Digitimesの報道よると、Appleはそのサプライヤーの1つに、来年のiPhoneラインナップに追加される機能として噂されている、リアカメラ(背面カメラ)へのToF(タイム・オブ・フライト、Time of Flight)3Dセンシング機能を追加するための部品VCSELの供給準備を打診したということです。
来年のiPhoneからリアカメラに現行のフロントカメラについているような3Dセンシング機能が追加される情報については、これまでブルームバーグの著名な記者、Mark Gruman氏や、TF International Securities(天風国際証券)の著名なアナリスト、Ming-Chi Kuo氏によってその実現が予測されていて特別新しい話ではありませんが、今回Appleがサプライヤーに対して具体的に動き出した情報が入ったということで、いよいよ真実味を帯びてきたということがいえます。
この3Dセンシング機能は現行のiPhone X/XS/XS Max/XRにおいてはTrue Depthと呼ばれるセンサーが搭載されていて、Face IDのセンサーのために使われています。このTrue DepthによるFace IDのセンシング機能は他社よりも2年進んでいるといわれて確かに優位性があります。そして来年のiPhoneに搭載予定のリア側の3DセンサーはToFと呼ばれ、これは従来のTrue Depthよりも更に進んでいて、ブルームバーグによれば、True Depthでは25〜50cmくらいしかセンシングできなかったのが、ToFでは約1.5mくらいまで範囲が広がるということで、従来の3〜6倍の距離になるということです。それによってより正確な奥行きを感知できるようになってAR機能が更に強化される他、写真撮影などでもこれまでよりも更に奥行きをはっきり捉えられるようになります。
ちなみにこのToFを実現するための部品VCSELチップは、これまでAppleもiPhone X用にカリフォルニアに本拠地を置くLumentum社から購入してきましたが、生産キャパに不安があることから、2017年12月には同じくVCSELを製造可能なFinisar Corpに3億9000万ドルの投資する予定であることがわかっていました。そして現在はそのFinisar CorpからもVCSELを購入しています。Lumentum社も今年上半期にその生産能力を拡大していますし、他にもオーストリアのアムス社もVCSELチップの製造に成功していて、サプライヤーは他にも沢山ありそうです。
ただ、Digitimesはこれまでサプライヤーの動きについては非常に強く、比較的正確に伝えてきましたが、Appleの未発表製品そのものに関する情報については外してきた経緯もあり、眉唾で読んでおいた方がいいかもしれません。
なお、今年の新型iPhoneにはリアの3Dセンシング機能は搭載されず、トリプルレンズになるモデルが出そうですが、TrueDepthの能力が更に向上し、ますます顔認証が確実になり、精度や速度が上がる可能性があります。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors、9to5Mac、Cult of Mac、Apple Insider)