AppleとFBIの確執問題のきっかけは、スティーブ・ジョブズの方針によるものだった

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最近Appleのプライバシーや個人情報の保護の問題が頻繁に取りざたされている。それは当ブログでも昨日お伝えしたとおり、昨年12月に発生した銃乱射テロ事件に関してFBIがAppleに一種のバックドアを作るように要求したことに対して、激しく抗議しているからだ。

AppleとFBIの確執の直接的な原因とは

昨年12月のテロ事件はアメリカのカリフォルニア州サンバーナーディーノ市で発生したが、現在はそれがシリコンバレー全体に影響が拡がっている。Appleがアメリカ政府とFBIを相手取って争っているのは、その主な直接的な原因は2014年にAppleが実行した一つのポリシーによるものだ。それは、その年にリリースされたiOS 8から、Appleはデバイス全体のデータを暗号化したのだ。

スティーブ・ジョブズの時代からプライバシーの保護についてはAppleは非常に厳しかった

Steve-Jobs_Walt-Mossberg

しかし、AppleがiOS 8で暗号化技術を採用したのは、Appleの現CEO、ティム・クック(Tim Cook)が初めて唱えた方針によるものではない。実はあのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)がCEOだった時代から、デバイスのプライバシー保護の基調となる方針は決まっていたのだ。

2010年、時のAppleのCEOだったスティーブ・ジョブズは第8回All Things D座談会で、司会を務める著名なジャーナリストのウォルト・モスバーグ(Walt Mossberg)に対し、Appleのプライバシーや個人情報に対する態度について語った。なぜそのような話題になったかというと、主にAppleとグーグル(Google)のモバイルOSが、位置情報特定技術を使ってデバイスを追跡しているといわれていたからだ。当時のジョブズははっきりとモスバーグ氏にこう語っている。「いわゆるプライバシーについては、ユーザが自身のデータをどのように使われるかをわかるようにしなければならない」

ジョブズは、自社のシステムでユーザのデバイスの位置情報を知ることはできるが、それは必ずユーザの同意を得なければならない、しかも毎回の同意が必要だ、と考えていた。どんなアプリがユーザの位置を特定するための動きをしようとしても、先に”はい”か”いいえ”の選択が出るようにするべきだと。そして、ユーザの個人情報を収集する際に、ユーザに選択肢を与えないアプリについては、Appleとしては絶対App Storeにあげることはしない、ともしている。

またジョブズはこうも語っている。「シリコンバレーの多くの人は、Appleのプライバシーに関する態度は非常に古典的だと考えている。もしかしたら彼らの言い分は当たっているかもね

 

Appleがバックドアを作ると、これまで固執してきたプライバシー保護の方針が崩壊する

Appleは長らくユーザの個人情報やプライバシーを非常に重視してきた。同社の幹部達も、これまで何度もWWDC(世界開発者カンファレンス)において、ユーザの個人情報はユーザ自身が望まない限りは本人にしかわからないようにしている、とたびたび強調している。そんなわけで、AppleがなぜFBIに対して”バックドア”を作ることを拒絶しているかということも容易に理解できるだろう。なぜならFBIのためにバックドアを作った場合は”先例”を作ってしまうことになり、Appleがこれまで長年経営してきた中で、たびたび強調してきたプライバシー保護の方針が崩れ去ってしまい、そのことでiPhoneは計り知れない損失を被る可能性があるからだ。

▲2010年のAll Things DのSteve JobsとWalt Mossbergの座談会の全てはこちらの動画で。1時間半とかなり長くて、英語のみだが。。プライバシーの話は1時間9分あたりから始まる。

 

画蛇添足 One more thing…

本日のMashableの記事によると、昨年12月のテロ事件の被害者の家族達が、FBIを支持したという。

被害者のご家族の気持ちはもちろんよくわかる。

結局、Appleが言っていることもFBIが言っていることも、どちらもそれぞれの立場から見れば正しいのだ。そして、異なった環境や背景によって、そのとらえ方は変わってくる。あとは、パワーバランスの問題になってしまうのだろう。

記事は以上。

(記事情報元:WeiPhone

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