。

(記事情報元:cnBeta

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