レコード会社にとって、SpotifyやApple Musicなどのネットのストリーミングミュージックメディアは最初はあまりに受け入れがたい存在だったに違いない。なぜならデジタルダウンロード販売とも違い、せっかくお金をかけて取得した権利を、定額で聴き放題にされてしまうという屈辱的なものだったからだ。
しかし時代の変化は訪れるものだ。レコード会社の世界4大メジャーのうち、ワーナー・ミュージック・グループ(Warner Music Group以下ワーナー)にとってはそうでもなくなってしまった。なぜならストリーミングメディアによる収入が、既にワーナーミュージックの中で最大のものになっているからだ。
Apple MusicやSpotifyなどのストリーミングミュージックサービスによる収入が、ワーナーミュージックの前四半期の収入のうち最大の収入源となった。ワーナーは昨日、2016年の第一位四半期のストリーミングメディアからの収入が初めて実体のレコード(CD)販売及びデジタルダウンロードの合計を超えたと発表し、その営業収入は7200万ドル(約77億1000万円)を突破したという。
ちなみにワーナーミュージックのCDの販売での取得はわずか600万ドル(約6億4200万円)、デジタルダウンロードの収入もたったの1700万ドル(約18億2000万円)だったというから、この2つの合計で2300万ドル(約24億6200万円)しかなかったことになる。
昨年、ワーナーミュージックのストリーミングメディアからの収入が初めてデジタルダウンロードの収入を超えた。そしてストリーミングメディアからの収入がワーナー全体の売上と収入を10%押し上げたという。そしてワーナーミュージックの売上と収入の半分以上はアメリカ以外の国や地域からとのこと。
Appleは先日、同じく2016年第一四半期(Appleの会計年度では2016年度Q2)でのApple Musicの支払いユーザは既に1300万人いると発表しており、iPhone・iPad・Macのユーザ数全体からみれば全く大した数字ではないものの、着実にユーザ数を増やしているのは間違いないようだ。
メディアの噂では、Apple Musicは今年6月にAppleが主催するWWDC(ワールドワイド・デベロッパーカンファレンス)にて大きくそのUIが変更されるようだ。現在のUIには使いにくいという不満が多いためそれは必然かもしれず、またAppleにとってもダウンロード販売のiTunes Music StoreからApple Musicの普及が更にやりやすいように工夫するチャンスでもある。
画蛇添足 One more thing…
Apple Musicがますます発展してくると、一部のレコード会社やライバルのSpotifyなどにとっては脅威に映るかもしれないが、ワーナーミュージックの例をみれば、激減するCDの売上げや単純な音楽ダウンロードよりも収入が多いという結果になっているわけで、既にもうストリーミングメディアがなければ生きていけない状態になっている。
ストリーミングサービスは低迷する音楽業界のカンフル剤どころかメインストリームになっており、当然ながらそれは映画やホームビデオ業界もそのように変わっていくだろう。
先日死去したプリンスのように、アーティストの中にはストリーミングサービスに非常に反感を持つ人もいるようだが、実際にCDが売れないのであれば、売れる方法で売るしかないのはいつの世でも同じ事だ。世の中は常に変化している。人々に音楽が必要なのは変わらない。問題は、音楽をどのように届けるか、そしてアーティストにどのように分配されるかではないだろうか。
しかし世界でもメジャーのワーナーミュージックでさえ四半期の売上げが100億円規模とは、、元音楽業界に身を置いていた者として、業界の規模が本当に小さくなってしまっていて悲しい感じがする。
ちなみに私自身はiTunes Matchは使っているがApple Musicは使っていない。音楽はAmazonプライムで済ましている(ビデオや映画も見られるし。。笑)
記事は以上。
(記事情報元:9to5Mac)