昨日、米国ホワイトハウスはトランプ大統領が署名した行政命令を公布し、アメリカン・テクノロジー・カウンシル(American Technology Council)が成立されたことを発表した。このアメリカン・テクノロジー・カウンシルの設立目的は、政府のデジタル化サービスが順調に進むこと、そして更に現代化を進めるためだ。ホワイトハウスは更に今年6月に一連の会議を開催することも発表。その折にはAppleのティム・クック(Tim Cook)CEOをはじめ、20人のテック業界の大物がこれらの会議に参加するとみられる。
アメリカン・テクノロジー・カウンシル設立の主旨と目標
行政命令の中には、「アメリカ人は更に自らの政府のもっとよいデジタルサービスを享受すべきである。その政策をやり通すため、連邦政府はそのITを変革し、デジタルサービスの使用方法と提供方法も改善し、更に現代化を進める必要がある」と記されている。アメリカン・テクノロジー・カウンシルの大きな目標には”ビジョンと戦略と方向性の協調”を含む。また連邦政府がITを使用して大統領に対して政治的な決断に関する提案ができるようにするのも大きな目標の一つだ。
政府との連携で更に自社の発展を目論むシリコンバレーのトップ達
アメリカン・テクノロジー・カウンシルの会議に参加するシリコンバレーのトップ達は、カウンシルに対して意見を出すことで、自社のプロの領域における知識やクリエイティブの増強に役立てることを考えている。ホワイトハウスの職員によれば、具体的な作業に関する会議も開催されるもようだ。アメリカン・テクノロジー・カウンシルの戦略活動のトップにクリス・リデル(Chris Lidell)氏を据える予定で、リデル氏はかつてマイクロソフト(Microsoft)でCFOをつとめたことがある。
ティム・クックCEOの参加は未定
現在のところ、はっきりとAppleのティム・クックCEOが今回のアメリカン・テクノロジー・カウンシル会議に参加するかどうかは明らかになっていないが、これまでの会議の中で、クックCEOはトランプ大統領のイノベーション事務局の局長を務めており、トランプ大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)氏にも会っているほどだ。
UberのCEOは不参加
なお、この会議に確実に参加しない人物が1人確定している。Uberのトラヴィス・カラニック(Travis Kalanick)CEOだ。カラニックCEOはかつてトランプ大統領のビジネス顧問になることには同意していたが、1回目の会議が招集される前に退いている。
Appleティム・クックCEOとトランプ大統領の考えは相容れない点が多い
クックCEOの率いるAppleのiPhone等デバイスの暗号化や、クックCEO自身の移民政策への考え方は、トランプ大統領の考えと相容れないものだ。かつて、クックCEOはドナルド・トランプ大統領が大統領選の際に対立候補だったヒラリー・クリントン氏の陣営の潜在的選挙協力者のリストに入っていたという報道もあったほどだ。
小龍的にはこう思う:トランプ大統領とクックCEOは何らかの擦り合わせはあるはず、このカウンシル設立もその一環?
ただ、トランプ大統領も非常に現実的な人物で、Appleに対する規制を加えたり、Appleとむやみに争うことはアメリカ政府にとっても国にとっても利益にならないことは理解しているはずだ。海外にある現金を法人税10%に減免することで本国に戻すという特別な処置も、Appleの事情を考えた上でのことだろう。今後もトランプ大統領が主張するアメリカへの製造移管など非現実的な要求の問題、またプライバシーと犯罪予防の問題など、解決すべき問題は山積みだが、それでもトランプ大統領とクックCEOは何とか帳尻をあわせていくのではないだろうか。
今回のアメリカン・テクノロジー・カウンシルの設立も、双方の配慮があってのことかもしれない。もちろんこれは表向きで、裏では様々な取引と駆け引きが行われているに違いないが。。
記事は以上。