AppleのAシリーズチップ生産委託先TSMCの機密情報が元従業員から盗まれる!商業スパイ未遂事件発生

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Digitimesの報道によると、AppleのAシリーズチップの製造を一手に引き受けている台湾企業TSMC(台灣積體電路製造股份有限公司、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の従業員の1人が、同社の機密情報を盗み出し、それを転職先の中国企業に渡そうとしていたことがわかりました。これは最も近いうちに発生した、商業スパイ活動未遂事件の1つです。盗み出された情報がAppleのAチップそのものズバリの情報かはわかりませんが、Appleに関わる企業の情報が漏洩すると、Appleにとってはライバルの追撃を容易に許すことになり、当然ながら好ましい事態ではありません。

TSMC

台湾の新竹地区検察官事務所が公表した内容によると、今回の事件に関わった容疑者の姓は周といい、この周という元TSMCの従業員は、同社の16nmと10nm製造プロセスとそれに関する設備の機密書類をコピーしたとされています。そしてその情報を転職先で中国大陸企業の上海華力微電子有限公司(Shanghai Huali Microelectronics、HLMC)に引き渡そうとしていたということです。TSMCは周の行為を自ら感知し、検察に報告したということです。ただ、TSMCはこの案件が法律的な手順に則って処理が開始されない限り、今回の事件に関するコメントや、これ以上の詳細情報は出さないとしています。

Appleに関する機密漏洩事件は今回が初めてではありません。2015年、別のTSMCの従業員が同社によって起訴されました。当時の報道によれば、その従業員はサムスン(SAMSUNG)に対し、研究開発に関する機密を漏洩し、サムスンがチップ製造業務において台頭し追いつくことができたとされています。台湾の最高裁の最終判決は、TSMCの勝訴となりました。

また当ブログでもお伝えしたとおり、Appleの元従業員の中国籍のZhang XiaoLang容疑者が、Appleの自動運転技術及びEVの機密を盗みだし(情報をダウンロード)、転職先の中国のEVベンチャー企業である小鹏汽车公司(小鵬、Xiao Peng)にその秘密を漏らそうとしていたことが判明し、アメリカから中国に帰国をしようとした時に、空港でFBIに逮捕されました。

AppleやAppleのサプライヤーに関する機密情報は高く売れそうですね。しかし今回の事件も、上記のEVや自動運転技術に関する技術の漏洩未遂事件も、中国国内企業によるスパイ活動でした。このようなことは日常茶飯事なのかもしれませんが、やはり自社での開発に頼らず、人から盗んできた技術で儲けを出そうとすることは、やはりメーカーとしては感心できる行為ではありません。この事件によって、中国企業のモラルがより一層問われることになりそうです。

記事は以上です。

(記事情報元:Digitimes

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